身延鑑とは? わかりやすく解説

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身延鑑

読み方:ミノブカガミ(minobukagami)

分野 仏教書(日蓮宗)

年代 江戸中期

作者 日亮


身延鑑

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/13 13:38 UTC 版)

身延鑑(みのぶかがみ)は、身延山久遠寺の参詣案内書として印刷されたガイドブック、名所図会地誌であり、参詣の土産として売られていたものである。表紙には『新刊身延鑑』、巻頭大題は『身延山根元記』となっている。

概要

初版は1685年(貞享2年)。版元は松会市郎兵衛。

作者

著作者名は書かれておらず、巻頭の身延山根元記序文にも署名がない。巻末には洛陽之沙門とあるので[1][2]、この人物が著者かと推測されているが誰なのかは明らかになっていない。

版権所有者

1685年(貞享2年)の出版は、松会市郎兵衛が版元となっているが、1762年(宝暦12年)の版では、身延の有力者である波木井織部[3][4]が版権を所有したことが分かる。

内容

「目録」と題して以下の目次10章が掲げられる。まず、甲斐国巨摩郡波木井郷にある日蓮宗の本山である身延山久遠寺の由来、つぎに堂宇所在、霊宝、七面明神のこと、宿坊の名称、祖師以来歴代聖人号、当山三首の歌、公方代々制札、波木井六郎帰依のこと、大野本遠寺開創のことを一老僧の談話として述べる形式になっている[5]

挿絵

書誌学者川瀬一馬は、挿絵は菱川師宣としているが[6]和田万吉は菱川派風として師宣とは断定せず[7]、さらに師宣の長男で師宣風の絵を描いた師房によるとする説もある[8]。川瀬は貞享2年松会市郎兵衛による初版本は師宣の絵であるが、宝暦12年版では版画の彫りが悪くなって師宣の版画とは思われない状態であるとしている[9]。参考文献の貞享2年版と宝暦12年版を並べて比較して見ると、たしかに挿絵の彫りが違っており、挿絵の版木は彫り直された可能性がある。

宝蔵に読者が注目

目次の3番目にあたる霊宝について述べた部分には、国文学史上注目されるお宝が記載されている。川瀬一馬は、「昭和初年の身延山訪書記を書誌学誌上に発表したら、すぐに佐佐木信綱博士からお尋ねがきて、『身延鑑』に藤原俊成定家両筆の万葉集が宝物の中にあると出ている[10]が、今でもあるかどうか」と国文学者歌人である佐佐木信綱から問い合わせてきたことを述べている[11]

脚注

出典

  1. ^ 身延鑑 : 3巻(下)』(貞享2年版)https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200018207/38?ln=ja 
  2. ^ 身延鑑 : 3巻(下)』(宝暦12年版)https://dl.ndl.go.jp/pid/2583407/1/11 
  3. ^ 姓氏家系辞書 波木井氏』磯部甲陽堂、1920年、1083頁https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/1875882/1/659 
  4. ^ 松平定能 編『甲斐国志 第116巻 士庶部第15』(小野泉 校)温故堂、10丁表頁https://dl.ndl.go.jp/pid/764944/1/65 
  5. ^ 『身延鑑 : 3巻(上)』松会市郎兵衛、1685年https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200018207/3?ln=ja 
  6. ^ 川瀬『成簣堂文庫随想』、71 - 72頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12237364/1/39 
  7. ^ 和田万吉『身延山根元記』〈古版地誌解題 改訂重刊〉1933年、152 - 153頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1878959/1/111 
  8. ^ 尾崎久弥「菱川師房の絵本類」『浮世絵』第43巻、浮世絵社、1918年12月、19頁。 
  9. ^ 川瀬『成簣堂文庫随想』、72頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12237364/1/40 
  10. ^ 鈴木武晴「甲斐と萬葉集(五) : 『身延鑑』記載の俊成・定家両筆万葉集をめぐって」『都留文科大学研究紀要』、都留文科大学、2006年、27 - 33頁。 
  11. ^ 川瀬『成簣堂文庫随想』、71頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12237364/1/39 

参考文献

『身延鑑 全3巻 元禄17年 再版本』駒井五郎兵衛、並河治郎兵衛。 1704年(元禄17年)駒井五郎兵衛、並河治郎兵衛による再版本。

『身延鑑 全3巻 宝暦12年 再版本』波木井織部。 1762年(宝暦12年)波木井織部による再版本。

研究書

関連項目



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