ディスカバリーランド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/03 17:08 UTC 版)
概要
テーマ
1992年にオープンしたフランスのユーロ・ディズニーランド(現:ディズニーランド・パーク、通称:ディズニーランド・パリ)において登場したテーマランドで、従来の「トゥモローランド」を承継しつつもテーマ性などを大きく変更したもの。「人々の夢見る未来の世界や、最先端の科学技術をテーマにした世界」から「過去の人が見た未来の世界」へと、そのテーマの根源を大きく変化させたのである。具体的にはジュール・ベルヌや、H.G・ウェルズの空想世界をテーマにしたものであり、『海底二万里』や『地底旅行』、『タイム・マシン』『透明人間』『宇宙戦争』など、両著者のクラシックSF小説がモチーフになっている。
デザインと建築物
ディスカバリーランドでは建物のデザイン等もトゥモローランドの白やブルーを基調としたものから、青緑色や金色といったクラシック要素と未来要素が融合した、いわゆるレトロフューチャーなデザインに変更されている。しかし、アトラクションはトゥモローランドと共通のものが多く、必ずしも全てが新しく作られたというわけではなかった。ディスカバリーランドではトゥモローランドで現在も扱われているアトラクションが設置されていることから、既にそれらのアトラクションは「過去の人が見た未来」として捉えられていると考えられる。
ディスカバリーランドのテーマや建築デザインなどは、後の東京ディズニーシーのテーマポートである「ポートディスカバリー」や「ミステリアスアイランド」に影響を与えている。エリアの基調色などは、後の1998年にカリフォルニア(アナハイム)のディズニーランドで行われた2度目の「New Tomorrowland プロジェクト」にも取り入れられた。
オリジナルアトラクション
ディスカバリーランドのオリジナルアトラクションは「オービトロン」「ル・ヴィジョナリウム」などがある。しかしル・ヴィジョナリウムはディスカバリーランドのオリジナルと言う訳ではなく、トゥモローランドに古くからあった「サーキュラマ(サークルビジョン)」を元に、当時、カリフォルニアのディズニーランドの隣に予定されていた「WESTCOT」のために開発されていたものを流用したものである。ル・ヴィジョナリウムは東京ディズニーランドに「ビジョナリアム」として、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートには一部内容変更をした「タイムキーパー」として導入された。しかし、東京版は「バズ・ライトイヤーのアストロブラスター」に、フロリダ版は「モンスターズ・インクのシアター系アトラクション」に改装され、既にクローズしている。結局は全てのディズニーパークで運営を終了している。
本格的にディスカバリーランドのテーマを反映したアトラクションが出来たのは、1995年の「スペース・マウンテン」(現在のスペース・マウンテン:ミッションⅡ)と「ノーチラス号のミステリー」のエリアがオープンした時である。このスペースマウンテンには様々な改良が施されていた。コースレイアウトに360度回転ループを含み、ディズニーパークで初めて車載スピーカーを搭載した。アトラクションテーマにも変更が加えられ、ジュール・ベルヌの小説を基調としたストーリー展開になっている。また、「ノーチラス号のミステリー」は、ジュール・ベルヌの小説を題材にした、ディズニー映画『海底二万哩』のシーンを体験できるウォークスルータイプのアトラクションであり、ディスカバリーランドのテーマを色濃く反映したものである。
テーマの変更と継承
ディスカバリーランドでは、スペースマウンテンがジュール・ベルヌのテーマを廃止して「スペース・マウンテン:ミッションⅡ」としてリニューアルしたり、ル・ビジョナリウムが閉鎖され、ディズニー・ピクサー映画『トイ・ストーリー』に登場する「バズ・ライトイヤー」をテーマにしたシューティング形式のライドアトラクションに変更された。それに伴いエリアの色彩も銀やメタリックブルーが使用されはじめ、序々に本来のテーマや建築デザインから離れ始めている。
その一方で東京ディズニーシーでは、ディスカバリーランドで始まったジュール・ベルヌのテーマを「ポートディスカバリー」と「ミステリアスアイランド」において完全に承継している。日本では海底二万マイルを原作とするアニメ『ふしぎの海のナディア』の人気などもあってか、ジュール・ベルヌの世界観は根強い人気を誇っており、今のところデザインやテーマを変更する動きも無い。テーマランドとしてのディスカバリーランドの本流はむしろこちらに移った感もある。
- ^ The Imagineers (2005-09-01). The Imagineering Field Guide to the Magic Kingdom at Walt Disney World. Disney Editions. pp. 124–5. ISBN 0-7868-5553-3
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