初等同値性とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 初等同値性の意味・解説 

初等同値性

(初等部分構造 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 18:50 UTC 版)

数理論理学の一分野であるモデル理論において、同じシグネチャ σ の2つの構造 MN が同じ一階σ-文を満たすとき、MN初等的同値であるという。

NM の部分構造であるとき、さらに強い条件について考える場合がある。NM初等部分構造 であるとは一階 σ-式 φ(a1, …, an)(ただしパラメータ a1, …, an は全て N の元)が N で真であることと M で真であることが同値であること。NM の初等部分構造であるとき、MN初等拡大 という。埋め込み hN → Mh(N) が M の初等部分構造であるとき、N から M への 初等埋め込みと呼ぶ。

M の部分構造 N が初等的であるのは、それがタルスキ–ヴォートテストを通ることと同値である: すなわち x を未知数とする任意の1階の式 φ(xb1, …, bn)(ただし、パラメータは全て N の元)が M に解を持つならいつでも N でも解を持つこと。また、二つの構造の初等同値性を示すにはEhrenfeucht–Fraïssé gamesを用いた判定法もある。

初等埋め込みはrank-into-rank基数を含む巨大基数研究に用いられる。

初等同値な構造

同じシグネチャ σ の構造 MN初等的同値であるとは、自由変数を持たない σ 上の一階文が M で真であることと N で真であることが同値であることである。すなわち、MN が同じ完全な一階理論を持つことである。MN が初等的同値であることを M ≡ N で表すことがある。

一階の理論が完全であることは、その理論のいかなる二つのモデルも初等的同値であることと、同値である。

例えば、一つの二項関係記号 '<' のみを持つ言語を考える。通常の順序を入れた実数全体の集合 R有理数全体の集合 Q は初等的同値である。というのも、両方とも '<' は非有界の稠密線型順序であるからである。それで初等同値性が分かるのは、ウォッシュ-ヴォートテストで示されるように、非有界稠密線型順序の理論が完全であるためである。

より一般に、無限モデルを持ついかなる一階理論にも、同型でない初等同値なモデルが存在する。このことはレーヴェンハイム-スコーレムの定理から得られる。例えば、ペアノ算術超準モデルは通常の 0, 1, 2, etc. 以外のオブジェクトを持つが、標準モデルと初等的同値である。

初等部分構造と初等拡大

NM初等部分構造初等部分モデル であるとは、NM が同じシグネチャ σ についての構造であって、全ての一階 σ-式 φ(x1, …, xn) (ただし、x1, …, xn は自由変数)について a1, …, anN の元であるのならば、φ(a1, …, an) が N で成り立つときかつその時に限り M でも成り立つことをいう:




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  初等同値性のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

初等同値性のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



初等同値性のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの初等同値性 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS