東方聖堂騎士団とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 東方聖堂騎士団の意味・解説 

東方聖堂騎士団

(オルド・テンプリ・オリエンティス から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 14:50 UTC 版)

東方聖堂騎士団(とうほうせいどうきしだん、Ordo Templi Orientis東方テンプル騎士団。略称 O.T.O.)は、20世紀初めに創設された魔術教団、オカルト教団である[1]。東洋のテンプル騎士団または東方の神殿の修道会という意味のラテン語を名称とする。当初はフリーメイソンを模倣したメイソン関連団体として設立されたものである。テンプル騎士団の精神的後継者を主張している[1]。OTOの中心思想はキリスト教グノーシス主義であり、インドのタントリズムと西洋秘密結社の伝統を用い、魔術実践に方向性や力を与えるためとしてセックスを用いる性魔術を重んじる[1]。男女で行われる伝統的なタントラと異なり、同性愛を積極的に評価する伝統を持つ[2]アレイスター・クロウリーの指導下で、彼の「セレマの法」を中心的な宗教原理とする団体として再編された。1904年の『法の書』に端を発する「セレマの法」は、「汝の意志するところを行え、それが法の全てとなろう」[3](フランスの作家フランソワ・ラブレーが300年以上前に『ガルガンチュワとパンタグリュエル』で述べたことで、クロウリーのオリジナルではない[4])と「愛は法なり、意志の下の愛こそが」[5]の二文に集約される。OTOの会員制は、演劇的儀式を用いた一連の位階儀礼による秘儀参入体系に基づいている。


  1. ^ a b c Sean O'Callaghan 執筆「東方テンプル騎士団」『現代世界宗教事典—現代の新宗教、セクト、代替スピリチュアリティ』クリストファー・パートリッジ 編、井上順孝 監訳、井上順孝・井上まどか・冨澤かな・宮坂清 訳、悠書館、2009年。 
  2. ^ 岡田明憲「神秘思想とヨーロッパ」『別冊環』第5巻、藤原書店、2002年、121-122頁。 
  3. ^ アレイスター・クロウリー 『法の書』I:40
  4. ^ Aleister Crowley”. Britannica. 2024年4月5日閲覧。
  5. ^ アレイスター・クロウリー 『法の書』I:57
  6. ^ a b Evans (2007), p. 71
  7. ^ 一部の国ではOTOの名称がカリフ派OTOのものと裁判で認められ、それ以外のOTO系団体はOTOの名称を使用できなくなった。その意味においては、ここでいうカリフ派OTO、タイフォニアンOTO、ソサエティOTOといった呼称は正式名称ではなく俗称である。
  8. ^ en:Nicholas Goodrick-Clarke, en:The Occult Roots of Nazism, p. 61. Goodrick-Clarke は当時のオカルティズムを概説する際にこの話題に触れている。
  9. ^ a b c d King, Francis. The Magical World of Aleister Crowley, pp. 78-81
  10. ^ H・スペンサー・ルイスは1921年にロイスからOTO設立の認可状を受け取ったが、1925年に彼が設立した団体は「古代神秘=薔薇十字教団」(AMORC、日本法人の名称は「バラ十字会」)であった。
  11. ^ ブラジルの古代薔薇十字団(FRA)を結成したドイツのオカルティスト。ラテンアメリカにおけるテオドール・ロイスの代理人に任命される。
  12. ^ 出版活動を主とするパンソフィアという秘教団体を主宰したドイツのOTOグランドマスター。一時期クロウリーと連携したが、後にはOTOのOHOをもって自ら任じ、AMORCのH・スペンサー・ルイスと提携した。
  13. ^ マジカル・モットー「フラター・エイカド」で知られるクロウリーの弟子。バンクーバーにアガペー・ロッジを開設した。
  14. ^ アメリカのオカルティスト、ミシェル・ベルティオーの古代東方聖堂騎士団の主張する歴史によれば、1916年にジェラール・アンコースが亡くなると、彼のフランスOTOはジョアニー・ブリコーのOTOとリュシアン=フランソワ・ジャン=メーヌのOTOに分かれ、後者はハイチに移住して1921年に古代東方聖堂騎士団(Ordo Templi Orientis Antiqua)を創設した。
  15. ^ a b c d e f King, Francis (1973). The Secret Rituals of the O.T.O. Samuel Weiser, Inc. ISBN 0-87728-144-0
  16. ^ Free Encyclopedia of Thelema. Fourth Degree. Retrieved June 17, 2006.
  17. ^ Starr, Martin. Aleister Crowley: Freemason!. Retrieved June 17, 2006.
  18. ^ Kaczynski (2002), p.332)
  19. ^ Koenig, Peter. All we want is a 'Caliph', The Ordo Templi Orientis Phenomenon. Retrieved February 13, 2008
  20. ^ a b Koenig, Peter. Minutes of the Special Ninth Degree Caliphate Election, The Ordo Templi Orientis Phenomenon. Retrieved February 13, 2008
  21. ^ US Grand Lodge, OTO: OTO News, May 2, 2005 entry. Retrieved February 13, 2008
  22. ^ 錬金術用語 Magnum Opus (大作業)に由来する、クロウリーの魔術体系における目標を示す用語。
  23. ^ OTO About OTO.
  24. ^ a b Crowley, Aleister. The Confessions of Aliester Crowley, ch. 72.
  25. ^ a b OTO Initiation.
  26. ^ Free Encyclopedia of Thelema (2005). Oath. Retrieved November 17, 2005.
  27. ^ 位階の日本語訳は公表されていない。
  28. ^ a b "De Nuptiis Secretis Deorum cum Hominibus, Liber (Of The Secret Marriages Of Gods With Men)" in King (1973)
  29. ^ a b c Magical Diaries of Aleister Crowley, page 241
  30. ^ OTO US Grand Lodge Program Synopsis and Mission Statement.
  31. ^ a b Evans (2007), p. 66
  32. ^ Kenneth Grant and the Typhonian Ordo Templi Orientis, by P.R. Koenig
  33. ^ Boswell, Alex. Pro bono effort muzzles religion slur in Lawyers Weekly, 6 December 2006
  34. ^ Crowley, Aleister. De Arte Magica
  35. ^ P. R. Koenig, P. R. (2000). Spermo-Gnosticism and The OTO
  36. ^ Satyr (2002). The Black Lodge of Santa Cruz (PDF).
  37. ^ Greenfield, T. Allen (2006). A Statement Regarding the Ordo Templi Orientis





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「東方聖堂騎士団」の関連用語

東方聖堂騎士団のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



東方聖堂騎士団のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの東方聖堂騎士団 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS