トリックテイキングゲームとは? わかりやすく解説

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トリックテイキングゲーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/19 04:43 UTC 版)

トリックテイキングゲームは、トランプを初めとするカードゲームの、遊び方の一分類である。

トリックテイキングゲームにはカードゲームとほぼ同じ長さの歴史が存在する。タロットも、もともとはトリックテイキングゲームを遊ぶために作られたカードである。

最も簡単なルール

トリックテイキングゲームには様々な変種があるため、まずは最も簡単なルールを説明する。これは後述の分類でいう「切り札のないプレイントリックゲーム」にあたる。

トリックテイキングゲームではまず、各プレイヤーに同じ枚数の手札を裏向きに配る。枚数は遊戯毎に違う。札を配り終わったら、札が無くなるまでトリックと呼ばれるミニゲームを繰り返し、各ミニゲーム毎に勝者を決める。勝った(テイクした)トリックの数が最も多い人がゲームの勝者になる。

各トリックの手順は以下を行う。まず定められた1人が任意のカードを1枚、場に表向きに出す(カードをリードする という)。そしてその後左周りに順々に、1人1枚ずつ札を出していく。この際、以下のルールに従わねばならない。

  • リードされたスート(=マーク)と同じスートの札があれば、その中から1枚任意に選んで表向きに出す(フォローするという)。
  • そのような札が無ければ、任意の1枚を表向きに出す(ディスカードするという)。

たとえばハートがリードされたら、ハートを持っているプレイヤーはハートの札を出さねばならないが、そうでないプレイヤーはどの札を出してよい。フォローできるのにフォローしないのは反則である(マストフォロー・ルール)。

全員が一人ずつ札を出し終わったら、そのトリックは終了である。リードされたスートと同じスートの札(すなわち、リードした札もしくはフォローした札)の中で最もランクが高い札を出した人がそのトリックの勝者になる(多くのゲームではランクはA>K>Q>…>3>2の順)。よってカードをディスカードしたプレイヤーは、どんなに高いランクの札を出そうが、決してそのトリックで勝つことができない。特に誰一人フォローしなかった場合は、リードした人が自動的にそのトリックの勝者になる。

トリックが終了したら、そのトリックで使った札を裏返して場の端に置いておく。これらの札はゲーム中、二度と使用しない。

トリックの勝者が次のトリックでカードをリードする。なお、ゲームの最初に行なうリードをオープニング・リードという。どのプレイヤーがオープニング・リードを行なうのかは遊戯毎に異なる。

切り札のあるルール

多くのトリックテイキングゲームでは、事前に切り札スートと呼ばれているスートが決まっていて、切り札スートの札(切り札)は他のスートのカードよりも強い。切り札スートの決め方は遊戯毎に異なる。 切り札スートのないルールを切り札スートのあるルールと区別するため、切り札のないルールをノートランプ・ルールという。なお、ノートランプのトランプとは切り札のことを指す。日本語ではカード52枚を全てトランプというので、混同しないように注意する必要がある。

切り札スートの決まっているトリックテイキングゲームでも、基本的な流れは切り札なしのトリックテイキングゲームの場合と同じで、各プレイヤーにあらかじめ同じ枚数の手札をディールし、札をディールし終わったら札が無くなるまでトリックと呼ばれるミニゲームを繰り返す。勝ったトリックの数が最も多い人がゲームの勝者になる。

各トリックでは、以下を行う。まず一人がカードをリードする(切り札でもよい)。そしてその後左周りに順々に各プレイヤーがカードを場に1枚ずつ表向きに出してゆく。前回同様、リードされたスートと同じスートの札を出すことをフォローするという。

フォローできるときはフォローしなければならない(マストフォロー・ルール)が、そうでないときは任意の札を出す。そして「切り札スート>リードされたスート」の順でトリックの勝者を決める。より正確に言うと、以下のルールで札を出し、勝者を決める。

  • 切り札以外がリードされた場合
    • リードされたスートと同じスートの札があれば、たとえ切り札を持っていても、リードされたスートの札を任意に選んで出す。
    • リードされたスートと同じスートの札がなければ、切り札を出してもその他の札を出してもよい。切り札以外の札を出す事をディスカードするという。
    • 切り札スートが場に出ていれば、切り札スートで一番高いランクの札を出した人がトリックの勝者。
    • 切り札スートが場に出ていなければ、リードされたスートで一番高いランクの札を出した人がトリックの勝者。
  • 切り札がリードされた場合
    • リードされたスートと同じスートの札があれば、リードされたスートの札を任意に選んで出す。リードされたスート=切り札スートなので、もちろん切り札を出してもよいし、出さねばならない。
    • リードされたスートと同じスートの札がなければ、任意の札を出す(ディスカードするという)。リードされたスート=切り札スートなので、ここで切り札が出ることはありえない。
    • 切り札スート=リードされたスートで一番高いランクの札を出した人がトリックの勝者。

前回同様、カードをディスカードしたプレイヤーは、どんなに高いランクの札を出そうが、決してそのトリックで勝つことができない。

切り札狩り

切り札のあるゲームの基本戦略として、切り札狩りが知られている。これは、切り札を多く持っているプレイヤーが切り札を何度もリードする、という戦略である。リードには可能なら必ずフォローしなければならないので、切り札をリードされると、他のプレイヤーは可能なら必ず切り札を出さねばならない。よって切り札リードを繰り返すうちに他のプレイヤーの切り札が全て無くなり、切り札を持っているのは自分だけという状況を生み出すことができる。

プレイヤーがさらにA、K、Qのような高位の切り札を独り占めしてるときは、切り札狩りがしやすい。というのも、高位の切り札から順にリードしていくと、毎回自分がトリックで勝利して次のトリックのリード権を獲得し、切り札の連続リードが可能になるからである。

勝敗の決め方の分類

パーラットは、トリックテイキングゲームを以下の3種類に大別している[1]

プレイントリックゲーム
トリックに勝利した数によって勝敗が決まるもの。上記の例はこの方式に従っていた。コントラクトブリッジスペードユーカーなどがこの類型に属する。
ポイントトリックゲーム
トリックで獲得したカードの点数によって勝敗が決まるもの。スカートピノクル日本式ナポレオンなど。
トリックアボイダンスゲーム(またはペナルティトリックゲーム[2]
通常と逆に、トリックをなるべく取らないようにするもの。ハーツなど。

そのほかに、下位分類として以下のような類型を認めている。

トリックアンドブラフ
トリックで勝つ以外に、勝った時の点数を釣り上げることによって相手を降参させることができるもの。トルーコなど。
トリックアンドメルド
トリック以外に手札の中にある役(メルドという。例えばAAAのスリーカード)で点がつくもの。ピケピノクルシュナプセンなど。
オークションゲーム
切り札やゲームの目的を競りによって決めるもの。コントラクトブリッジスカートなど。

マストフォローの変種

通常「マストフォロー」と言った場合は、「フォローできるならばしなければならない。なければ何を出してもよい」という意味で、大部分のトリックテイキングゲームがこの方式に従う。しかし、これ以外の原則に従うトリックテイキングゲームもある。

  1. 切り札はいつでも出せる(たとえリードと同じスートのカードを持っていても、それを出さずに切り札のカードを出せる)。切り札を出さない場合、フォローできるならばしなければならないが、なければ何を出してもよい。セブンアップヤスなど。(ただしヤスでは台札が切り札でなく、かつ切り札を出す場合、いままで場に出ているカードに勝てる切り札を持っているならそれを出さねばならない)
  2. フォローできるならばしなければならない。フォローできないとき、切り札を持っていればそれを出さなければならない。切り札もなければ何を出してもよい(マストフォローマストラフ・ルール)。プレフェランスなど。タロットゲームの多くもこの類型に属する。
  3. フォローできるならばしなければならない。フォローできないとき、切り札を持っていればそれを出さなければならない。切り札もなければ何を出してもよい。切り札を出す場合は、いままでに場に出ているカードに勝てる切り札を持っているならばそれを出さなければならない(マストフォローマストラフマストウィン・ルールの一種)。フランス式タロット・ブロット・クラーフェルヤスなど。
  4. フォローできるならばしなければならない。フォローできないとき、切り札を持っていればそれを出さなければならない。切り札もなければ何を出してもよい。かつ、いままでに場に出ているカードよりも強いカードを持っている場合は、それを出さなければならない(マストフォローマストラフマストウィン・ルールの一種)。ピノクルなど。
  5. いつでも何を出してもよい。ブリスコラなど。

シュナプセンのように、山札の有無によってマストフォロールールが変わるゲームもある。

ビディング

以下、特に断りが無い限り、プレイントリックテイキングゲームを想定して説明するが、他の種類のトリックテイキングゲームでも同様である。

札を配って(トリックテイキング)ゲームを行い、全ての札が無くなって勝敗がつくまでをディールという(札を配る行為そのものもディールと呼ばれる)。多くのトリックテイキングゲームのディールは、次の4つのフェーズからなる。

  1. カードを配る。
  2. ビディング(後述)を行う。
  3. 前述したルールでトリックテイキングを行う。
  4. スコアをつけ、1.に戻る。

定められた条件(例:事前に決められた回数だけ上の4フェーズを繰り返す、誰かが事前に決められた得点に到達する、等)が満たされたら、ゲームは終了である。

ビディングとは、今回のディールで勝てると思うトリック数を各々のプレイヤーがビッド(入札)するフェーズのことで、その目的はそのディールのディクレアラー(宣言者、すなわち最高位のビッドをしたプレイヤー)を決めることである。ビディング終了後は「ディクレアラー1人」対「他の人全て」でトリックテイキングが開始される。ディクレアラーの目標は宣言を達成することで、残りの人の共通目標はそれを阻止することである。したがってディクレアラー以外の人は、このディール限定の共同戦線を張ることになる。トリックテイキングが終了したら、ディクレアラーが宣言を達成したかどうかに応じてスコアがつけられる。

誤解をまねきやすい所を強調しておくと、大抵の遊戯のビディングでは各プレイヤーは複数回ビッドすることが可能である。ただし、後のビッドほど高いビッドでなければならない。また、ビディング終了後はディクレアラーが最後にしたビッドのみが有効になり、(ディクレアラーもしくは他の人によってなされた)他の全てのビッドは忘れられる。

ビディングの典型的なルールは以下の通りである。各プレイヤーは順に時計回りで、自分が今回のゲームで勝てると思うトリック数をビッドするか、もしくはパスする。ただし多くの遊戯では、ビットできる最低限のトリック数が決まっているので、プレイヤーはその最低限以上のトリック数をビッドしなければならない。最初になされた(パス以外の)ビッドのことをオープニングビッドと言う。なお、全員がパスをした場合は、この回のディールは流れてしまい、カードが配り直しになる。以下は誰かがオープニングビッドした場合について説明する。

各プレイヤーは(オープニングビッド以外の)ビッドをする場合、これまでになされたいずれのビッドよりも高いビッドをしなければならない。たとえばこれまでになされたビッドが「7トリック取る」、「パス」、「8トリック取る」であれば、9トリックないしそれ以上のビッドをしなければならない。

ビディングはパス以外の新しいビッドが出続けている限り、時計回りに何周もする。各プレイヤーは2周目以降、前回のビッドをつりあげてもよい。例えば1周目に「7トリック取る」とビッドしても、2周目でそれをつり上げて「10トリック取る」と言ってもよい。ただしこれはもちろん、それまでに他のプレイヤーが10以上のビッドをしていない場合に限る。

最後に(パス以外の)ビッドをしたプレイヤー以外の全てのプレイヤーがパスをしたら、ビディングは終了である。例えば4人で遊んでる場合は3人が連続してパスをすればビディングは終了である。最後に(パス以外の)ビッドをしたプレイヤーがディクレアラーになる。

多くの遊戯では切り札スートはディクレアラーが決める。遊戯によってはビッド時に、獲得できると思うトリック数のみならず、自分が指定したい切り札スートもあわせてビッドする。この際スートに順番がついていて、同じトリック数のビッドならスートの順番が高いビッドの方が高いビッドとみなされる。たとえばコントラクトブリッジでは、スートの順番はNT、 カテゴリ




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