波影
原題: | |
製作国: | 日本 |
製作年: | 1965 |
配給: | 東宝 |
スタッフ | |
監督: | 豊田四郎 トヨダシロウ |
製作: | 佐藤一郎 サトウイチロウ |
金原文雄 キンバラフミオ | |
原作: | 水上勉 ミズカミツトム |
脚色: | 八住利雄 ヤスミトシオ |
撮影: | 岡崎宏三 オカザキコウゾウ |
音楽: | 芥川也寸志 アクタガワヤスシ |
美術: | 伊藤熹朔 イトウキサク |
編集: | 広瀬千鶴 ヒロセチヅル |
録音: | 原島俊男 ハラシマトシオ |
スチール: | 中山章 |
照明: | 榊原庸介 サカキバラヨウスケ |
キャスト(役名) |
若尾文子 ワカオアヤコ (雛千代) |
大空真弓 オオゾラマユミ (世津子) |
山茶花究 サザンカキュウ (吉太郎) |
乙羽信子 オトワノブコ (まさ) |
中村賀津雄 ナカムラカツオ中村嘉葎雄 (忠志) |
柳家小せん ヤナギヤコセン (繁造) |
沢村貞子 サワムラサダコ (小杉イネ) |
田武謙三 タブケンゾウ (周旋人谷山) |
大辻伺郎 オオツジシロウ (彦次) |
春川ますみ ハルカワマスミ (さだ代) |
ロミ山田 ロミヤマダ (市子) |
木村俊恵 キムラトシエ (照子) |
岩倉高子 イワクラタカコ (小花) |
塩沢とき シオザワトキ (松の) |
石井富子 イシイトミコ (春子) |
大川恵美子 オオカワミエコ (悦子) |
河美智子 カワミチコ (文子) |
浪花千栄子 ナニワチエコ (おうた) |
深見泰三 フカミタイゾウ (かつらぎ楼の主人) |
太刀川寛 タチカワヒロシ (若い水兵) |
立原博 タチハラヒロシ (陸軍の兵卒) |
水島着哉 (若い男) |
三島雅夫 ミシママサオ (泊の和尚) |
解説 |
水上勉の同名小説を「喜劇 陽気な未亡人」の八住利雄が脚色「甘い汗」の豊田四郎が監督した文芸もの。撮影もコンビの岡崎宏三。 |
ストーリー※ストーリーの結末まで記載されていますので、ご注意ください |
毎年夏が訪れると世津子は泊部落の雛千代の墓を訪れる。今年もまた、世津子は墓の前で、雛千代の思い出にふけった。--世津子の家は「柾木家」の屋号で娼家を営んでいた。父吉太郎が小肥りで、色白な倉本かね子を連れて来たのは法事で泊に帰った時であった。この女が雛千代であった。廓という特殊な世界に、生来の明るさを失わず、自ら身を沈めて柾木家につくす様子は、吉太郎、女将まさに当然のように可変いがられた。そして、中でも一番雛千代に惹かれていたのは世津子だった。八歳の夏、雛千代に連れられ泊の里を訪れた世津子は、この部落に、部落から出ていった者は必ず帰って来るという“まいまいこんこ”の風習があることを教えられた。閑静な寂しい部落のこの話は、世津子の脳裏に強く残った。昭和十六年、吉太郎の亡くなった柾木家に、世津子の兄忠吉が除隊され帰って来た。陰気で人を寄せつけない忠吉に、雛千代は何かと勤め、世話を惜しまなかった。昭和二十一年公娼廃止により柾木家も転業を迫られたが、遊女志願はあとを断たなかった。不節操な戦後派の女たちを、快よく迎えた雛千代と世津子だったが、女たちは、その好意を足げにして、柾木家を去っていった。そんな時、忠吉が母親まきと口論の末、「柾木家」に放火した。警察に捕われた忠吉を、雛千代は励まし続けた。この頃世津子は、京都女専卒業をひかえ、希望の教員の夢は断れた。誰よりもそれを夢みていた雛千代の失望は大きかった。やがて柾木家は復旧され、再開されたがその頃雛千代は病気で倒れた。BGになった世津子が枕元に訪れる間もなく、雛千代は息をひきとった。そして世津子に見守られて遺体は「まいまいこんこ」で葬られた。--今、墓の前で、世津子の耳に波音に交って、雛千代の声が聞こえてるようだった。 |
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