建築設計競技 建築設計競技の概要

建築設計競技

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/01/11 13:36 UTC 版)

概要

建造物、特に公共的な用途が高い建物の設計者を決める方法として、施主が複数の設計案を募集してその中から優れた案を選ぶというコンペ(コンペティション competition の略語)が行われることがある。建築史上では、ルネサンス期のイタリアで行われた設計コンペが有名であり、後世の規範にもなった。コンペのあり方については様々な議論を呼んできたが、今日、公共的な建造物を造る際にはコンペで設計者を選ぶ方式が望ましいと考えられている。

コンペを開催することで、公平性を保つこと、能力のある新人にチャンスを与えられること、優れた建築家に依頼することができることなどのメリットがある。一方、コンペの開催により費用が増大する側面もある。

コンペには、公募により行われる公開コンペと、複数の建築家を指名しその中で競わせる指名コンペがある。また詳細な実施案として提出する前に、まず構想・コンセプトを問うプロポーザル方式アイデアコンペという形式もある。この場合、例えばまずイメージ案とコンセプトを公募方式で募って、1次審査で候補者を絞り、次に詳細な図面を提出させて2次審査で決定する、という二段階コンペになる。

なお現在の日本の公共建築の場合、複数の建築設計事務所等を対象に入札を行い、最も安い価格を提示した者に依頼する「設計入札」が行われることが多いが、コンペとは全くの別物である。日本建築家協会は建築家のプロフェッションを守る立場から、設計入札はダンピングだとして反対している。

ヨーロッパ・アメリカの事例

当時アメリカに建築家が少なく、応募者8人中、プロの建築家は2人のみであったという。当選したジェームズ・ホーバンの設計により建設された。
ゴシックまたはエリザベス朝様式という条件でコンペが行われ、ゴシック様式のチャールズ・バリーが当選。
  • イギリス万国博覧会博覧館設計競技(1850年)
  • ニューヨーク水晶宮コンペティション(1851年)
  • ウィーン宮廷歌劇場(ウィーン国立歌劇場)(1860年)
ウィーンのリンク大通り建設に合わせて、コンペが行われた(告示はパリのオペラ座より早い)。
二段階コンペが行われた。1次は締切まで1週間という短期間で、171人が応募、6人が選定された。2次も締切まで2週間で、シャルル・ガルニエが当選。
民間の委員会主催でコンペが行われたが、審査が紛糾し、設計者が決まらなかった。1875年にあらためて政府主導の指名コンペが行われた。
  • ウィーン宮廷ミュージアム建設設計競技(1867年)
  • ベルリン大聖堂(1868年)
  • プロイセン国会議事堂(1872年)
国際コンペとして行われたが、用地取得に難航し計画が中断。
  • ハンブルク市庁舎コンペティション(1878年)
  • プロイセン技術建築局主催フランクフルト中央駅コンペティション(1880年)
  • プロイセン国会議事堂(ドイツ連邦議会議事堂、1882年)
用地を確保した後、ドイツ人のみを対象にコンペが行われ、パウル・ヴァロットが当選した。
  • ライプツィヒ裁判所コンペティション(1885年)
  • ドイチェスハウス協会集会所コンペティション(1887年)
  • ヴィルヘルム1世記念碑設計競技(1890年)
  • ハーグ平和会館国際オープンコンペティション(1897年)
  • パリ・メトロ駅舎コンクール(1899年)
  • ミラノ大司教座聖堂のファサード計画国際コンペティション(1887年)
20世紀以降

19世紀末から国際的なコンペが増加し、国際連盟会館のコンペなどはモダニズム建築の普及に大きな役割を果たした。

  • ハーグ平和宮(国際司法裁判所)(1906年)
  • アウクスブルクシナゴーグ建設のための建築コンペ 1912年
  • オホートヌィ・リャッド労働宮殿(モスクワ)1922年
  • モスクワ新聞ビューロー「レニングラード・プラウダ」コンペ(1924-1925年)
  • レーニン人民の家(1924年)
  • ブリヤンスクソビエトの家(1924年)
  • パリ万国博覧会 (1925年) パヴィリオン・コンペティション
  • モスクワ鉱山管理研究所(1925年)
  • モスクワ繊維会館(1925年)
  • エレクトロ組合ドム・コムーナ(1925年)
  • モスクワ・エレクトロバンク(1926年)
  • モスクワ・スモレンスカヤ市場プロジェクト(1926年)
  • モスクワ・ルスゲルドルグ(1926年)
  • ドニエプル河電力センターオープンコンペティション(1926年)
  • シカゴ・トリビューン (Chicago Tribune)
  • 国際連盟会館(ジュネーブ)(1927年)
ル・コルビュジエの案が否決され、CIAM結成のきっかけになった)
  • ヴィープリ図書館(1927年)
  • スターリングラード文化宮殿(1928年)
  • モスクワ・ディナモ会館(1928年)
  • Asneftポンプステーション(1928年)
  • ロシア・ツェントロソユーズ・コンペティション(1928年)
  • レーニン図書館建築コンペティション(1928年)
  • ヴァイマール帝国議会堂拡張計画設計競技(1929年)
  • ハバロフスク・ソビエトの家コンペティション(1929年-1930年)
  • イヴァノヴォ・ヴォツネセンクスの共同住居(1929年-1930年)
  • スヴェルトロフクク・ウラル工業省プロジェクト(1930-1931年)
  • 前政治犯協会会館(1930年)
  • スターリングラード住居コンビナート(1930年)
  • ロストフ・アン・ドン・ソビエト庁舎(1930年)
  • イヴァノヴォ・ヴォツネセンクス大劇場(1930年)
  • スヴェルドロフスク大劇場(1932年)
  • ジェルジンスカヤ地下鉄駅コンペティション
  • レニングラード学生コミューンコンペティションプロジェクト
  • ベルリン国立銀行オープンコンペティション(1933年)
  • パラッツォ・リットリオ設計競技(1937年)
  • EUR会議場設計競技応募案(1938年)
  • ドイツ国立銀行設計競技(1933年)
  • アレクサンダー広場改良オープンコンペティション
  • モスクワ赤の広場のナルコムチアジプロムNarkomtiazhpromビル(1934年)
  • 重工業省モスクワ庁舎(1934年)
  • クラースヌィエ・ヴォロータ駅(クラスナヤ・ヴァローダ)地下鉄駅コンペティション(1935年)
  • ソビエト・ウクライナ大衆劇場(ウクライナ・ハリコフ劇場, 1931年開催、川喜田煉七郎が4位に入選)
  • ソヴィエト宮殿(ソヴィエトパレス)国際オープンコンペティション
  • プジョービル国際競技設計
  • ダブリン大学キャンパス競技設計
  • ZKM(カールスルーエ・アート・アンド・メディア・テクノロジー・センター)
  • パリ国立図書館
  • 人権ビルナシオン広場
  • 国連本部(ニューヨーク)
  • W.H.O.本部
  • ジョルジュ・ポンピドー・センター
  • ラ・デファンス高層ビル(パリ)
  • ニューヨーク近代美術館
  • ウフィツィ美術館・新玄関(フィレンツェ)
  • ジェファーソン・ナショナル・エクスパンション・メモリアル
  • ストックホルム南墓地(スコーグスシュルコゴーデン
  • ベルリン自由大学国際競技設計(1963年)
  • ブレーメンドーム広場パビリオンコンペ
  • 住区計画全欧競技設計(ボー・ベダー誌) 1966年 
  • イスラム文化センター国際競技設計(1979年) 
  • オルセー美術館改造(1979年)
  • ヴィレット科学産業都市博物館(1980年)
  • ヴィレット音楽産業都市博物館(1980年)
  • アラブ世界館(1981年)
  • パリ・バステューユ新オペラ座国際オープンコンペティション(1982年)
  • フランス大蔵省新庁舎(1982年)
  • 新凱旋門グレートアーチ(1983年)
  • パリ新オペラハウス国際設計競技 1983
  • ベルリンのユダヤ博物館
  • モルガン・スタンレー銀行設計競技(1986年)
  • バタノスタースクエア国際指名設計競技(1987年)
  • バイエル社インフォメーションセンター国際指名設計競技(1987年)
  • フランス・エクサン・プロヴァンス国際指名設計競技(1990年)
  • パリ・日仏文化会館国際オープンコンペティション 1991
  • トゥールーズ国際指名設計競技(1990年)
  • ペルージア「フォンティベッギビジネスセンター」 国際競技設計
  • ミュンスター広場のシティーハウス国際建築デザインコンペティション
  • Mid Wales Center for the Art コンペティション(1995年)
  • バーベルスベルグ国際指名設計競技(1995年)
  • スコットランド建築デザインセンター国際公開コンペティション(1996年)
  • シドニー現代美術館新館国際設計競技(1997年)
  • 国際決済銀行増築国際設計競技(バーゼル 1998年)
  • ヨーテボリ世界文明博物館 国際設計競技 1999年
  • 欧州中央銀行国際建築コンペティション 1999年
  • セント・ジョーンズ・アベイ宿泊研修施設国際建築設計競技 2000年
  • ピノー現代美術館国際設計競技 2001年
  • トリノ文化センター 国際設計競技 2001年
  • アテネ・エフェメラル国際設計競技 2001-02
  • リートベルグ美術館増築国際指名設計競技(スイス 2002年)
  • モンジュイック2展示会場拡張計画国際指名設計競技(バルセロナ 2002年)
  • ニューミュージアム現代美術館国際指名設計競技(ニューヨーク 2003年)
  • アミアン現代美術館国際指名設計競技(アミアン 2004年)
  • ミラノ フィエラ・オフィス国際指名設計競技(ミラノ 2004年)
  • ゲント市文化フォーラム 指名設計競技 2004年 ベルギー
  • ヴュルツブルク中央駅周辺再開発計画の建築コンペ 2006年 
  • バイエルン社植物防疫研究センター国際指名設計競技
  • バーゼル文化施設「Stadtcasino」増築棟設計者採用コンペティション
  • WTC跡地再開発設計競技
  • アイルランド文化庁舎設計競技
  • ローマ国立現代美術館 国際設計競技
  • ヨーロッパ中央銀行新社屋国際設計競技
  • Beic図書館国際設計競技.(イタリア)
  • ピエールスラージュ美術館国際設計競技 フランス
  • ワルシャワ・ユダヤ歴史博物館国際設計競技. ポーランド
  • グラナダ Performing Arts Center国際設計競技
  • アルメラ市文化センター国際設計競技 
  • シドニー現代美術館国際設計競技
  • ドゥースブルグ市商業複合施設国際指名設計競技
  • ブザンソン芸術文化センター国際設計競 フランス
  • U2タワーデザイン国際設計競技
  • ベネツィア ゲートウェイ国際設計競技
  • スコットランド国際博物館設計競技
  • カリアリ現代美術館国際設計競技-イタリア
  • UIAバルセロナZAL地区国際設計競技

欧米・日本以外の事例

  • 韓国国会議事堂競技設計
  • 国連住宅供給コンペティション(マニラ・ペルー 1969年)
  • クアラ・ルンプール新国際空港ターミナルビル・国際オープンコンペティション
  • タンザニア共和国TANU党本部ビル・国会議事堂国際オープンコンペティション
  • シドニー・オペラハウス
  • シンガポール・IT複合施設
  • ホンコン・ピーク
  • タンザニアTANU党本部ビル国際競技設計
  • 中国国家大劇院国際設計競技応募案(1998)
  • 中国国家大劇院国際設計競技 (1998)
  • 大エジプト博物館国際設計競技 2002
  • 中国・天津博物館国際指名設計競技(2001年)
  • 中国・天津泰達広場国際指名設計競技(2001年)
  • 韓国釜山エコセンター国際設計競技(2004年) 
  • 台湾・高雄国家芸術センター・国際コンペティション(2007年)
  • 台北駅周辺開発・空港高速線駅計画
  • 台湾・台中メトロポリタンオペラハウス
  • 台湾・高雄スタジアム
  • アブダビ国会議事堂国際オープンコンペティション
  • 高雄國家藝術文化中心国際設計競技
  • グアダラハラ公立図書館国際設計競技(メキシコ)
  • 台北ポップミュージックセンター国際設計競技
  • アレクサンドリア図書館国際設計競技
  • 天津博物館設計競技
  • 台中市庁舎国際設計競技
  • 故宮博物院南部別院国際設計競技(台湾、嘉義県)
  • イスタンブール・クチュクチェクメジェ都市計画国際設計競技-トルコ
  • ゴレ・メモリアル国際設計競技
  • ベトナム国会議事堂 設計競技
  • 韓国キョンギ故宮博物院南部別院国際設計競技



「建築設計競技」の続きの解説一覧




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

カテゴリ一覧

全て

ビジネス

業界用語

コンピュータ

電車

自動車・バイク

工学

建築・不動産

学問

文化

生活

ヘルスケア

趣味

スポーツ

生物

食品

人名

方言

辞書・百科事典

すべての辞書の索引

「建築設計競技」の関連用語

建築設計競技のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング

画像から探す

さんふらわあ だいせつ

3000系 改造車

マークX ジオ

大島めぐみ

ボンバルディア式DHC-8-314型

原子炉格納容器

比良八講

テーパースクエア





建築設計競技のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの建築設計競技 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2017 Weblio RSS