リース=ソリンの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 14:39 UTC 版)
作用素の族の補間
前節で紹介されている証明の概要は、すでに T が解析的に変動する場合に対しても一般化されている。実際、整函数
の上界を得る上ためには、同様の証明を行えば良い。すると、エリアス・スタインの1956年の論文において出版された次の結果が導かれる[4]。
- スタインの補間定理. (Ω1, Σ1, μ1) および (Ω2, Σ2, μ2) をσ-有限測度空間とする。1 ≤ p0 ≤ p1 ≤ ∞, 1 ≤ q0 ≤ q1 ≤ ∞ を仮定し、次を定義する:
- S = {z ∈ C : 0 < Re(z) < 1} ,
- S = {z ∈ C : 0 ≤ Re(z) ≤ 1} .
- L1(μ1) 内の単函数の空間から、Ω2 上のすべての μ2-可測函数の空間への線型作用素の集まり {Tz : z ∈ S} を考える。この作用素に対し、次の性質を仮定する:
- 写像
- は、すべての単函数 f および g に対して、S 上連続かつ S 上正則である。
- ある定数 k < π に対し、それらの作用素は次の一様有界性を満たす:
- Tz は、Re(z) = 0 なら、 Lp0(μ1) から Lq0(μ2) への有界作用素である。
- Tz は、Re(z) = 1 なら、Lp1(μ1) から Lq1(μ2) への有界作用素である。
- 作用素ノルムは次の一様有界性を満たす。
- すると、各 0 < θ < 1 に対し、作用素 Tθ は Lpθ(μ1) から Lqθ(μ2) への有界作用素となる。
実ハーディ空間と有界平均振動の理論により、ハーディ空間 H1(Rd) と有界平均振動の空間 BMO 上の作用素を扱う上でスタインの補間定理を使うことが可能となる。これはチャールズ・フェファーマンとエリアス・スタインによる結果である[5]。
- ^ Stein and Weiss (1971) および Grafakos (2010) では単函数上の作用素が用いられ、Muscalu and Schlag (2013) では共通部分 Lp0 ∩ Lp1 の一般の稠密部分集合上の作用素が用いられている。それらとは対照的に、Duoanddikoetxea (2001)、Tao (2010) および Stein and Shakarchi (2011) では、本節で説明している加法的和集合の式が用いられている。
- ^ Riesz (1927) を参照。証明では双線型形式の理論における凸性に関する結果が利用された。このため Stein and Weiss (1971) などの多くの古典的な文献では、この定理のことはリースの凸性定理(Riesz convexity theorem)と呼ばれている。
- ^ Thorin (1948)
- ^ Stein (1956). チャールズ・フェファーマンの書 Fefferman, Fefferman, Wainger (1995) で指摘されているように、スタインの補間定理の証明は本質的にはリース=ソリンの定理と同じであるが、作用素には z が加えられている。この埋め合わせのために、Isidore Isaac Hirschman, Jr.によるアダマールの三線定理のより強いヴァージョンが用いられ、求める上界が得られている。詳細な証明については Stein and Weiss (1971) を参照されたい。またこの定理のハイレヴェルな解説については a blog post of Tao を参照されたい。
- ^ Fefferman and Stein (1972)
- ^ エリアス・スタイン は、調和解析に現れる興味深い作用素が L1 や L∞ 上で有界であることは滅多にないと述べている。
- リース=ソリンの定理のページへのリンク