ジャラールッディーン・ムハンマド・シャーとは? わかりやすく解説

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ジャラールッディーン・ムハンマド・シャー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/03 14:24 UTC 版)

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ジャラールッディーン・ムハンマド・シャーの銀貨

ジャラールッディーン・ムハンマド・シャー(Jalaluddin Muhammad Shah, 生年不詳 - 1433年)は、東インドベンガル・スルターン朝、ラージャ・ガネーシャ朝の君主(在位:1418年 - 1433年)。もともとの名をヤドゥ(Yadu)あるいは ジャドゥ(Jadu)といった[1]

生涯

1418年、父王ラージャ・ガネーシャが死亡した。彼は前王朝イリヤース・シャーヒー朝からの簒奪者であり、なおかつヒンドゥー教徒であった[2][3]。そのため、ムスリムの有力者らは彼の息子がイスラーム教に改宗することを条件にその王位を認めていた[4]

後継者たる息子のヤドゥは父王の死後、約束通りにヒンドゥー教からイスラーム教に改宗した。その際にジャラールッディーン・ムハンマド・シャーと名を改めた[5][6]

ムハンマド・シャーは改宗後、熱烈なイスラーム教徒となり、それを証明するために「スルターン」、「アミール」、「アラーのカリフ」(Khalifat Allah)自称した[7][8]。また、メッカマドラサを寄進したり、マムルーク朝にいたアッバース朝カリフから認証状を求めたりするなど、正統性を確保しようとした[9]。その行動は同時代の西アジアの史料にも記されている[10]

ムハンマド・シャーはその公平さで知られ、軍司令官や裁判長にヒンドゥーを割り当てるなど、ムスリムとヒンドゥー教徒を差別なく平等に扱った[11]

また、その代にベンガル・スルターン朝の領土は広まり、父王と同様にジャウンプルと争い、チッタゴンやファリードプルなどを得て、南ビハールまで版図とした[12]

ムハンマド・シャーはかつてのギヤースッディーン・アーザム・シャー同様、明に使者を送り朝貢し、ティムール朝シャー・ルフやマムルーク朝とも使節を交換するなど[8]、国際的にも広い視野を持っていたことで知られる[13][14]。明側の記録には1420年に彼が入貢したことが記されており、「榜葛剌国頭目」の「者剌里丁」と記されている[15]

1433年、ムハンマド・シャーは死亡し、息子シャムスッディーン・アフマド・シャーが王位を継承した。

脚注

  1. ^ Stan Goron and J.P. Goenka: The Coins of the Indian Sultanates New Delhi: Munshiram Manoharlal, 2001.
  2. ^ 堀口『世界歴史叢書 バングラデシュの歴史』、p.58
  3. ^ 堀口『世界歴史叢書 バングラデシュの歴史』、p.58
  4. ^ 堀口『世界歴史叢書 バングラデシュの歴史』、p.58
  5. ^ 堀口『世界歴史叢書 バングラデシュの歴史』、p.58
  6. ^ 小谷『世界歴史大系 南アジア史2―中世・近世―』、p.131
  7. ^ ロビンソン『ムガル皇帝歴代誌』、p.158
  8. ^ a b MA Taher, Jalaluddin Muhammad Shah, Banglapedia: The National Encyclopedia of Bangladesh, Asiatic Society of Bangladesh, Dhaka, Retrieved: 2011-04-26
  9. ^ 小谷『世界歴史大系 南アジア史2―中世・近世―』、p.131
  10. ^ 小谷『世界歴史大系 南アジア史2―中世・近世―』、p.131
  11. ^ 堀口『世界歴史叢書 バングラデシュの歴史』、p.58
  12. ^ 堀口『世界歴史叢書 バングラデシュの歴史』、p.58
  13. ^ 小谷『世界歴史大系 南アジア史2―中世・近世―』、p.131
  14. ^ 堀口『世界歴史叢書 バングラデシュの歴史』、p.58
  15. ^ 小谷『世界歴史大系 南アジア史2―中世・近世―』、p.131

参考文献

  • フランシス・ロビンソン、月森左知訳 『ムガル皇帝歴代誌 インド、イラン、中央アジアのイスラーム諸王国の興亡(1206年 - 1925年)』 創元社、2009年。 
  • 小谷汪之 『世界歴史大系 南アジア史2―中世・近世―』 山川出版社、2007年。 
  • 堀口松城 『世界歴史叢書 バングラデシュの歴史』 明石書店、2009年。 

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