乗数・加速度モデルとは? わかりやすく解説

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乗数・加速度モデル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/06/15 13:11 UTC 版)

乗数・加速度モデル(じょうすうかそくどモデル、: Multiplier–accelerator model)とは、景気循環を説明するモデルである。ハンセン=サミュエルソンの乗数・加速度モデルとも呼ばれる。ポール・サミュエルソンSamuelson, P.A. (1939))が発表し、J. R. ヒックスHicks, J.R. (1950))が発展させた。発展させたものはサミュエルソン=ヒックスの乗数・加速度モデルと呼ばれる。

概要

乗数・加速度モデルは乗数原理と加速度原理を合わせ、景気循環を説明しようというものである。以下はサミュエルソンによる乗数・加速度モデルである[1][2]

(1)
(2)
(3)

ただし、

  • : GDP
  • はt期の消費。は基礎消費。
  • はt期の投資。は独立投資。
  • : 消費性向
  • : t期(時間)
  • : 加速度係数

をそれぞれ指す。

ここで、(1)はt期の国民所得が消費されるか投資されるかのいずれかであることを示している。(2)はt期の消費がどのように決定されるかを示している。(3)はt期の投資がどのように決定されるかを示している。(3)式は加速度原理を表している[3]

(1)、(2)を(3)に代入すると、

(4)

という2階差分方程式を得る。これを(4)式とする。

とおいて、(4)式を整理すると、

(4')

(4')式の不動点を求めると、

(5)

これを(5)式とする。

(4')式の特性方程式は、

(6)

この特性方程式を(6)式とする。(6)式の判別式をDとすると

よって、が正のとき実根が存在し、負のとき複素根が存在する。 (6)式の特性根は

このモデルで示される経済は、(6)式の特性根が実根の場合、時間とともに単調に発散するか、単調に不動点に収束することになる。このモデルで示される経済は、(6)式の特性根が複素根の場合、変動が存在する。 複素根が存在するとして、これらの複素根を

と置く。さらに、特性根の絶対値をとすると、

となる。これらの式から、

同次部分の一般解を求めると、

(6)式の特性根の式から、

なので、

となる。このとき、ならば解の軌道は時間とともに振動しながら不動点に収束し、ならば解の軌道は時間とともに振動しながら発散する[4]

このサミュエルソンの乗数・加速度モデルの特性方程式が複素根を持つ場合に対して、J. R. ヒックスは床と天井の概念を導入した[4]

脚注

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関連項目

参照文献




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