ピーターソン反応 ピーターソン反応の概要

ピーターソン反応

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/11/24 10:37 UTC 版)

目次

反応機構

ピーターソン反応の特長は、炭素-炭素結合生成で得られる β-ヒドロキシシランを単離できる場合に、脱離生成物となるアルケンのシス体、トランス体を作り分けられることである。β-ヒドロキシシランを塩基、あるいはで処理すると、それぞれ反対の立体配置を持つアルケンが得られる。

塩基による脱離反応

β-ヒドロキシシラン 1 を塩基で処理すると、中間体 2 または 3 からケイ素と酸素が協奏的にシン脱離し、アルケンが得られる。5配位型ケイ素中間体 3 を含む経路が有力と考えられているが、現在までその証拠は得られていない。

酸による脱離反応

β-ヒドロキシシラン 1 を酸で処理すると、ヒドロキシ基がプロトン化され、そこからケイ素と酸素とがアンチ脱離(E2脱離)したアルケンが生成物となる。

置換基の影響

α-シリルカルバニオンアルキル基、水素、または電子供与基からなる場合に、ピーターソン反応で生成するアルケンの立体が制御可能となる[6]。中間体の β-ヒドロキシシランが低温で単離できるからである。

β-ヒドロキシシランが単離できれば、そのジアステレオマーを分離し、その片方を酸で、もう一方を塩基で処理すれば、同じ立体のアルケンとなる [4]


電子求引基が存在する場合は、β-ヒドロキシシランからの脱離が速やかに起こるため、ピーターソン反応は直接アルケンまで進行する。そのときのアルケンの立体は、塩基による脱離生成物のものとなる。

関連項目


  1. ^ Peterson, D. J. J. Org. Chem. 1968, 33, 780.
  2. ^ 総説: Birkofer, L.; Stiehl, O. Top. Curr. Chem. 1980, 88, 58.
  3. ^ 総説: Ager, D. J. Synthesis 1984, 384.
  4. ^ a b 総説: Ager, D. J. Org. React. 1990, 38, 1.
  5. ^ 総説: Chan, T.-H. Acc. Chem. Res. 1977, 10, 442.
  6. ^ Barrett, A. G. M.; Flygare, J. A.; Hill, J. M.; Wallace, E. M. Org. Synth., Coll. Vol. 9, 1998, 580.Article


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