ハピエスト・ニュークリア・ウィンターとは? わかりやすく解説

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ハピエスト・ニュークリア・ウィンター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/24 15:38 UTC 版)

『Happiest Nuclear Winter』
ザ・ブロベックススタジオ・アルバム
リリース
録音 2004年3月14日 - 12月5日
ジャンル
時間
プロデュース マット・グラス英語版
ザ・ブロベックス アルバム 年表
  • Understanding The Brobecks
  • (2003年)
  • Happiest Nuclear Winter
  • (2005年)
  • The Brobecks EP
  • (2005年)
映像外部リンク
『Happiest Nuclear Winter』 - YouTubeプレイリスト
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ハピエスト・ニュークリア・ウィンター』(英: Happiest Nuclear Winter)は、2005年1月22日に発売されたアメリカ合衆国のインディー・ロック・バンドであるザ・ブロベックスの2枚目のスタジオ・アルバム[3][4]。発売後、収録曲のうち「Better Than Me」と「Boring」の2曲が4枚目のスタジオ・アルバム『Violent Things』の収録曲として[5]、「A Letter」がアイ・ドント・ノウ・ハウ・バット・ゼイ・ファウンド・ミーの2枚目のスタジオ・アルバム『GLOOM DIVISION』の収録曲として再録音された[6]

2025年1月1日にノーン・ユー・ジャーク・レコードからリマスター盤が発売された。

内容と評価

本作の録音作業は、2004年3月14日から12月5日にかけて行われた[7]。録音作業はベーシストのダロン・ウィークスが所有するガレージで行われ、プロデュースはドラマーのマット・グラス英語版が手がけた。ウィークスは本作について「自分たちが何をしているのかわかっていない子どもたちにとってはかなり野心的なものだった」と述べた[8]

タブロイド紙『ソルトレークシティ・ウィークリー英語版』のビル・フロストは本作の楽器編成を称賛し、テレビドラマ『The O.C.』や映画『アトミック・カフェ』の音楽になぞらえた[1]。月刊誌『スラッグ英語版』のネイト・マーティンは本作にいくつか収録されている「ジャズに近いピアノの小曲」を称賛し、本作におけるその音楽性を「ウィーザー+ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ+ザ・フレーミング・リップス+アルカリ・トリオ英語版」とたとえた[2]

「A Letter」

「A Letter」はウィークスが書いた楽曲で、「デイヴ・フリッドマン風の」楽曲として制作された[9]。曲はシンセサイザーのソロで始まり、その後不協和音に乗せて「愛する者への手紙」が歪みを加えた声で語られる[10]。ウィークスは公式Twitter上で「スポークン・ワードを取り入れた曲を作りたかったんだ」と語り[11]、本作のスポークン・ワードはグラスが担当した[12]。ウィークスはライブで観客と合唱することを意図して曲を書いたが、実行するにはファンが少なすぎたことから当時のライブで演奏されることはなかった[9]。オンラインマガジン『ディストーテッド・サウンド』のエド・ウォルトンは、本作のサウンドスケープについてバズ・ラーマンの「Everybody's Free (To Wear Sunscreen)」と比較して言及している[10]

2016年12月、ウィークスはザ・ブロベックスの元ドラマーであるライアン・シーマンとともにアイ・ドント・ノウ・ハウ・バット・ゼイ・ファウンド・ミー(以下「iDKHOW」)を始動[13]。iDKHOWのライブではザ・ブロベックスの楽曲も演奏され[14]、本作もそのうちの1つであった[15]。ウィークスはiDKHOWのファンがじゅうぶんに集まり、10年以上あたためていたアイデアを実現できそうだと判断したことから本作を演奏曲に加えた[9]。ライブの演奏に際して原曲の分離したボーカル・トラックを持っておらず、原曲で担当したグラスのスケジュールが合わなかったことなどからロボットの声で作り直すこととなった[16]

2024年にiDKHOWの2枚目のスタジオ・アルバム『GLOOM DIVISION』が発売され、9曲目に本作の再録音した演奏が収録された[6]。再録音にあたってはフリッドマンが制作に携わり[9]、原曲と同じくグラスのスポークン・ワードを軸としながら、バッキング・ボーカルなどの要素が加えられている[12]。また、曲のエンディング部分にはザ・デポ公演で録音した観客による合唱が使用されている[17]

発売

アルバム『Happiest Nuclear Winter』は、2005年1月22日にキルビー・コート公演で発売された[1]。発売当時はCDでのみ流通し、ロイヤリティなどの問題から音楽配信は行われていなかった[18]。2012年9月9日、ウィークスが作詞作曲を手がけ、ボーカルを務めた5曲がBandcamp内で配信開始された[8]。2024年6月、Spotifyをはじめとした音楽ストリーミングサービスで第三者によって違法アップロードされるという事態が発生し、これにより本作の再発売の計画が複雑化することとなった[18]

12月10日、ウィークス夫妻が所有するノーン・ユー・ジャーク・レコードが本作を2025年1月1日に再発売することを発表し、ティザー映像を公開した[19][20]。再発売に合わせて、2025年1月2日にメンバーのインタビュー映像や初期2作品のメイキング映像などで構成されるドキュメンタリー『Not Dead Yet』の制作が発表された[21]

収録曲

CD
全作詞・作曲: ザ・ブロベックス。
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. 「C'mon Vietnam」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
2. 「Better Than Me」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
3. 「Everyone's a Jerk」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
4. 「One Minute of Fun」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
5. 「You Stole My Head」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
6. 「Ollie」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
7. 「A Letter」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
8. 「And Shoot the Sun」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
9. 「Boring」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
10. 「File Code #1459」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
11. 「Die Alone」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
12. 「She's a Robot[注 1] ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
合計時間:
Bandcamp
全作詞・作曲: ザ・ブロベックス。
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. 「C'mon Vietnam」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
2. 「Die Alone」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
3. 「A Letter」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
4. 「Ollie」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
5. 「Boring (dance version)」 ザ・ブロベックス ザ・ブロベックス
合計時間:
B-Side(再発盤のみ)
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
13. 「Christmas Drag」    
14. 「Globular」    
合計時間:

クレジット

※出典[22]

脚注

注釈

  1. ^ 2025年の再発盤では無音を挟んで隠しトラックが収録されている[3]

出典

  1. ^ a b c Frost, Bill (2004年12月30日). “The Brobecks, Royal Bliss, The Street ...”. Salt Lake City Weekly. オリジナルの2020年12月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20201204163924/https://www.cityweekly.net/utah/the-brobecks-royal-bliss-the-street/Content?oid=2131013 2025年10月13日閲覧。 
  2. ^ a b Martin, Nate (16 April 2005). “Local Review: The Brobecks – Happiest Nuclear Winter”. SLUG. 2022年10月4日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月13日閲覧.
  3. ^ a b Serra, Maria (11 December 2024). “The Brobecks Tease A Re-Release Of 'Happiest Nuclear Winter'. idobi.com. idobi Network. 2025年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月13日閲覧.
  4. ^ Wilson-Taylor, James (2 January 2025). “The Brobecks Release Trailer For 'Not Dead Yet' Documentary”. Rock Sound. 2025年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月13日閲覧.
  5. ^ Montgomery, Kit (12 February 2015). “We're so Bro-Back”. F Newsmagazine. 2025年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  6. ^ a b Rittman, Jenna (7 March 2024). “iDKHOW returns after four years with 'GLOOM DIVISION'. The Signal. SON Works. 2024年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  7. ^ “News”. brobecks.com. 2005年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月15日閲覧.
  8. ^ a b “Happiest Nuclear Winter | The Brobecks”. Bandcamp. 2025年10月15日閲覧.
  9. ^ a b c d Wilson-Taylor, James (5 October 2023). “iDKHOW, 'GLOOM DIVISION' | The Album Story”. Rock Sound. 2023年10月5日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  10. ^ a b Walton, Ed (21 February 2024). “ALBUM REVIEW: Gloom Division - I Don't Know How But They Found Me”. Distorted Sound Magazine. 2024年2月21日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  11. ^ Dallon Weekes [@DallonWeekes] (7 June 2018). “No, it came from an old encyclopedia about space that was printed in the late 1960's”. X(旧Twitter)より2025年10月15日閲覧.
  12. ^ a b Phillips, Brooke (28 February 2024). “I DONT KNOW HOW BUT THEY FOUND ME's "GLOOM DIVISION" is nostalgic, personal”. The Post. SON Works Solutions. 2024年3月8日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  13. ^ Pettigrew, Jason (22 July 2019). “iDKHOW is a band for the scene that has everything”. Alternative Press. 2022年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  14. ^ Riddell, Rose (11 December 2018). “Interview: IDKHOW on their new EP, touring, and more”. Coup de Main (Interview). 2021年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  15. ^ Chung, Samantha H. (16 April 2024). “IDKHow Concert Review: A Lively Night in Gloomtown”. The Harvard Crimson. 2024年4月20日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  16. ^ Dallon Weekes [@DallonWeekes] (7 June 2018). “I didn't have the original isolated vocal track for it”. X(旧Twitter)より2025年10月18日閲覧.
  17. ^ GLOOM DIVISION (Media notes). I DONT KNOW HOW BUT THEY FOUND ME. Concord Records. 2024.{{cite AV media notes}}: CS1メンテナンス: cite AV media (notes) のothers (カテゴリ)
  18. ^ a b Becker, Sarah (16 June 2024). “Hacked Dallon Weekes account slanders Taylor Swift and others”. AudioPhix. Minute Media. 2024年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  19. ^ None You Jerk Records [@noneyoujerkrecords] (10 December 2024). “Remain happy”. Instagramより2025年10月18日閲覧.
  20. ^ Wilson-Taylor, James (11 December 2024). “The Brobecks Set To Re-Release 'Happiest Nuclear Winter' Album”. Rock Sound. 2024年12月11日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  21. ^ Wilson-Taylor, James (2 January 2025). “The Brobecks Release Trailer For 'Not Dead Yet' Documentary”. Rock Sound. 2025年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月18日閲覧.
  22. ^ “The Brobecks: Happiest Nuclear Winter (2005)”. Matt Glass - Glass Brain . com. 2011年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2025年10月13日閲覧.

外部リンク




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