ハールートとマールート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/24 22:47 UTC 版)

ハールートとマールート(Harut wa Marut)はコーラン2章102節によれば、次のように記されている。「そしてかれらは、悪魔たちがスライマーン(ソロモン)の王権に就いて、(偽って)述べることに従った。スライマーンは不信心ではなかった。しかし悪魔たちは不信心だったので人びとに魔術を教え、またバビロンでハールートとマールートの両天使に授けられたものを教えた。だが両天使は「わたしたちは試みるだけだ。それで不信心になってはならない」と告げた後でなければ、誰にも教えなかった。かれらは両者から、夫と妻の間を引き離す術を学んだ。だが悪魔とて、アッラーの御許しがない限り、それで誰も害することは出来なかった。しかし人びとは、自分に害になる、益のないことを学んだ」ハールートとマールートの教えたことは人間への試みであり、人間は自由意志によって自分たちの害になることを学んだと明記されている。
天使たちは本来、肉欲と酒に溺れる人間を見下す正直な人々でした。しかし、神から「あなたたちも地上に行けば、そうなるかもしれない」と告げられた時、それは愚かなことだと思い、人間たちと暮らすために地上に降り立ちました。3日ほど経つと、天使たちは肉欲と酒に溺れ、ついには「ある美しい女性」に「秘密の名前」を教えてしまいました。すると、その名前の魔力によって、女性は天に昇り、ヴィーナスとなってしまいました。その結果、二人は神の怒りを買い、バビロンの深い井戸で髪の毛を引っ張られて吊るされてしまいました。
別の説では二人一組の地獄の番人とされ、地獄に落ちた罪人に永遠の責め苦を与えるという。
比較神話学者ジョルジュ・デュメジルによれば、ハールートとマールートの起源はゾロアスター教におけるハルワタートとアムルタートであるという。
参考文献
- 真野隆也『天使』 新紀元社、1995年、87頁。
- 『悪魔事典』 新紀元社、2000年、220-221頁。
- 日本ムスリム協会『日亜対訳・注解 聖クルアーン』1996年、18-19頁
関連項目
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