保安官
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/24 04:57 UTC 版)
管轄・役割
- 郡保安官
- 植民地政府が郡ごとに配したシェリフを起源とするが、上記の経緯より、マーシャルやコンスタブルと称されることもある。通常は、住民による選挙で選ばれる単独の公選職であるが、これだけでは手が回らないため、指揮下に警察組織を編成して、実業務はこちらに代行させることが多い。この指揮下の人員は、保安官補(deputyないしassitant; 保安官助手とも)と称されるのが通例である。本来的には、郡の一般警察業務を一手に担っていたが、都市化とともに自治体警察の設置が進むと、これらが管轄しない非法人地域や、自治体は発足しているが警察を保有しない地域を管轄することになり、日本にかつて存在した国家地方警察に近い性格となっている[1]。また開拓期には自治体の多くの地方に設置されていたマーシャルも、多くはシェリフとの統合により代替されて廃止されたものの、一部では現在でも存続している。
- なお、東部(ミシシッピ川以東の各州)では郡保安官が治安の維持にあまり重要な役割を負っておらず、非法人地域での警察活動は主として州警察が行っている場合が多いのに対し、西部(川以西の各州)では郡保安官が警察組織に近い大規模な保安官事務所を設置して重要な役割を担い、州警察は街道上の治安維持(ハイウェイパトロール)や広域犯罪捜査(州捜査局)のみを担当する場合もある[1]。
- 市保安官
- シェリフは市町村政府では一般的ではないが、例えば5つの郡(行政区)からなるニューヨーク市には、各郡(行政区)ごとに主として民事執行を行い、副次的に市税に対する犯罪を捜査等を行うシェリフが配されている (New York City Sheriff's Office) 。なお、同市には公務員ではあるが、市からは報酬を得ず、民事執行の手数料を得るマーシャルも別に存在する。
- 州保安官
- シェリフは州政府でも一般的ではないが、例えばハワイ州では、公安省保安部 (Sheriff Division of the State Department of Public Safety) は州警察の任務を果たしている。またいくつかの州では、マーシャルやコンスタブルの制度が存続している。
- 連邦保安官
- 連邦政府のマーシャル。1870年以降は司法省に属し、1969年以降は連邦保安官局を編成している[3]。
- 連邦航空保安官(スカイマーシャル)
- 運輸保安庁の法執行官。民間機に警乗し、ハイジャック防止などの航空保安にあたる。
保安官と同じ種類の言葉
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