玉井邦夫
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玉井 邦夫(たまい くにお、1959年 - 2021年12月31日)は、日本の心理学者。大正大学心理社会学部臨床心理学科教授、公益財団法人日本ダウン症協会代表理事を務めた。ダウン症の長男をもつ[1]。
略歴
千葉県生まれ。1983年に東北大学大学院修士課程(心身障害学)を修了後、情緒障害児短期治療施設「小松島子どもの家」にセラピストとして勤務した[2]。1991年、山梨大学教育人間科学部障害児教育講座の准教授に就任した。2008年より大正大学心理社会学部臨床心理学科教授を務めた。
2021年(令和3年)12月31日に62歳で死去した[3]。
社会活動
1997年、日本ダウン症協会会長に就任した。その後、公益財団法人日本ダウン症協会理事長を務めた。日本産業カウンセラー協会保育専門部会や子どもの文化学校において、保育士の研修講師として活動した。また、心身障害児保育事業「ぐんぐん教室」および山梨ダウン症児者を育てる親の会「芝草の会」の代表を務めた[2]。
著書
- 『ゆらぎつつ子育て 仙台・かたひら保育園物語』(ひとなる書房、1991年8月)
- 『瞬間(とき)をかさねて「障害児」のいる暮らし』(ひとなる書房、1994年8月)
- 『<子どもの虐待>を考える』(講談社現代新書、2001年9月)
- 『特別支援教育のプロとして子ども虐待を学ぶ』(学研プラス、2009年2月)
- 『発達障害の子どもたちと保育現場の集団づくり―事例とロールプレイを通して』(かもがわ出版、2009年8月)
- 『ダウン症のこどもたちを正しく見守りながらサポートしよう!』(日東書院本社、2012年3月)
- 『新版 学校現場で役立つ子ども虐待対応の手引き -子どもと親への対応から専門機関との連携まで』(明石書店、2013年4月)
- 『本当はあまり知られていないダウン症のはなし』(神奈川LD協会、2015年7月)
- 『エピソードで学ぶ 子どもの発達と保護者支援──発達障害・家族システム・障害受容から考える』(明石書店、2018年5月)
- 共著
- 『ダウン症ハンドブック 改訂版 家庭や学校・施設で取り組む療育・教育・支援プログラム』(日本文化科学社、2013年3月)
- 『学校をもっと楽しく!』(学研教育出版、2014年2月)
- 監修
- 『ふしぎだね!? ダウン症のおともだち(発達と障害を考える本)』(ミネルヴァ書房、2007年2月)
- 『みんなで考えよう 障がい者の気持ち 全7巻』(学研、2010年2月)
- 『ふしぎだね!? 新版 ダウン症のおともだち(発達と障害を考える本 5)』(ミネルヴァ書房、2019年9月)
- 絵本『あいちゃんのひみつ ダウン症をもつあいちゃんの、ママからのおてがみ』(岩崎書店、2020年3月)
- 解説
- 絵本『せいなるよるのたからもの』(新教出版社、2013年10月)
- 翻訳
- 『知られざる声 障害者の歴史に光を灯した女性たち』(湘南出版社、1995年6月)原タイトル『The other voices』著者:J. David Smith
- DVD
- 『ダウン症児の早期発達支援 地域で豊かに生活するために 第1巻 誕生から幼児期前半-成長のよろこびと可能性を求めて』(ジエムコ出版、2001年)
- 『ダウン症児の早期発達支援 地域で豊かに生活するために 第2巻 幼児期後半-生きる力を育てる』(ジエムコ出版、2001年)
- 『こころの傷ついた子どもにできること・できないこと 1(発達障害実践シリーズ ; 7 第3巻)』(神奈川LD協会、2010年)
- 『こころの傷ついた子どもにできること・できないこと 2(発達障害実践シリーズ ; 7 第4巻)』(神奈川LD協会、2010年)
- 『虐待臨床を通した子どものこころの理解(子どものこころシリーズ ; 1 第3巻)』(神奈川LD協会、2011年)
- 『発達障害と虐待 ~教育現場で何かを感じたら~ 気づきとその理解のために(全2巻)』(アローウィン、2011年7月)
- 『本当はあまり知られていないダウン症のはなし(発達障害実践シリーズ ; ファイナル 第6巻)』(神奈川LD協会、2013年)
所属学会
- 日本子どもの虐待防止研究会[4]
- 日本心理学会
- 日本小児保健学会
- 日本家族心理学会
- 日本児童青年精神医学会
- 日本特殊教育学会
メディア出演
- テレビ
- 記事
- 読売新聞オンライン「[論点]出生前診断で中絶倍増(3)ダウン症 正しい情報を」(2011年9月22日)[6]
- m3.com編集部「「DNA情報での中絶是非、議論を」- 玉井邦夫・日本ダウン症協会理事長に聞く」(2012年11月2日)[7]
- 日本経済新聞 「日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(1)ダウン症 誤解と「未知」多く」(2021年1月4日)[8]
- 日本経済新聞 「早い告知、両親そろって説明を 早期療育は定着 玉井邦夫(2)日本ダウン症協会代表理事」(2021年1月10日)[9]
- 日本経済新聞 「日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(3)延びる寿命「親亡き後」備えを」(2021年1月18日)[10]
- 日本経済新聞 「日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(4)人の「智慧」あり方を問う」(2021年1月25日)[11]
脚注
- ^ 玉井, 邦夫 (1998-12). “伴走としての障害児保育–ダウン症の長男とともに経験した6年間を通して”. 季刊保育問題研究 (174): 73–77. ISSN 0287-8453 .
- ^ a b “瞬間(とき)をかさねて | ひとなる書房” (Japanese). ひとなる書房 | 保育を考え共に歩んできた出版社 (2023年3月27日). 2025年4月4日閲覧。
- ^ “【訃報】代表理事玉井邦夫 逝去のお知らせ - 公益財団法人 日本ダウン症協会(JDS)公式サイト” (2022年1月8日). 2025年4月4日閲覧。
- ^ “玉井 邦夫 (Kunio Tamai) - 所属学協会 - researchmap”. researchmap.jp. 2025年4月4日閲覧。
- ^ “【教員の活躍】臨床心理学科の玉井邦夫教授がNHK Eテレ「すくすく子育て」に出演しました | 大正大学”. www.tais.ac.jp. 2025年4月4日閲覧。
- ^ “[論点]出生前診断で中絶倍増(3)ダウン症 正しい情報を”. ヨミドクター(読売新聞) (2011年9月22日). 2025年4月6日閲覧。
- ^ “「DNA情報での中絶是非、議論を」- 玉井邦夫・日本ダウン症協会理事長に聞く”. 医療維新 | m3.com. 2025年4月6日閲覧。
- ^ “日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(1) ダウン症 誤解と「未知」多く”. 日本経済新聞 (2021年1月4日). 2025年4月4日閲覧。
- ^ “早い告知、両親そろって説明を 早期療育は定着”. 日本経済新聞 (2021年1月10日). 2025年4月4日閲覧。
- ^ “日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(3) 延びる寿命「親亡き後」備えを”. 日本経済新聞 (2021年1月18日). 2025年4月4日閲覧。
- ^ “日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(4) 人の「智慧」あり方を問う”. 日本経済新聞 (2021年1月25日). 2025年4月4日閲覧。
外部リンク
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