原爆手帳とは? わかりやすく解説

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被爆者健康手帳

(原爆手帳 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/29 16:31 UTC 版)

被爆者健康手帳(ひばくしゃけんこうてちょう)は、広島・長崎の原子爆弾投下に起因して被爆した人に対して「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」(通称「被爆者援護法」)に基づき交付される手帳。所定の要件を満たした者は、医療費などの支援を受けることが出来る。2023年7月3日、厚生労働省が明らかにしたところによれば、「被爆者健康手帳」を持つ人は3月末で11万3649人となり、前年より5286人減った。平均年齢は前年から0.48歳上がり、85.01歳[1]

申請の条件

申請に必要な資格は次の通りである。広島市長崎市についてそれぞれ記す。

  1. 直接被爆者(原子爆弾投下の際、次の区域内にあった者)
  2. 入市被爆者(爆心地から概ね2km圏内に入った者)
  3. 市外で原子爆弾が投下された後2週間以内に負傷した被爆者の救護搬送や死体処理に携わった者(15人以上(出入口以外は壁などで閉ざされ、比較的狭小な部屋などは5人以上)の被爆して負傷した者が収容されている収容施設などにおおむね2日間以上とどまった者、1日当たり5人以上の被爆して負傷した者と接触した者)、及びそれらに相当する被爆事実が認められる者[2](一般には、当時の爆心地を中心とした一定範囲内の海上で被爆した者やいわゆる「黒い雨」に晒された者も含まれることになると思われるが、影響範囲の認定[3]やとくに黒い雨については降った地域につき各説あり事実認定で問題となることも多い[4][5]。)
  4. 上記各項に該当する者の胎児(長崎にあっては昭和21年6月3日まで、広島にあっては昭和21年5月31日までに生まれた者)

なお、現在は市町村名や区域の変更されている場合がある。

申請の際には、

  • 被爆者健康手帳交付申請書
  • 申述書(兼誓約書)
  • 被爆証明書(第三者2名以上の証言)
  • 罹災証明書・在学証等公的機関が発行した証明書(証明書がある場合)
  • 被爆当時の家族の状況票
  • 理由書
  • 住民票
  • 戸籍抄本(胎児の場合)
  • 印鑑

が必要である。なお、第三者の証言については無くても申請可能である。

手帳取得によって得られる支援

一部は別途原爆症の認定が必要となるが、医療特別手当・特別手当・原子爆弾小頭症手当・健康管理手当・保険手当・介護手当(費用介護手当・家族介護手当)・葬祭料などの手当

また、指定医療機関・一般疾病医療機関での治療について、本手帳などを提示することで、保険診療について自己負担分を負担しないで、あるいは原爆症の認定を受ければそれについては全額国費で、医療を受けることが出来る。また、なんらかの理由で手帳を提示しなかった場合についても、後日都道府県知事に払い戻しを請求することが出来る。ただし、自己の故意・過失などによって生じた病気・けが、放射線と関連のない疾病などについては給付を受けられないことがある。

1957年、原爆医療法施行、被爆者への援護が開始されることになり、被爆者手帳が交付されることになったが、当初は、単に年2回健康診断が受けられるというだけのものであった。被爆者らの運動により、1960年、特別被爆者制度が創られ、2km以内の被爆者に医療費の自己負担分が無料化。1968年、原爆被爆者特別措置法施行、各種病気の種類を挙げて手当を出す。1995年、被爆者援護法施行、手当の所得制限撤廃等の充実が図られた。[6]

被爆者健康手帳を巡る課題

在外被爆者(戦時に広島、長崎で被爆し、後に帰国した韓国人および戦後海外移住した日本人、帰化した日系人)に対し、国籍を問わず被爆者健康手帳が交付されており、手帳保持者は平成26年3月時点で約4,400人とされている。

在外被爆者については、申請手続きや被爆当時の所在証明の困難の他、現地と日本国内における医療制度の相違などによる支援が受けにくさを補うため、現地での原爆症認定および健康診断受診者証の交付申請や、日本での治療および手帳交付のための渡日旅費の支給、現地での健康相談、現地での医療費助成、医師等の研修受け入れなどの支援措置が採られるようになった。

脚注

外部リンク


「原爆手帳」の例文・使い方・用例・文例

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