シュタイナーの内接楕円とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > シュタイナーの内接楕円の意味・解説 

シュタイナーの内接楕円

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 19:40 UTC 版)

3頂点が(1,7), (7,5), (3,1) である三角形とシュタイナーの内接楕円。 焦点の座標は (3,5) と (13/3,11/3) になる。

幾何学における三角形シュタイナーの内接楕円(シュタイナーのないせつだえん)は、三角形の3辺の中点でその三角形に接する楕円である[1]中点楕円ガウス楕円とも呼ばれる。この楕円はデリー[2]によってヤコブ・シュタイナーに属するものとされ、カルマンにより独立に証明されている[3]

シュタイナーの名前を冠するシュタイナー楕円は、この楕円との対比から「シュタイナーの外接楕円」と呼ばれることもある[4]

以下の解説で特に説明がない場合、a, b, c は三角形の3辺の長さを表す。

三角形上の座標による表記

シュタイナーの内接楕円の座標は三線座標によって以下のように表される[1]

重心座標では以下のようになる。

性質

  • シュタイナーの内接楕円の中心は、元の三角形の重心である[1][5]。重心を中心とする唯一の内接楕円である[5]:p.142
  • シュタイナーの内接楕円の面積は、内接楕円の中で最も大きい。その面積は元の三角形の面積の 倍である[5]:p.146 [6]:Corollary 4.2。これは同じ三角形のシュタイナー楕円の1/4にあたる。
  • 三角形に内接する二次曲線のうち、2辺以上の中点に接するのはシュタイナーの内接楕円のみである[5]
  • シュタイナーの内接楕円は中点三角形のシュタイナー楕円である。
  • シュタイナーの内接楕円の長軸と短軸の長さは以下の式で表される[1]

ただし Z は以下の式で与えられる。

  • 複素数平面において、三角形の3つの頂点の座標を零点にもつような3次式を考えたとき、シュタイナーの内接楕円の焦点の座標はその3次式の導関数の零点となる。(マーデンの定理英語版[3]
  • 長軸は、3頂点からの距離が最も短くなる直線上にある[6]:Corollary 2.4
  • G, F+, F を三角形の重心と2つのフェルマー点とする。シュタイナーの内接楕円の長軸は∠F+GFの2等分線上にある。また、2つの軸の長さは |GF| ± |GF+| という式で表される[7]:Thm. 1
  • シュタイナー内接楕円の2つの軸はキーペルト放物線に接する。
  • シュタイナー内接楕円の2つの焦点は17点3次曲線上にある[8]
  • クラーク・キンバリングの「BICENTRIC PAIRS OF POINTS」ではP(118),U(118)として登録されており、重心座標は以下の式で表される[9]

として

  • 三角形ABCに内接する楕円の焦点を P, Q とすると以下の式が成り立つ[10]

出典

  1. ^ a b c d Weisstein, Eric W. "Steiner Inellipse". mathworld.wolfram.com (英語).
  2. ^ H. Dörrie, 100 Great Problems of Elementary Mathematics, Their History and Solution (D. Antin 英訳), Dover, New York, 1965, problem 98. なお、邦訳には高津巌訳『数学ノ勝利』、根上生也訳『数学100の勝利』(3分冊)がある。Webcat Plus
  3. ^ a b Kalman, Dan (2008), “An elementary proof of Marden's theorem”, American Mathematical Monthly 115 (4): 330–338, MR2398412, http://mathdl.maa.org/images/upload_library/22/Ford/Kalman.pdf .
  4. ^ Weisstein, Eric W. "Steiner Circumellipse". mathworld.wolfram.com (英語).
  5. ^ a b c d Chakerian, G. D. (1979), “A distorted view of geometry”, in Honsberger, Ross, Mathematical plums, The Dolciani Mathematical Expositions, 4, Washington, D.C.: Mathematical Association of America, pp. 135–136, 145–146 .
  6. ^ a b Minda, D.; Phelps, S. (2008), “Triangles, ellipses, and cubic polynomials”, American Mathematical Monthly 115 (8): 679–689, MR2456092, http://www.geogebra.org/en/upload/files/english/steve_phelps/minda%20phelps.pdf .
  7. ^ Scimemi, Benedetto, "Simple Relations Regarding the Steiner Inellipse of a Triangle", Forum Geometricorum 10, 2010: 55–77.
  8. ^ Thomson cubic
  9. ^ BICENTRIC PAIRS P(118)”. faculty.evansville.edu. 2024年3月26日閲覧。
  10. ^ Allaire, Patricia R.; Zhou, Junmin; and Yao, Haishen, "Proving a nineteenth century ellipse identity", Mathematical Gazette 96, March 2012, 161-165.



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「シュタイナーの内接楕円」の関連用語

シュタイナーの内接楕円のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



シュタイナーの内接楕円のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシュタイナーの内接楕円 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS