ボスニア語 論争

ボスニア語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 18:45 UTC 版)

論争

この言語の名前「ボスニア語」は、近隣するクロアチアとセルビア人の間で論争の種となっている。クロアチア人とセルビア人は、それぞれ自分たちの言語のことをクロアチア語、セルビア語と呼ぶが、ボスニア・ヘルツェゴビナの一部であるスルプスカ共和国の憲法では、セルビア政府のように、公式にボスニア語のことを「ボシュニャク人の話す言語」(Jezik kojim govore Bošnjaci)と規定している。

セルビアでは、言語名としては「ボシュニャク語」と規定された。クロアチアの優秀な言語学者(Radoslav Katičić、Dalibor Brozović、Tomislav Ladan)は、ボスニアの言語の適切な名前は「ボスニア語」ではなく「ボシュニャク語」になるだろう、としている。「ボスニア語」はすべてのボスニア人にとって国家の標準的言語名であり、ボシュニャク人だけのものではない。この問題についてのクロアチアの公式な規定はないが、公刊物(たとえばクロアチアの百科事典や大学の教本)では、ボシュニャク人の言語はボシュニャク語としている。

観察すべき重要な点として、デイトン合意では、ボシュニャク人によって話されるボスニア・ヘルツェゴビナの言語を、公式にボスニア語として認定・指定していることである。この公式な区別と認定は、ボスニア・ヘルツェゴビナ大統領アリヤ・イゼトベゴビッチ、クロアチア大統領フラニョ・トゥジマン、及びセルビア大統領スロボダン・ミロシェヴィッチ(Slobodan Milošević)により署名されている。このことは、ボスニア・ヘルツェゴビナの言語が公式にボスニア語であるとして認められる証左となるだろう。


  1. ^ 齋藤厚「「ボスニア語」の形成」(PDF)『スラヴ研究 48号』48号、北海道大学スラブ研究センター、日本、2001年、pp.113-138、2009年1月29日閲覧 






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