ファラオの葉巻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 19:15 UTC 版)
あらすじ
地中海のクルーズ船でバカンスを楽しんでいたタンタンは、映画会社社長で富豪ラスタポプロスや、エジプト考古学者の変人フィレモン・サイクロンらと出会う。そんな中、突然タンタンは2人組のインターポールの刑事デュポンとデュボンにアヘン密輸容疑で逮捕されるも、船から脱出し、カイロの街に着く。サイクロンと再会したタンタンは、彼のファラオ墳墓の探索に同行するが、そこでケオセフ王のマークの入った謎の葉巻を見つける。サイクロンと合流しようとするも彼は行方不明となり、やがてタンタンは、ミイラのように布を巻かれて棺に納められた多くの考古学者が置かれた地下室を発見する。そこには「タンタン」の名の入った空の棺も置かれており、驚いたタンタンはアヘンの煙を吸わされ意識を失う。
タンタンが入った木の棺は海上を密輸船で運ばれていたが、沿岸警備隊を見つけた船長のアランは棺を船外に捨てるよう部下に命じる。こうして海上で目を覚ましたタンタンは、アラビアに向かう途中の武器商人の船に偶然拾われる。この一件により、デュポンとデュボンはタンタンは武器密売にも関与していると誤解する。その後、陸路を移動するタンタンは、彼の大ファンだという族長シーク・パシャや、映画撮影を行っていたラスタポプロスと遭遇する。そして砂漠を旅して都市にたどり着くが、地元兵の連隊長はタンタンが持っていたケオセフ王のマークの入った葉巻を見てスパイだと言い、タンタンは処刑のため逮捕される。デュポンとデュボンは、自分たちが逮捕するためタンタンを脱出させるが、タンタンはさらに彼らの手からも逃げ出し、軽飛行機に乗ってアラブを脱出する。
インド上空で燃料切れにより飛行機は墜落し、タンタンはジャングルにたどり着く。そこでサイクロンと再会するが、彼は正気を失っていた。そこでタンタンは彼を連れて、近くにあったイギリス人植民地者のバンガローに泊めてもらい、スノーボール夫妻やフィニー医師と知り合う。サイクロンを診たフィニーは、彼はラジャイジャの毒によって正気を失わされたと診察する。翌日、サイクロンがファキール(イスラムまたはヒンドゥーの禁欲的な修行僧)に命じられるままに殺そうとしてきたため、タンタンは逃げ出す。村に逃げ込んだタンタンは、犯人一味と思われるハンガリー人の詩人を尋問し、麻薬密輸の国際的シンジケートがあることを聞き出すが、ボスの名を明かす前に詩人はファキールの毒矢によって、正気を失ってしまう。やがてタンタンは一帯を統治するマハラジャ(王)である、ガイパジャマと出会う。マハラジャはタンタンを気に入ると、この国が長く麻薬密輸団と戦っていること、彼の父や兄弟も、ラジャイジャの毒によって正気を失わされたこと、そして密輸団がどのような方法で国内に麻薬を持ち込んでいるのか未だ不明であることを明かす。
深夜、マハラジャを襲うために姿を表したファキールを追跡することで、タンタンは麻薬密輸団のアジトを発見し、機転を利かせてこの場にいた覆面の幹部らを一網打尽にする。彼らはアランやアラブの連隊長、スノーボール夫妻やフィニー、マハラジャの側近など、今回の旅でタンタンが出会った人物たちであった。しかし、隙を突かれてファキールには逃げられてしまう。そこにデュポンとデュボンが到着し、カイロ警察の捜査によってここにたどり着いたこと、また既にタンタンの容疑は晴れていることを明かす。窮地に陥ったファキールはマハラジャの息子を誘拐し、それを知ったタンタンは彼を助けるためスポーツカーで追跡する。そしてタンタンは息子を助け出し、ファキールを捕まえることにも成功する。未だ正体不明のボスは、岩を落としてタンタンを殺そうとするも、崖から転落し行方不明となる。
マハラジャの宮殿に戻ったタンタンは盛大に祝われる。そしてタンタンは、マハラジャに麻薬密輸団が葉巻に偽装して麻薬を密輸していたことを報告する。
注釈
- ^ リーニュクレール(ligne claire)という名前は、エルジェ自身の命名ではなく、1977年に漫画家のJoost Swarteによって名付けられた[28]。
出典
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- ^ Romano, Sal (2023年3月9日). “Tintin Reporter: Cigars of the Pharaoh reveal trailer, screenshots” (英語). Gematsu. 2023年3月17日閲覧。
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