会社 会社の概要

会社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/02/16 16:50 UTC 版)

本稿では、日本法上の会社に加え、それに類似する各国の企業形態についても記述する。

日本

会社の定義

会社法施行後においては、株式会社合名会社合資会社および合同会社の4つが会社とされている(会社法2条1号)。いずれも、登記によって成立する。

従来は、商法第2編で定められていた株式会社、合名会社および合資会社(さらに昔は株式合資会社も)に加え、昭和13年に制定された有限会社法有限会社の設立が認められていたが、2005年(平成17年)制定の新会社法で有限会社は株式会社に統合された[1][注釈 1]。それとともに、出資者の有限責任が確保され、会社の内部関係については組合的規律が適用される新たな会社類型として合同会社が創設された[2]

会社法が施行される前においては、会社は、商法上は「商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル社団」と定義され、株式会社、合資会社及び合名会社の3種(株式合資会社の廃止前はこれを含む4種)とされていた。もっとも、「営利ヲ目的トスル社団」で商法第2編(会社)の規定によって設立されたもので商行為をなすを業としないもの(いわゆる民事会社)も会社とみなされ、さらに、有限会社法により、有限会社も会社とみなされた。結局、学説においては、会社の定義を「営利を目的とする社団法人」としていた。

会社の通有的性質

日本法上の会社の通有的性質として、営利を目的とする社団法人であるという点が挙げられる[3]

法人性
法人とは、団体自身の名において権利を有し義務を負う資格があることをいう[4]
もっとも、常に自然人と同様の権利能力を有するわけではなく、性質上又は法令による制限を受けるほか、定款に定められた目的によって制限を受ける。そして、目的外の行為は無効となるのが原則である(ウルトラ・ヴィーレスの法理)。かつては、判例は定款の目的条項を厳格に解釈していたが、後に柔軟な解釈をするようになり、今日では会社の行為が目的外であるとして無効とされることはまずない[5]
また、法人格の濫用又は法人格の形骸化が認められる場合には、判例上、法人格が否認されることがある(法人格否認の法理[6]
営利法人性
営利法人とは、事業を行い、それによって得た利益を出資者に分配することを目的とする法人をいう[7]
社団性
社団とは、伝統的な民法学説によると、構成員が、構成員どうしの契約によって結び付くのではなく、団体との関係(社員関係)を介して間接的に結び付く団体をいう。この点で、構成員どうしの契約関係で結び付く組合と区別される。もっとも、会社が社団であるという場合には、もはやこのような民法学説は前提とすることができないと考えられている。そもそも合名会社や合資会社には組合類似の規律がなされているからである。会社における社団性とは、単に人の集まりという意味(すなわち、財団とは異なり、構成員(社員)が存在するということ)以上のものではないと考えられている。社団の構成員を社員といい[注釈 2]、会社の社員(株式会社においては株主と呼ばれる。)は会社の出資者であり、会社の経営に対する最終的なコントロール権が付与されている[8]

「会社」の沿革

明治時代、「会社」の語は、英語のcompanyの訳語としても用いられる一方で、大陸法の組合=会社概念(羅societas、仏société、独Gesellschaft)の訳語として用いられた。すなわち、旧民法財産取得編第6章「会社」は会社契約(現在の組合契約)の規定を置き、民事目的の会社、すなわち民事会社(現在の民法上の組合。ただし、営利目的・事業・職業目的に限定される点、法人化することができる点において現在の新民法とは大きく異なる。)について規律し、商事目的の会社、すなわち商事会社については商法に規定を委ねていた(ただし、民事会社であっても「資本を株式に分つとき」は商法の規定が準用された。)。そして、これを受けて商法は会社(商事会社)として合名会社や株式会社の規定をおいた。 明治29年制定の新民法においては、政府案においてはやはり「会社」の語が用いられたが、衆議院にて「組合」に改められた。こうして、民法の「組合」と商法の「会社」というように、異なる語が用いられることとなったのである。

当初、商行為主義が採られていたことから、商法上は、会社とは、商行為を業として為すを目的とするもの(いわゆる商事会社)に限られる一方で、民法において、商法の会社の規定に従って営利目的社団法人(合名会社や株式会社)を設立することができる旨の規定がおかれ(いわゆる民事会社)、後に、商法にも民事会社の規定が置かれて商事会社と同様に商人として扱われることが明確化され、ついには民法から民事会社の規定が削除されるに至り、現在の会社法では商行為目的か否かによる区別は全くおかれていない。

会社の数

2008年(平成20年)10月末現在、会社法上の会社は334万1000社(清算中の会社を除く)あり、うち株式会社(特例有限会社を除く)が139万4000社、特例有限会社が183万社、合名会社が1万8000社、合資会社が8万5000社、合同会社が1万4000社である[9]

また、2007年(平成19年)において、会社法上の会社の設立件数は10万1981件、うち株式会社が9万5363件(93.5%)、合名会社が52件(0.0%)、合資会社が490件(0.5%)、合同会社が6076件(6.0%)であった[10]

廃止された会社形態

会社類似の概念・形態

外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいい、商人である。
資産の流動化に関する法律に基づき設立される、資産流動化取引のための特別目的会社としての利用が想定された営利社団法人。会社と同じく商人である。
投資信託及び投資法人に関する法律に基づき設立される、会社型投資信託のための特別目的会社としての利用が想定された営利社団法人。会社と同じく商人である。
それぞれ公認会計士法税理士法弁護士法司法書士法行政書士法弁理士法土地家屋調査士法社会保険労務士法に基づき設立される、それぞれの法律に基づく専門職により利用されることが想定された合名会社に準じた構造の営利社団法人。会社とは異なり商人ではない。
保険業法に基づき設立される、保険会社としての利用が想定された中間法人。社団法人であるが、社員と保険の加入者が一致する構造であることから、営利(対外的営利活動による利益の分配)を目的とせず、商人ではない。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国における企業形態で、最も一般的なのが、コーポレーション (corporation) であり、法人格を有し株主の有限責任が認められている点で日本の株式会社に近い。

公開会社 (publicly held corporation) の数は1万社から1万5000社、一方、閉鎖会社 (closely held corporation) は400万社以上と推定されている。公開会社は数の上では少ないが、1万社前後の公開会社によってアメリカの事業資産の90%以上が所有されているとされる[11]

ジェネラル・パートナーシップは、無限責任を負う組合員(partner)のみからなり、リミテッド・パートナーシップは無限責任組合員(general partner)と有限責任組合員(limited partner)からなる。1994年統一パートナーシップ法によると、ジェネラル・パートナーシップは、物的財産及び人的財産をその名において所有し、また、その名において訴え、あるいは訴えられることができるなどとされている[12]

また、1970年代以降に各州で生まれたLLC (limited liability company) は、出資者全員の有限責任が認められると同時に、機関設計や意思決定手続が柔軟で、パススルー課税[注釈 3]が認められることから、近年、中小規模の会社形態として選ばれることが増えている[13]


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注釈

  1. ^ 有限会社法は会社法の施行(2006年5月1日)に伴って廃止され、従来の有限会社(旧有限会社)は、株式会社として存続することとされた(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律2条1項)。この株式会社は、商号中に「有限会社」という文字を用いることとされ、特例有限会社と呼ばれる(同法3条)。また「株式会社」へと商号変更することにより通常の株式会社に移行することもできる(同法45条)。
  2. ^ 法学上、社員とは社団の構成員を指し、日常用語にいう社員が従業員を指すのとは異なる。神田 (2009: 6-7)。
  3. ^ 通常の法人課税では、企業の利益に対し所得課税がされた上で、株主が企業から受け取る配当についても、株主個人の所 得課税が行われる(二重課税)のに対し、パススルー課税 (pass through taxation) とは、企業に損益が生じた時点でこれを株主に帰属したものとみなし、企業に対する課税は行わず、株主に対する所得課税のみを行うものである。Hamilton (2000: 28-30)。

出典

  1. ^ 概要・第2の1(1)。
  2. ^ 会社法575条以下、概要・第2の4(1)。
  3. ^ 神田 (2009: 4-7) 参照。
  4. ^ 神田 (2009: 4)。会社法3条参照。
  5. ^ 神田 (2009: 5)。
  6. ^ 神田 (2009: 4-5)。
  7. ^ 神田 (2009: 5-6)。
  8. ^ 神田 (2009: 6)。
  9. ^ 神田 (2009: 8)。
  10. ^ 2007年商業・法人登記統計(第33表 会社及び登記の種類別 会社の登記の件数 (XLS))。
  11. ^ Hamilton (2000: 377)。
  12. ^ Hamilton (2000: 11-12)。
  13. ^ Hamilton (2000: 23-26, 40-41)。







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