天顕祭 天顕祭の概要

天顕祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/19 09:41 UTC 版)

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天顕祭
ジャンル ファンタジー漫画
漫画
作者 白井弓子
出版社 サンクチュアリ・パブリッシング(商業出版)
レーベル NewCOMICS(商業出版)
発表期間 2006年2月19日 - 2007年8月26日
巻数 4冊、番外編2冊、総集編1冊(同人出版)
1冊(商業出版)
テンプレート - ノート

自主制作マンガの展示即売会コミティアを中心に20年近く活動してきた作者が2006年から2007年にかけて発表した。2007年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門同人作品としては初めて奨励賞を受賞し、2008年に単行本が商業出版された。

経緯

同人出版

作者は「夜神楽のにぎわいと闇の濃さに着想を得て」[1]、10年ほど前に16頁のネーム(下書き)を描いた。コミティアのワークショップに持ち込んだところ「大きな仕掛けがないとストーリーが生まれない」と指摘された[2]。その後、『古事記』のヤマタノオロチ伝説を盛り込むことを思いつき[3]夏越の祓の茅の輪くぐりにもヒントを得て[4]、2005年秋に制作を開始し[5]、2006年から2007年にかけて本編4冊、番外編1冊を発表した[4]。第1章は数十部しか売れなかったものの購買者のほとんどから好評を得た[2]

文化庁メディア芸術祭マンガ部門奨励賞受賞

7年ほど前にも作者は文化庁メディア芸術祭マンガ部門に別の作品を自薦しており、当時里中満智子からよい講評を得ていたことを思い出し、自ら応募した[2]。2007年12月、2007年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門で、同人誌としては初めて奨励賞を受賞した[1][6]。贈賞理由では「作者の鋭い才能を感じる」、「(自費出版という環境で)頑張っている若者達を励ましたい」と述べられている[1]

商業出版

2008年2月、サンクチュアリ・パブリッシングの編集者・永井肇は文化庁メディア芸術祭展示会で作品の存在を知り、作者に商業出版のオファーを出した。作者には同人出版で十分やったという思いがあり当初は戸惑いがあったが、編集者の「このまま埋もれさせるわけにはいかない」という一言で出版を決心し、加筆修正を加え、2008年7月30日にサンクチュアリ・パブリッシングから単行本として発売された[2][3]。ブックデザインを手がけた名和田耕平からインパクトのある絵を求められ、表紙には主人公の思い詰めた表情のアップが描かれた[2][3]。本の帯には作者が著書の挿絵などを手がけている作家上橋菜穂子のコメントも添えられた[7]。描きおろしの単行本としては異例の1万8000部を発行するも[3]発売3日間で重版が決定し[5]、2008年12月現在、8刷6万3000部を発行している[8]

評価

文化庁メディア芸術祭マンガ部門の審査員は絵の完成度の高さに何よりも驚いたと言い[9]、「組んだ竹の隙間から、あるいは地の底から大蛇が少しずつ姿を現してくる演出や、登場人物それぞれのキャラクター表現、斬新な構図、静かな眼の演技」を評価している[1]。「“女の子が可愛くない”とか、キャッチーなものが不足している」ようにも見られるが[9]、サンクチュアリ・パブリッシングの担当編集者は「絵に力があるなというのが第一印象」で「物語を伝えようとする強い意志を感じた」と振り返っている[3]。作者自身は人間の身体の動きをきちんと描いたことが評価されたのではないかと語っている[2]


  1. ^ a b c d 2007年 文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 奨励賞 天顕祭”. 文化庁メディア芸術プラザ. 2008年12月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e f まんたんブロード』Vol.51 2008年9月号、毎日新聞東京本社、2008年8月25日発行、7頁。
  3. ^ a b c d e 『まんたんブロード』Vol.52 2008年10月号、毎日新聞東京本社、2008年9月25日発行、4頁。
  4. ^ a b 『天顕祭』あとがき、347-349頁。
  5. ^ a b c 「『天顕祭』白井弓子」『ダ・ヴィンチ』NO.174 2008年10月号、メディアファクトリー、2008年10月、 64-65頁。
  6. ^ 「天顕祭」白井弓子・著 公式サイト”. サンクチュアリ・パブリッシング. 2008年12月24日閲覧。
  7. ^ 天顕祭:同人マンガが異例のメディア芸術祭受賞 書籍化され、30日から発売”. まんたんウェブ. 毎日新聞社 (2008年7月26日). 2008年12月24日閲覧。
  8. ^ 12月の重版情報”. SANCTUARY BOOKS [Publicity]. サンクチュアリ・パブリッシング (2008年12月8日). 2008年12月21日閲覧。
  9. ^ a b c シンポジウムレポート”. 文化庁メディア芸術プラザ. 2008年12月20日閲覧。


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