脊髄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/20 03:59 UTC 版)
脊髄小脳路
固有覚の情報は、大脳皮質だけでなく小脳へも伝えられ、その経路は3つある。第二腰髄以下の固有覚情報は、感覚受容器(ゴルジ腱器官や筋紡錘)から腹側脊髄小脳路または前脊髄小脳路と呼ばれる経路を通って脊髄に入る。一次ニューロンの神経細胞体は脊髄後根神経節にある。脊髄に入ると、二次ニューロンとシナプスを形成する。二次ニューロンの神経細胞体は脊髄前角の辺縁にあり、脊髄境界細胞と呼ばれる[7]。二次ニューロンは交叉して対側にわたり、側索の前外側辺縁を上行し、橋上部の上小脳脚から小脳に入る。多くの神経線維は再び交叉して小脳虫部前部に投射する。
第二腰髄から第一胸髄までの固有覚を伝える一次ニューロンは、脊髄後角基部の背核(胸髄核、クラーク核とも)とシナプスを形成する。二次ニューロンは交叉せず、同側の脊髄側索の後外側を上行し、下小脳脚から小脳に入って小脳虫部の吻側部および尾側部に投射する。この経路は背側脊髄小脳路(後側脊髄小脳路)と呼ばれる。
第八頸髄から上位の固有覚一次ニューロンは、脊髄に入るとそのまま後索を上行し、延髄の副楔状束核(外側楔状束核)でシナプスを形成する。二次ニューロンは下小脳脚から小脳に入り、同側の小脳半球皮質の
らかの理由による切断で起こる。椎骨や椎間板が破壊され、骨の鋭利な破片が脊髄を傷害することもある。脊髄損傷を被った人は、通常体の一部の感覚低下がある。さらに軽症で手や足の機能の障害、重症の場合は対麻痺や四肢麻痺、あるいは損傷部位以下の全機能の喪失が起き、最悪の場合呼吸困難を引き起こし死に至る場合もある。
上位運動ニューロン線維の損傷があると、傷害部位と同側に特徴的な症状が現れる。腱反射の亢進や筋緊張の亢進、あるいは筋力の低下などが起きる。また下位運動ニューロン線維の損傷の場合にも特徴的な症状が出る。障害側の全体ではなく、傷害を受けた神経の支配筋だけが影響を受ける。また筋力低下、筋緊張の低下、腱反射の減弱や消失、筋萎縮などが起きる。
脊髄損傷をもっとも起こしやすい部位は、頸髄および腰髄である。
- ^ Rexed B. The cytoarchitectonic organization of the spinal cord in the cat. J Comp Neurol 1952;96:415-495.
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- ^ Rexed B. Some aspects of the cytoarchitectonics and synaptology of the spinal cord. In: Eccles JC, Shadé JP, eds. Progress in brain research. Vol. II. Organization of the spinal cord. Amsterdam: Elsevier, 1964:58-92.
- ^ Coulder JD, Ewing L, Carter C. Origin of primary sensorimotor cortical projection to lumbar spinal cord of cat and monkey. Brain Res 1976;103:366-372
- ^ Jones EG, Wise SP. Size, laminar and columnar distribution of efferent cells in the sensory-motor cortex of monkeys. J Comp Neurol 1977;175:391-438
- ^ Dum RP, Strick PL. The origin of corticospinal projections from the premotor areas in the frontal lobe. J Neurosci 1991;11:667-689
- ^ Cooper S, Sherrington CS. Gower's tract and spinal border cells. Brain 1940;63:123-134.
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