フォン (前置詞) 「フォン」称号の現在

フォン (前置詞)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/07 21:06 UTC 版)

「フォン」称号の現在

第一次世界大戦後にドイツもオーストリアも君主制は廃止されて共和国に移行しており、どちらの国も特権を持つ世襲の貴族制度がない国となった。

現代のドイツでは「フォン」称号は、法的には単なる姓の一部となっている。フォンを名乗るという慣習に結び付く法的な特権や制約はもはや存在しない。電話帳などでドイツ人の姓をアルファベット順に並べる場合、「フォン」を姓に含む人々は、「フォン」の後に続く部分に基づいて並べられる(例えば、経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス(Ludwig von Mises)は、電話帳では「V」ではなく「M」のところに並ぶことになる)。

一方、オーストリアでは第一次世界大戦後、貴族の特権が廃止されたのみならず、フォンやツーを含むあらゆる貴族称号が廃止され、フォンのついた姓を名乗ることができなくなった。経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエクは戦後は「フリードリヒ・ハイエク」になった。指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンも法律上はヘルベルト・カラヤンだが、芸名としてフォン・カラヤンを名乗っていた。チェコの政治家で、ビロード革命前はオーストリアで活動していたカレル・シュヴァルツェンベルクは、メディアでは時折「フュルスト・ツー・シュヴァルツェンベルク(Fürst zu Schwarzenberg, シュヴァルツェンベルク侯)」と書かれることもあるが、オーストリアの法的には、姓は貴族称号のない単なる「シュヴァルツェンベルク」のみである。ハプスブルク=ロートリンゲン家の現当主カール・ハプスブルク=ロートリンゲンは「カール・フォン・ハプスブルク」を自称しているが、現代のオーストリアでは「フォン・ハプスブルク」を姓とすることも、「オーストリア大公」の称号を使うこともできない。


  1. ^ 「vonが姓の一部であるかどうかはドイツ人の間でも揺れているらしく、自分の名前を言うときにvonを付ける人と付けない人がいます。また、他の人がその人を呼ぶ際も時と場合によるようです」(新田春夫『ドイツ語 ことばの小径―言語と文化の日独比較』(大修館書店、1993年)より引用)





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