マスツーリズム 生成と発展

マスツーリズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/23 03:46 UTC 版)

生成と発展

  • マスツーリズムの発生
第二次世界大戦後の荒廃からいち早く復興した先進諸国と呼ばれる国々ではマスツーリズムの時代を迎えた。経済発展により工業生産力が飛躍的に増大し、大量生産・大量消費の時代を迎え、かつてない経済的な豊かさが実現された。その経済的豊かさは社会に広く浸透し、かつては富裕層に限られていた旅行を大衆も享受し得る条件が整っていった。
1950年代には米国に出現し、1960年代には西欧諸国にも形成されている。この時期はジェット旅客機時代の幕開けであり、観光者が押し寄せる条件の一つを形づくった。
  • ヨーロッパにおけるマスツーリズム
ヨーロッパにおいて、マスツーリズムの拡大に社会政策としてのソーシャルツーリズムが果たした役割も重要である。それは、経済的理由などから観光に無縁な人びとも観光を楽しめるようにする諸施策であり、フランスやスイスで始まり、ヨーロッパ全体に普及してマスツーリズムの発展に寄与した。→ これについては「ソーシャルツーリズム」の項参照
  • マスツーリズムの拡大
1970年代になると、国際観光はいっそうの拡大を見せる。1969年にはジャンボジェット旅客機の就航により国際観光の大量化・高速化が決定的なものとなった。この頃には、国際観光者の送り出し国として、日本が加わった。  
この頃には、国際機関による国際観光開発の支援も盛んになされ、国際観光地が世界中に整備された。
  • マスツーリズムへの批判の一方、なお続くマスツーリズム
1980年代には、すでにマスツーリズムの諸問題が顕在化していた。
これについては、後述する。
そうした批判をよそに1990年代以降も、国際観光の拡大傾向は続いた。
アジア諸国の経済発展から、東アジア諸国の富裕層も国際観光地に繰り出した。
  • マスツーリズム後
1980年代の後半には、マスツーリズムに代わる「新たな観光のあり方」として、オルタナティブツーリズムという概念が提唱され、さらにその後「持続可能な観光」(サステイナブルツーリズム)という概念が提唱されている。また、エコツーリズム、エスニックツーリズムなど、マスツーリズムの反省にたった観光も実践されている。しかしながら、なお現在においても観光・ツーリズムの大勢を占めているのはマスツーリズムである。

  1. ^ a b c 石森 1991, pp. 17–36.






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