スポーツの歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/22 16:02 UTC 版)
現代のスポーツ
現代のスポーツは合理的な近代固有の論理に基づくスポーツがますます顕在化する中で、1960年代以降、近代論理の限界性を如実に示すようになった。
20世紀に入り、オリンピックが国家単位の参加となると、スポーツによるナショナリズムが台頭して、スポーツに政治が関与するようになった。1936年のナチスによるオリンピック、2度の世界大戦によるオリンピック大会の中断、東西冷戦によるボイコット合戦などである。
また、テレビなどのメディアが発達してくると、スポーツも取り上げられるようになった。メディアにとってスポーツは格好のコンテンツであり、スポーツの大衆化が進み、見るスポーツ「スペクテイタースポーツ」が発達した。こうしたことを背景にスポーツは政治やコマーシャリズムから影響を受けていった。
また、科学技術が発達してくると、スポーツの世界にも取り入れられるようになり、技術の向上などにつながった。その反面、行き過ぎた勝利至上主義により、ドーピングのような問題も起こってきている。
こうした近代スポーツの記録第一主義、勝利至上主義に対し、1960年代ごろから近代論理の行き詰まりによりスポーツに対する考え方や価値観も多様化してきた。それまでの競争原理一辺倒のスポーツ文化だけでなく、それ以外の共生原理に基づくスポーツをも志向し始めた。現代のスポーツは近代スポーツの様々な問題を抱えながら多様化しており、現代社会が内包する諸特性と深く結びついて現代的な変容を続けている。
参考文献
- 『最新スポーツ大事典』岸野雄三ほか編、日本体育協会監修、大修館書店、1987年 ISBN 978-4-469-06203-8
- 『最新スポーツ科学事典』日本体育学会監修、平凡社、2006年 ISBN 978-4-582-13501-5
- 『スポーツの百科事典』小田伸午編集、田口貞善監修、丸善、2007年 ISBN 978-4-621-07831-0
- 『図説スポーツ史』寒川恒夫編、朝倉書店、 1991年 ISBN 978-4-254-69023-1
- 『スポーツ史講義』稲垣正浩・谷釜了正編著、大修館書店、1995年 ISBN 978-4-469-26299-5
- 『図説 スポーツの歴史―「世界スポーツ史」へのアプローチ』稲垣正浩ほか著、大修館書店、1996年 ISBN 978-4-469-26352-7
- 『近代体育スポーツ年表:1800→1997』岸野雄三ほか編、大修館書店、1999年 ISBN 978-4-469-26408-1
関連項目
- スポーツ史学
- 年度別スポーツ記事一覧
- スポーツ史学会
- ^ 稲垣正浩・谷釜了正編著『スポーツ史講義』大修館書店、1995年、pp. 37-38. ISBN 978-4-469-26299-5
- ^ 稲垣正浩・谷釜了正編著『スポーツ史講義』大修館書店、1995年、p. 39.
- ^ 『図説 スポーツの歴史―「世界スポーツ史」へのアプローチ』稲垣正浩ほか著、大修館書店、1996年、pp. 14-15. ISBN 978-4-469-26352-7
- ^ 『スポーツの百科事典』小田伸午編集、田口貞善監修、丸善、2007年、p. 202. ISBN 978-4-621-07831-0
- ^ 『最新スポーツ科学事典』日本体育学会監修、平凡社、2006年、p. 669. ISBN 978-4-582-13501-5
- ^ a b 『最新スポーツ科学事典』日本体育学会監修、平凡社、2006年、p. 670.
- ^ 『スポーツの百科事典』小田伸午編集、田口貞善監修、丸善、2007年、pp. 511-512.
- ^ 『スポーツの百科事典』小田伸午編集、田口貞善監修、丸善、2007年、p. 513.
- ^ 『最新スポーツ科学事典』日本体育学会監修、平凡社、2006年、p. 671.
- ^ 『スポーツの百科事典』小田伸午編集、田口貞善監修、丸善、2007年、p. 514.
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