中編小説 中編小説の概要

中編小説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/28 13:20 UTC 版)

明確な基準がなく[1]、長編小説や短編小説との境界線は曖昧である。一篇で1冊以上の分量となる場合はおおむね長編小説と呼ばれるが、これもレイアウトや文字サイズ、ページ数によって分量が大幅に変わるため、基準と呼べるほど確かなものではない。例えば村上春樹のデビュー作である『風の歌を聴け』は、分量的には中編であるが、単独で単行本化され、長編小説と扱われることもある。また、中公文庫で単独刊行されている北杜夫『少年』に至っては、むしろ短編と呼んでもおかしくない分量である。通常の字組みで200頁(原稿用紙350枚程度)であれば単独または短編1編を加え、フィルアップして単行本化されるケースが多いため、一つの境界線とも考えうるが、これを超えながら短編4つと組み合わせて単行本化された安東能明『出署せず』は、文庫解説で中篇と称されている。一方で、同作より若干短いが200頁は超えている横溝正史『本陣殺人事件』は、おおむね長編と呼ばれ続けている。短編との区別はさらに難しく、かつては400字詰原稿用紙100枚を境界線とする考え方もあったようだが(これだと3~4篇で単行本1冊を作れる)、近年は単行本の長大化にともなってこれが一般的に上方移動の傾向にあると思われる。長編と中編の境界線が微妙な作家の代表例は江戸川乱歩であり、同じ字組の文庫本で『パノラマ島奇談』が116頁、『陰獣』が119頁、『ペテン師と空気男』が123頁、『地獄の道化師』が133頁であるが、最後のものだけを長編と呼ぶ形で線が引かれることが一般的である。

芥川賞は短編のみならず、中編も対象としている[4]


  1. ^ a b c "中編小説". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年11月5日閲覧
  2. ^ "Word Count Separates Short Stories from Novelettes and Novellas". International Association of Professional Writers & Editors (英語). 12 November 2018. 2021年11月5日閲覧
  3. ^ Smith, Jack (8 October 2021). "The novella: Stepping stone to success or waste of time?". The Writer (英語). 2021年11月5日閲覧
  4. ^ 塚本香(編)「MEANING OF THE PRIZE」『Harper's BAZAAR』、ハースト婦人画報社、2019年12月、231頁。 


「中編小説」の続きの解説一覧




中編小説と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「中編小説」の関連用語



3
ダックスフントのワープ デジタル大辞泉
100% |||||

4
ノベレット デジタル大辞泉
100% |||||

5
眼と太陽 デジタル大辞泉
100% |||||

6
女の庭 デジタル大辞泉
100% |||||

7
勤労感謝の日 デジタル大辞泉
100% |||||



10
100% |||||

中編小説のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



中編小説のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの中編小説 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS