自己整合語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/28 07:32 UTC 版)
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自己整合語(じこせいごうご、英語: autological words)とは、その単語自体が持つ特性を表す言葉である。例えば、「漢語」という単語はそれ自体が漢語であり、「名詞」という単語はそれ自体が名詞である。よって、「漢語」「名詞」は自己整合語である。
自己整合語の対義語は自己矛盾語(じこむじゅんご、英語: heterological word)であり、それ自体の性質を表さない単語である。例えば、「動詞」という単語はそれ自体は名詞であり動詞ではない。また、「英語」という単語は英語ではない。よって、「動詞」「英語」は自己矛盾語である。
概論
自己言及などと異なり、「自己整合語」と「自己矛盾語」は言語学で扱われることはあまりないが、クルト・グレリングとレオナルド・ネルソンによって導入されたグレリング=ネルソンのパラドックスと呼ばれる意味論上のパラドックスでは重要な概念である[注釈 1]。
またこのパラドックスは学問領域以外でも知られるようになり、広い関心を集め、自己整合語のリストが作られるまでになっている[3]。
自己整合語としてよくあるものは直示的な言葉である。直示的な言葉はある現象を表すためにその現象の例となる言葉を使用しており、必然的に自己整合的となる。例えば、RAS症候群(冗長頭字語症候群)という単語はそれ自体が冗長頭文字語であり、自己整合語である。
ある単語が自己整合的か否かは時代によって変わることがある。例えば「新語」という単語は過去、それ自体が新語であったが今ではそうではなくなっている。
脚注
注釈
- ^ グレリングとネルソンは1908年の出版で、以下の定義を用いた。「φ(M)をMの概念を定義する単語とする。この単語はMの要素であるかそうではないかのいずれかとなる。前者においてこの単語を『自己整合的』とし、後者において『自己矛盾的』とする。」[1]。初期の段階のグレリングのパラドックスが1907年5月28日のゲルハルト・ヘッセンベルク宛のネルソンの手紙で表されており、「自己矛盾語」という単語はまだ用いられておらず、「自己整合語」は「それ自体によって表される概念に適合する単語」と定義されている[2]。
出典
- ^ Peckhaus 1995, p. 269
- ^ Peckhaus 1995, p. 277
- ^ Henry Segerman: Autological words; Wiktionary: English autological terms
参考文献
- Volker Peckhaus: The Genesis of Grelling's Paradox, in: Ingolf Max / Werner Stelzner (eds.), Logik und Mathematik: Frege-Kolloquium Jena 1993, Walter de Gruyter, Berlin 1995 (Perspektiven der analytischen Philosophie, 5), pp. 269–280
- Simon Blackburn: The Oxford Dictionary of Philosophy, Oxford University Press, 2nd ed. Oxford 2005, p. 30 ("autological"), p. 170 ("heterological"), p. 156 ("Grelling's paradox")
外部リンク
- A list of autological words from Henry Segerman
- A brief look into the different types of autology by Ionatan Waisgluss
- 自己整合語のページへのリンク