プラスティック・メモリーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/17 00:20 UTC 版)
用語
- SAI社 (SION ARTIFICIAL INTELLIGENCE)
- 高性能アンドロイド・ギフティアの製造元。ツカサが毎日通う大企業。契約満了のギフティアを回収するターミナルサービス等を有する。
- ギフティア (GIFTIA)
- 豊かな表情など高機能な性能を持つ「心」を有するアンドロイド。名称はギフト(GIFT、贈り物)に由来する[5]。「アルマ」と呼ばれる人工知能により、他社のアンドロイドにはない「心」を有する点が大きな特徴となっている。下記のようなアンドロイドとしての欠陥を持つが、他にはない人間的な人格の再現により大きな需要を持つ。
- 外観や性格は様々で、使用契約によって人間に提供されるパートナー的存在であり、家族・恋人・仕事仲間など多様な形態の関係が築かれているが、「アンドロイド保護法」により人間に準じる存在としての人権が保証されており、人権を無視したと思われる利用はできない。
- 食事が可能でお茶を飲み過ぎると尿意を催すなど心だけでなく生理機能もあり、人間とほとんど見分けの付かない機能と外観を併せ持つが、身体能力は非常に高い。
- 電源は充電稼働であり、静止中でも感情の動きによって消耗率が増減する。同様に、人間と同じようにオーバーワークによる心神の消耗や心を殺すほどの行動で身体自体にも影響を及ぼす。人間の範疇としての部分で一部能力を強化調整することができ、動き出してから体感した記憶は全て覚えるものの通信機能など一般の人間を超えるような機能は持たず、人間に極めて近づける意味でのアンドロイドとして極致に値する。
- 肉体の損傷については、無茶な行動による怪我に値する物は施設によってある程度修復できるが、経年劣化による全体動作の鈍りまで解消するわけではない。
- 上記のアンドロイドとして欠けているものとしては記憶の忘却が該当する。上記のとおり、ギフティアは自分の体感・思考したあらゆる情報を記憶し続けるが、これらを一切忘れることができない。記憶はオーナーのプライバシーに抵触することから外部で干渉することも不可で、OSもしくは本体ごとの破壊により記憶を全面消去する以外になく「部分的に忘れる」ということは不可能。
- 81,920時間の耐用期間(耐用年数約9年4か月)を超えると人格や記憶が壊れ出すため、法律により期限前の回収が義務付けられている。そのため、保有者とは使用契約時にその旨の念書を交わすこととなる。また、回収の際にはオーナーのプライバシー保護の観点などから、保有者立ち会いの下でギフティアの機能を停止させる作業を行うことも義務付けられている。なお、耐用期限の間近に臆して直前まで逃亡を図ろうとするオーナーがいる問題もある。
- 機能を停止したギフティアはSAI社に回収されるが、身体自体は再利用が可能であり、オーナーの希望によってはOS(人格)入れ替えをしたうえでもう一度暮らせるようにするなどのサービスメニューも提供されており、ミネコは2回はそのオプションを行使している。その際、元の記憶は完全に抹消された新たな人格(苦手なものなど感覚自体も違う)、いわゆる別人となり名前も変えられる。一方で、SAI社を騙ってギフティアを回収しようとする闇回収業者の存在が問題視されている。
- ターミナルサービス
- 寿命を迎えつつあるギフティアの回収を担当する窓口部署。そこでは、人とギフティアがコンビを組み回収作業をこなす。
- オーナーとの交渉は主に「マークスマン」と呼ぶギフティア[注 4]が行い、回収対象のギフティアのケアを担当するのは「スポッター」と呼ぶ人間である。
- コンビを組むマークスマンとスポッターは同居することが義務付けられているが、他の課の管轄下に出張するときは出先の課員に補助を頼めるため、マークスマン単独で赴くこともある。
- 回収作業はオーナーが回収同意書にサインをした後、マークスマンと回収対象がペアの指輪をはめてOS完全消去プログラムを起動させ、マークスマンがホログラムとして表示されるスイッチを入れて完了となり、動かなくなったギフティアの体は後処理を担当する別部署に引き渡す。ただし、万が一ギフティアが暴走して危害を加えるようなことがあった場合、そのギフティアは「破壊対象」となり、スポッターはギフティアのOSを破壊する拳銃(動作は後述)の使用が認められる。この拳銃はSAIの社員である人間にのみ使用が許され、ギフティアは使用できない。
- スポッターはマークスマンの監視役としての意味があり、相棒であるマークスマンが寿命を迎える際には自ら回収同意書にサインした上で回収作業を行う。その際の同意書は一般のものとは異なり、マークスマンが記憶した情報を社外に漏らさず顧客の情報を守ることを誓約する。
- 全世界で29の支局がある。大抵の支局は企業としての効率優先が当たり前であり、回収時期を迎えたギフティアを手早く回収する(逃亡者がいる場合は追跡により捕縛後、強引に停止作業を行う)が、以下の第1ターミナルサービスは他支局とは業務方針が大幅に異なる。
- 第1ターミナルサービス
- ツカサの所属するターミナルサービスの支局で、極東地区を担当する。オフィスは巨大なSAI社の本社ビルの裏手にあり、施設自体は古い。
- 業務方針はアイラが作り上げた「ギフティアのオーナーの心のケアも徹底する」。というのも、ここの支局員は自らの業務を「思い出を引き裂く仕事」と呼び心を痛めており、その方針通りオーナーとギフティアの別れをできる限り悲しいものにしないよう務めている。ミチル曰く「ここまで気を使っているのはウチぐらいのもの」。このこともあってか他支局よりコストが5倍かかっているといい、部長のシンヤに目を付けられている。
- ユニットテスティングルーム
- ギフティアの身体能力を調査・測定するため、SAI社本社ビル内に設置されたプール型のテスター。水槽内に様々な仕掛けがあり、トレーニング施設にもなっている。
- アンドロイド・チルドレン
- 何らかの事情で両親と別れ、ギフティアが親代わりとなって育てられた子供。ミチルもその一人。
- ワンダラー
- 耐用期間を超え、人格と記憶が崩壊してしまったギフティアを指す[注 5]。人間で言う狂人状態ともいえ、ワンダラーとなったギフティアは動物的で本能的な行動しか取れなくなり、周囲からの影響によって行動するのを予想しづらく、徘徊や最悪の場合は人間を殺傷するなど、社会にとって害となる存在と化してしまう。身体能力のリミッターも解除されてしまっており[注 6]、非武装の人間が対抗するのは困難を極める。そのため、ワンダラーとなる前にギフティアを回収することがターミナルサービスの至上任務である。
- なお、ギフティアはあくまで人間的なアンドロイドなため、本人やオーナーへの「人権」への配慮から、第三者が位置情報を確認できる、GPSなどの機能は実装されておらず(アンドロイド保護法)[6]、行方不明となったギフティアの捜索は通常の人間に対する捜索と同様の困難を伴う。
- ワンダラー化した暴走ギフティアを止めるためには、マークスマンであるギフティアの手腕での押さえ込みか、以下のアール・セキュリティ社による鎮圧かで試みる。どうすることも出来なくなったりワンダラーがオーナーに危害を加える事態に陥ったりした場合はスポッターが緊急の最終手段として光線銃型発射機(前述の拳銃)からソフトウェア破壊プログラムを撃ち込むことで強制的に機能停止させることになり、マーシャの案件でツカサがこの銃撃を余儀なくされてしまった。
- アール・セキュリティ社
- SAI社と業務提携している民間警備会社。自動小銃などで武装しており、ワンダラーと化したギフティアが出た場合にこれらを使用した破壊をいとわない鎮圧任務にあたるが、第1ターミナルサービスの支局員からは「ギフティアをモノとしてしか見ていない集団」として毛嫌いされている。
- ^ アニメ監督の林直孝とは別人。
- ^ ただし実父からは「社に相応しくないと判断されたら容赦なく解雇」と釘を刺されている。
- ^ 作中に登場する回収同意書の内容より。
- ^ 交渉能力が通常のギフティアより強化されている。
- ^ 5話にて、ワンダラーになるのは稀といわれている。
- ^ シェリー曰く「自動車1台程度なら軽く投げ飛ばせる」。
- ^ テロップではオープニングテーマ表示。
- ^ ソフト版では通常のエンディングテーマとして収録されている。
- ^ テロップでは挿入歌表示。
- ^ 林直孝の実弟。
- ^ 彼女は「例え人格が変わっても、同じ家族として受け入れる」というポリシーを持っており、以前にもこのオプションを選択している。
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