蟲神器とは? わかりやすく解説

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蟲神器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/31 06:58 UTC 版)

蟲神器(むしじんぎ)は、昆虫をテーマとしたトレーディングカードゲーム(TCG)。

開発元は株式会社大創出版で、全国のダイソー(DAISO)で販売されている[1][2][3]

2022年11月7日にスターターセットとブースターパックが発売され、2023年6月18日にはブースターパックの第2弾が発売された。

その後も、2023年11月24日に第3弾「命脈の供物」が発売され、2024年7月11日に第4弾「無垢の黎明」が発売された[2]。2024年12月15日に第5弾「覚醒の真価」が発売された。2025年7月31日に第6弾「魂の螺旋」が発売された。

遊び方

ゲームの準備

  • 対戦は2名のプレイヤーによって1対1で行われる。
  • 各プレイヤーは20枚のカードでデッキを構築する。
  • 同じ名前のカードは2枚まで入れられる。
  • 山札をシャッフルして場に置き、そこから裏向きのままで6枚のカードを場に置き、縄張りとする。
  • 山札からカードを4枚引き、初期手札とする。
  • ジャンケンやサイコロで先攻・後攻を決める。

勝利条件

  • 相手の縄張りを0にした状態で相手本体を攻撃する。
  • 相手が降伏する。
  • どちらかがドローの際に山札がなく、カードを引けなくなったら、その時点で縄張りの数が多い方の勝利。縄張りの数がお互いに同じ時は引き分けとなる。

カードの種類

分類 説明
虫カード カード左上に書かれたコストを支払い、場に出すことができる

場に出した場合、技を使って相手の虫または相手プレイヤーに直接攻撃することができる 技が2つ書かれている場合は、どちらの技を使うか選ぶことができる 相手の虫に攻撃した場合、体力にダメージを与える 攻撃された虫は、1ターンの間に体力を超えるダメージを受けた場合、破壊され捨て札に置かれる 赤の虫は緑に、青の虫は赤に、緑の虫は青に2倍のダメージを与える <>で書かれている技は、場に出た時や場に出ている間に効果を発揮する

強化カード カード左上に書かれたコストを支払い、自分の虫に重ねて場に出すことができる

強化カードがついた虫は、強化カードが破壊されない限りその効果を受け続ける 強化カードがついた虫が破壊されたり手札に戻ると、その強化カードは捨て札に置かれる

術カード カード左上に書かれたコストを支払い、効果を使うことができる

効果を発揮し終わると、すぐに捨て札に置かれる 術カードの効果により虫が破壊されたとしても、虫を破壊されたプレイヤーは縄張りを引かない

ターンの進行

フェイズ名 説明
ドローフェイズ 自分の山札の上からカードを1枚引き手札に加える。

(先攻1ターン目はスキップする)

セットフェイズ 自分の手札から好きなカードを1枚選び、表向きでエサ場に出せる。

エサをセットできる枚数は毎ターン1枚だけ。

エサにしたカードは効果を失う。

メインフェイズ 自分のエサ場に出ているエサと同数のコストを得る。

以下の行動を好きな順番で、好きな回数行う。

・コストを使い、手札から虫カードを場に出す

・コストを使い、手札から術/強化カードを使用する

・自分の場に出ている虫の技を選び、相手の虫を選んで攻撃する

 ※攻撃は毎ターン1つの虫ごとに1回のみ

 ※相手の場に虫がいない場合は、相手本体に攻撃を行う

エンドフェイズ 「ターンエンド」を宣告して相手ターンに移行する。

場に出ている相手の虫の体力は全て無傷の状態に回復する。 ※カードの効果により回復しない場合あり

カードリスト

発売日 商品名
2022年11月7日 蟲神器 スターターセット
2022年11月7日 蟲神器 ブースターパック
2023年6月18日 蟲神器 ブースターパック2
2023年11月24日 蟲神器 ブースターパック 命脈の供物[4]
2024年7月11日 蟲神器 ブースターパック 無垢の黎明

開発

背景

大創産業の子会社である大創出版の社長(当時)・西田大は社員とともに遊んだ人狼ゲームがきっかけでアナログゲームに興味を持つようになった[5][6]。折しもボードゲームカフェができるなど市場が成長していたことに加え、事業の多角化が見込めると考えた西田はアナログゲーム事業への参入を決めた。ダイソー発のアナログゲームとして話題となり、ある程度の成功を収めてきた一方、トレーディングカードゲームはなかなか開発が進まなかった[5]。もともとこの市場は一部作品の市場占有率が高く、クリエーターに相談してもコスト面などから辞退されるケースが多かった。それでも西田は「ゲームマーケット」でのスカウト活動を続け、当時無名だったカードゲームデザイナーのNIZAと出会う[5][注釈 1]

企画

モチーフとなった昆虫のエメラルドゴキブリバチ

スカウトを受けたNIZAはすぐさま西田へ企画書を送り、それからすぐに大創出版へ呼び出された[7]

まず、NIZAが定番であるダークファンタジーのカードゲームを提案したところ、西田から「すでに多くのファンを抱えている実在するものをテーマにした方が良いのではないか?」と返ってくる[7]。これを受け、NIZAはリサーチを重ね、虫をテーマにしたトレーディングカードゲームがほとんどないことに気づき、かつて一世を風靡したデジタルトレーディングカードゲーム『甲虫王者ムシキング[注釈 2]を念頭にサンプルを制作した[7]

1か月後、NIZAが西田にサンプルを提出したところ、危険生物の方がインパクトがあるのではないかと提言されたが、NIZAの熱意によって昆虫をテーマにすることが決まった[7]。また、学べる要素を組み込める点としては両者の間で一致した[7]

100円ショップの最大手であるダイソーで売る以上、一般客に受け入れられる必要があった[7]。スタッフィングには苦労したと西田は述懐しており、スカウトしたイラストレーターの作風がばらばらだったことに加え、あまりにもリアルすぎてしまうとプレイヤーが引いてしまうため、クリーチャー風にしてほしいという指示を出した[8]

ルール設計

虫の食性による属性設定を基にした三すくみを導入するなど、誰でも遊びやすいシンプルなルール設計がなされた[7]。また、プレイヤーがプレイスタイルの参考にしやすくするため、各属性にキャラクターが設定された[注釈 3][8]

価格設定

税抜100円での販売価格を実現するのは容易なことではなかった[9]

大創出版と取引のあったトランプの製造工場が1セット(52枚)100円で販売できる技術を有していることに気づいた西田は、そこに掛け合い、1セット50枚入りのスターターデッキを実現させた[7]

広報・販売

大きな反響があったものの、ダイソーのみでの取り扱いである以上、カードショップなどによる大会の開催は困難だったため、公認サポーター制度が設けられ[10]、2023年時点で150人のユーザーが認定された[9]

反響

2022年の11月に第1弾を発売したところ、すぐに在庫がなくなるほどの売れ行きとなった[10][11]

関連書籍

2024年7月8日にKADOKAWAから初の公式ガイドブック『蟲神器 公式パーフェクトガイド』(ISBN 978-4-04-897770-8)が発売された[12]

小説『蟲神器 オリジナルノベル 大逆転!カードバトル』(原案・トレーディングカードゲーム:蟲神器、著:土橋真二郎、絵:トリル)が集英社みらい文庫から2024年7月19日に発売。 ISBN 978-4-08-321860-6

コンピュータゲーム

蟲神器 めざせ!最強の蟲主』のタイトルで、2025年秋に日本コロムビアよりNintendo Switch用ゲームソフトとして発売予定。ストーリーモードを実装。原作のルールに則ったバトルシステムで、コンピュータ対戦のほか、ローカル通信やオンライン通信での対人戦も可能[13]

脚注

注釈

  1. ^ なお、西田が出会ったときに「ゲームマーケット」で展していた別作品も、のちに大創出版から「生物学カードゲームCELL」として製品化された[5]
  2. ^ 2025年7月17日付の朝日新聞の記事では具体的な作品名が記載されていない[7]
  3. ^ 青:篝 夏音(かがりかのん)、赤:拝 蓮司(おがみれんじ)、緑:蠱塚 天牛(こづかてんご)[8]

出典

  1. ^ 株式会社インプレス (2022年11月18日). “ダイソー初のオリジナルTCG「蟲神器」プレイレポート 110円で2人分揃う驚愕のコスパ! そのゲーム性や入手方法をチェック”. HOBBY Watch. 2023年3月10日閲覧。
  2. ^ a b 浅見裕俊「ダイソー「100均トレカ」即日完売の裏側 なるかポケモンカード超え」『日経クロストレンド』2024年2月6日。2024年2月8日閲覧
  3. ^ 沼澤典史:清談社「ダイソーの「トレーディングカード」なぜ大人気?開発者が語る秘話とは」『ダイヤモンド・オンライン』2023年2月24日。2024年2月8日閲覧
  4. ^ 大創出版 [@daisosyuppan] (24 November 2023). “🌟【蟲神器第3弾ブースターパック本日発売!!】”. X(旧Twitter)より2024年2月8日閲覧.
  5. ^ a b c d (けいざい+)100円トレカ「蟲神器」:2 ゲーム作れる?愛好家をスカウト:朝日新聞”. 朝日新聞 (2025年7月16日). 2025年7月19日閲覧。
  6. ^ DAISOの100円ボードゲーム誕生秘話に迫る! 企画責任者&ゲームデザイナーインタビュー”. 4Gamer.net. Aetas (2021年4月5日). 2025年7月21日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i (けいざい+)100円トレカ「蟲神器」:3 みつけた業界の空白「誰でもすぐに」:朝日新聞”. 朝日新聞 (2025年7月17日). 2025年7月19日閲覧。
  8. ^ a b c 久我裕紀 (2024年7月20日). “大人気で一時品薄に! DAISO初のトレーディングカードゲーム「蟲神器」を生んだ100円以上の価値とこだわり|@DIME アットダイム”. @DIME アットダイム. 小学館. 2025年7月19日閲覧。
  9. ^ a b 株式会社インプレス (2023年5月27日). “ダイソー初のオリジナルTCG「蟲神器」クリエイターインタビュー 「蟲神器ブースターパック第2弾」カード21種類を先行公開”. HOBBY Watch. 2025年7月19日閲覧。
  10. ^ a b (けいざい+)100円トレカ「蟲神器」:4 アニメ・ゲーム化…羽ばたく知財へ:朝日新聞”. 朝日新聞 (2025年7月18日). 2025年7月19日閲覧。
  11. ^ 久我裕紀 (2024年7月20日). “(2ページ目)大人気で一時品薄に! DAISO初のトレーディングカードゲーム「蟲神器」を生んだ100円以上の価値とこだわり|@DIME アットダイム”. @DIME アットダイム. 小学館. 2025年7月19日閲覧。
  12. ^ ダイソーのTCG「蟲神器(むしじんぎ)」初の公式ガイドブック『蟲神器 公式パーフェクトガイド』が2024年7月8日(月)発売!」(プレスリリース)、株式会社KADOKAWA、2024年7月8日。2024年7月8日閲覧
  13. ^ DAISO初のオリジナルトレーディングカードゲーム『蟲神器』のNintendo Switch用ゲームソフト『蟲神器 めざせ!最強の蟲主』2025年秋に発売決定!」(プレスリリース)、日本コロムビア株式会社、2025年7月18日。2025年7月18日閲覧

関連項目

外部リンク




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