デーヴダース (1955年の映画)
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デーヴダース | |
---|---|
Devdas | |
監督 | ビマル・ロイ |
脚本 | ナベンドゥ・ゴーシュ ラージンダル・シン・ベーディー(台詞) |
原作 | ショロトチョンドロ・チョットパッダエ 『デーヴダース』 |
製作 | ビマル・ロイ |
ナレーター | ビマル・ロイ |
出演者 | ディリープ・クマール スチトラ・セーン ヴィジャヤンティマーラー |
音楽 | S・D・ブルマン |
撮影 | カマル・ボース |
編集 | リシケーシュ・ムカルジー ダース・ダイメイド |
製作会社 | ビマル・ロイ・プロダクション |
配給 | ビマル・ロイ・プロダクション、モーハン・フィルムズ |
公開 | ![]() |
上映時間 | 155分 |
製作国 | ![]() |
言語 | ヒンディー語 |
製作費 | ₹5,000,000[1] |
『デーヴダース』(Devdas)は、1955年のインドのヒンディー語歴史ドラマ映画。ショロトチョンドロ・チョットパッダエの同名小説の映画化作品であり、ビマル・ロイが監督を務め、主要キャストとしてディリープ・クマール、スチトラ・セーン、ヴィジャヤンティマーラーが出演している。『デーヴダース』の映画化作品の中で最も著名な作品として知られている[2][3][4]。
ストーリー
1900年代初頭のベンガル地方。主人公デーヴダースはバラモン階級の小領主の家に生まれ、不自由のない生活を送っていた。一方、彼の幼馴染みであるパールヴァティー(パーロー)は中流家庭の出身だが、低級カーストのため生家の村内での地位は決して高くなかった。奔放な生活を送るデーヴダースは数年振りにカルカッタの寄宿学校から帰郷し、彼の帰郷を心待ちにしていたパーローは、彼との結婚が実現することを願っていた。パーローの想いをくみ取った祖母は、慣習に則りデーヴダースの母ハリマティに2人の結婚を申し込むが、ハリマティは低級カーストのパーローと息子の結婚を拒否する。面目を潰されたパーローの父ニールカントは激怒し、娘のためにより富裕な結婚相手を探し出す。結婚の話が決まったパーローは躊躇し、夜中にデーヴダースのもとに向かい想いを打ち明け、デーヴダースは両親の説得を試みるが結婚の許可は得られなかった。結婚の許しを得られなかったデーヴダースは動揺してカルカッタに戻ってしまい、パーローに「自分たちはあくまで友人であり、2人の間に愛はない」と記した手紙を彼女に送る。
自分の過ちに気付いたデーヴダースは村に戻り、パーローに「2人の愛のためなら何でもする」と告げるが、彼女から臆病さと優柔不断な性格を責められ、復縁を断られてしまう。パーローは大領主ブヴァン・チョードリーの後妻となったが、彼には亡くなった先妻との間に、パーローよりも年上の子供たちがいた。一方、失意のうちにカルカッタに戻ったデーヴダースは、遊興仲間のチュンニーから娼婦のチャンドラムキーを紹介される。チャンドラムキーの家に入り浸るようになったデーヴダースは酒に溺れ、彼に恋をしたチャンドラムキーは彼を献身的に看病する。やがて、度重なる飲酒が原因でデーヴダースは身体を持ち崩すが、その中でパーローとチャンドラムキーのどちらを本当に愛しているのか悩み苦しんでいた。死期を悟ったデーヴダースは「死の間際には必ず会いに行く」というパーローと交わした誓いを果たすため彼女のもとへ向かうが、力尽きて彼女の屋敷の門前で死んでしまう。一方、パーローはデーヴダースとの関係を知って激怒したブヴァンによって屋敷に軟禁されており、デーヴダースの死を知って彼のもとに向かうが、ブヴァンの子供たちによって阻止され、デーヴダースと再会することは叶わなかった。
キャスト
- デーヴダース - ディリープ・クマール
- パールヴァティー(パーロー) - スチトラ・セーン
- 幼少期のパーロー - クマーリー・ナーズ
- チャンドラムキー - ヴィジャヤンティマーラー
- チュンニラール(チュンニー) - モーティラール
- ダラムダース - ナジール・フセイン
- ナーラーヤン - ムラード
- ハリマティ - プラティマー・デーヴィ
- ニールカント - シーヴラージ
- ドウィジダース - イフテカール
- 教師 - カナイヤーラール
- パーローの祖母 - サリター・デーヴィ
- ブヴァン・チョードリー - モーニー・チャタルジー
- ストリートシンガー - ナーナー・パルシカール、ドゥラリ
- デーヴダースの義姉 - パルヴィーン・ポール
- チャンドラムキーのパトロン - プラン、ジョニーウォーカー
製作
キャスティング
ビマル・ロイはデーヴダース役の第一候補としてディリープ・クマールを挙げていた。また、パーロー役にはミーナー・クマーリー、チャンドラムキー役にはナルギスを候補に考えていたが、ミーナー・クマーリーについては彼女の夫カマール・アムローヒーが提示した条件をビマル・ロイが拒否したことで出演の話が立ち消えとなった。ナルギスもチャンドラムキー役ではなくパーロー役を希望していたことから出演を辞退し、その後に出演依頼を受けたビーナー・ラーイとスライヤもナルギスと同様の理由で出演を辞退している。最終的にヴィジャヤンティマーラーがチャンドラムキー役に起用されたが、彼女の起用について脚本家のナベンドゥ・ゴーシュは「私はヴィジャヤンティマーラーがチャンドラムキー役を演じることを認めていなかったが、ほかに選択肢はなかった。私たちは窮地に陥っており、ビマルのプロジェクトは非常に大掛かりなものだった。彼は製作に対して妥協を許さなかった。つまりは経費のことだ。そして、私たちは資金を必要としていたのだ」と語っている[5]。
音楽
サウンドトラックの作曲はS・D・ブルマンが手掛け、作詞はサーヒル・ルディヤーナヴィーが手掛けている。複数の楽曲はバウルからインスピレーションを得ているほか、チャンドラムキーのテーマ曲ではトゥムリがフィーチャリングされている。
曲名 | 歌手 |
---|---|
"Kisko Khabar Thi Aise Bhi Din Aayege" | タラート・マフムード |
"Kisko Khabar Thi Kisko Yakeen Tha" | |
"Ab Aage Teri Marzi" | ラタ・マンゲシュカル |
"O Aanewale Ruk Ja" | |
"Jise Tu Qubool Karle" | |
"Manzil Ki Chah Mein" | モハメド・ラフィ |
"Mitwa Lagi Re Yeh Kaisi" | タラート・マフムード |
"Lagi Re Yeh Kaisi" | |
"Aan Milo, Aan Milo Shyam Saware" | マンナー・デー、ギーター・ダット |
"Sajan Ki Ho Gayi Gori" | |
"O Albele Panchi, Tera Dur Thikana Hai" | ウシャ・マンゲシュカル、アシャ・ボスレ |
"Wo Na Aaege Palatkar, Unhe Lakh Hum Bulaye" | ムバーラク・ベーグム |
評価
批評
2005年に『インディアタイムズ・ムービーズ』の「必見のボリウッド映画トップ25」にランクインしたほか[6]、アイオワ大学の「ボリウッド映画トップ10」では第2位に選出された[7]。また、カマル・ボースのカメラワークや照明技術が高い評価を得ている[8]。主演を務めたディリープ・クマールの演技も批評家から絶賛されており、『フォーブス・インディア』の「インド映画史上最も素晴らしい演技ベスト25」に選出されたほか[9]、彼のキャリアの中でも最高傑作の一つに挙げられている[10]。
受賞・ノミネート
映画賞 | 部門 | 対象 | 結果 | 出典 |
---|---|---|---|---|
第3回国家映画賞 | 第3位ヒンディー語長編映画賞 | 『デーヴダース』 | 受賞 | [11] |
第4回フィルムフェア賞 | 主演男優賞 | ディリープ・クマール | [12][13] | |
助演男優賞 | モーティラール | |||
助演女優賞 | ヴィジャヤンティマーラー |
出典
- ^ “Best Director: Sanjay Leela Bhansali – Devdas”. Filmfare. オリジナルの2004年8月28日時点におけるアーカイブ。 2025年8月14日閲覧。
- ^ “Devdas | Indian Cinema - The University of Iowa” (英語). indiancinema.sites.uiowa.edu. 2025年8月14日閲覧。
- ^ “Why Bimal Roy's Devdas remains the first among equals”. ThePrint (2019年1月20日). 2021年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年8月14日閲覧。
- ^ “8 Reasons Why Bimal Roy's Devdas Beats Sanjay Leela Bhansali's Hands Down!” (英語). IndiaTimes (2016年2月11日). 2025年8月14日閲覧。
- ^ “'I did not approve of Vyjayanthimala as Chandramukhi' …”. Rediff.com. 2025年8月13日閲覧。
- ^ Kanwar, Rachna (2005年10月3日). “25 Must See Bollywood Movies”. Indiatimes movies. オリジナルの2007年10月15日時点におけるアーカイブ。 2025年8月14日閲覧。
- ^ Corey K. Creekmur. “Top 10 Bollywood Film”. University of Iowa. オリジナルの2011年11月29日時点におけるアーカイブ。 2025年8月14日閲覧。
- ^ Dinesh Raheja (2002年12月9日). “The perceptive camera of Bimal Roy”. rediff.com, Movies. 2025年8月14日閲覧。
- ^ “25 Greatest Acting Performances of Indian Cinema” (2013年4月27日). 2025年8月14日閲覧。
- ^ “10 Iconic films that made actor Dilip Kumar a Bollywood legend”. Gulfnews (2021年7月7日). 2025年8月14日閲覧。
- ^ “3rd National Film Awards”. International Film Festival of India. 2012年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年8月13日閲覧。
- ^ “The Winners 1956”. The Times of India. オリジナルの2012年7月14日時点におけるアーカイブ。 2025年8月13日閲覧。
- ^ Hal Erickson. “Devdas (1955)”. The New York Times. オリジナルの2012年7月8日時点におけるアーカイブ。 2025年8月13日閲覧。
参考文献
- Rajinder Singh Bedi; Nasreen Munni Kabir (2012). The Dialogue of Devdas: Bimal Roy's Immortal Classic Based on the Bengali Novella by Sarat Chandra Chattopadhyay. Om Books International. ISBN 978-93-80069-88-3
外部リンク
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