功労勲章 (ウクライナ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/11 22:01 UTC 版)
ウクライナ功労勲章 | |
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種別 | 3等級の功労勲章 |
受章資格 | ウクライナ市民、外国人、無国籍者 |
状態 | 授与中 |
歴史・統計 | |
創設 | 1996年9月22日 |
序列 | |
上位 | ヤロスラフ賢公勲章 |
下位 | ボフダン・フメリニツキー勲章 |
![]() ウクライナ功労勲章のリボン(1等) |
ウクライナ功労勲章(ウクライナ語: Орден «За заслуги»)は、ウクライナの国家勲章で、経済、科学、技術、社会文化、軍事、行政、公共活動などの分野で顕著な功績を挙げた個人に授与される。1996年9月22日、ウクライナ大統領レオニード・クチマにより創設された[1]。1等から3等までの3等級があり、1等が最高位である。受章者は「ウクライナ功労勲章シュヴァリエ」(騎士)の称号を授与され、死後叙勲も可能である[2]。
歴史
ウクライナ功労勲章は、ウクライナ独立後初の勲章である「ウクライナ大統領名誉賞」(Почесна відзнака Президента України)に由来する。この名誉賞は1992年8月18日、大統領レオニード・クラフチュクにより創設された[3]。1996年9月22日、名誉賞は3等級のウクライナ功労勲章に改組され、従来の名誉賞受章者は功労勲章3等と同等とみなされた。名誉賞受章者は引き続きその徽章を着用する権利を有し、名誉賞の新規授与は終了した[1]。
2000年3月16日、ウクライナ最高議会は「ウクライナの国家勲章に関する法律」を制定し、ウクライナ功労勲章を公式な国家勲章として確立。過去の大統領名誉賞に関する法令もこの法律に統合された[2]。
ウクライナ大統領名誉賞(1992年–1996年)
ウクライナ大統領名誉賞 |
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リボン |
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授与基準
ウクライナ功労勲章は、以下の基準に基づき授与される[1]:
- ウクライナ市民:経済、科学技術、社会文化、軍事、行政、公共活動での顕著な功績。授与は3等から順に進み、通常、前の等級受章から3年以上経過後に次の等級が授与される。
- 外国人および無国籍者:
- 1等:国家元首、政府首脳、議会議長、閣僚。 - 2等:副首相、副議長、閣僚、外国大使。 - 3等:大使館員、著名な政治家、芸術家、科学者、実業家など。
- 軍人受章者の場合、2等および3等の徽章に交差した剣が付加される。
勲章のデザイン
ウクライナ功労勲章は、1等、2等、3等の3等級に分かれ、デザインは以下の通りである。1等と2等の徽章は銀製、3等はニッケル銀(ニュージルバー)製で、軍人受章者には交差した剣が付加される[4]。
1等
- 徽章:銀製の十字形で、端は丸みを帯び、マルーン色のエナメルで覆われる。中央にトライズブ(三叉矛)とオーク・ローレルのリースが配され、放射状の光線が背景に広がる。大きさは55mm。首にかけるリボンで着用。
- 星章:銀製の八角星形で、直径77mm。中央にトライズブと「За заслуги Україна」(ウクライナの功績のために)の銘文。マルーン色のエナメルと金色の装飾が施される。左胸にピンで固定。
2等
- 徽章:銀製の十字形で、1等と類似するが光線が対角線上に配置。大きさは50mm。リボン付きの装飾台(長さ45mm、幅28mm)に取り付けられ、左胸にピンで固定。
- 軍人用には、金色のトムパック製の交差した剣が装飾台に追加。
3等
- 徽章:ニッケル銀製の十字形で、マルーン色のエナメルと金色のトライズブ・リースが特徴。大きさは37.2mm。2等と同様の装飾台で左胸に固定。
- 軍人用には、交差した剣が追加。
リボンとミニチュア
- リボン:マルーン色のモアレ生地に、ウクライナ国旗の青と黄の縞(各2.5mm)が右端に配される。幅は28mm。
- プランカ:リボンで覆われた金属板(12mm×28mm)。1等は金色、2等は白色、3等はニッケル銀の十字が付く。
- ミニチュア(フラチニク):3等徽章の縮小版(22mm)。1等・2等は銀製、3等はニッケル銀とトムパック製。装飾台は長さ30mm、幅18mm。
1等 | 2等 | 3等 | |||
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徽章と星章 | 徽章(文民/軍人) | 徽章(文民/軍人) | |||
リボン | |||||
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著名な受章者
ウクライナ功労勲章は、文化、科学、軍事、スポーツなどの分野で活躍する人物に授与されている。以下は著名な受章者の例である[5][6]:
- ビタリ・クリチコ(ボクシング選手、キエフ市長、1等、2016年) - スポーツと政治での貢献。
- アンドリー・シェフチェンコ(サッカー選手、3等、2004年) - ウクライナサッカーの国際的評価向上。
- エリザベータ・メレシュコ(パラリンピック選手、3等、2016年) - パラリンピックでの金メダル獲得。
- ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ(映画監督、3等、2021年) - 映画『アトランティス』での文化的貢献。
- ジャマラ(歌手、3等、2016年) - ユーロビジョン・ソング・コンテスト優勝による文化的貢献。
着用順序
ウクライナ功労勲章の着用順序は以下の通り[2]:
- 1等徽章:ヤロスラフ賢公勲章2等・3等の後、首にかける。
- 1等星章:ヤロスラフ賢公勲章1等・2等の星章の後、左胸に。
- 2等・3等徽章:ヤロスラフ賢公勲章4等・5等の後、左胸に。
脚注
- ^ a b c “Про встановлення відзнаки Президента України — ордена «За заслуги»” (ウクライナ語). Офіційний вебпортал парламенту України. 2025年5月12日閲覧。
- ^ a b c “Про державні нагороди України” (ウクライナ語). Офіційний вебпортал парламенту України. 2025年5月12日閲覧。
- ^ “Про заснування Почесної відзнаки Президента України” (ウクライナ語). Офіційний вебпортал парламенту України. 2025年5月12日閲覧。
- ^ “Про орден «За заслуги»” (ウクライナ語). Українське геральдичне товариство. 2025年5月12日閲覧。
- ^ “Лауреати” (ウクライナ語). Комітет з Національної премії України імені Тараса Шевченка. 2025年5月12日閲覧。
- ^ “Укази Президента України” (ウクライナ語). Офіційне інтернет-представництво Президента України. 2025年5月12日閲覧。
関連項目
- ヤロスラフ賢公勲章
- ボフダン・フメリニツキー勲章
- シェフチェンコ・ウクライナ国家賞 - 文化分野での功績を称えるウクライナの最高賞
- ウクライナ大統領名誉賞
外部リンク
- 功労勲章 (ウクライナ)のページへのリンク