ジャッカルの日 登場人物

ジャッカルの日

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 03:25 UTC 版)

登場人物

ジャッカル英語版
ド・ゴール暗殺のためOASに雇われたイギリス人の殺し屋。身元が謎に包まれており、国際刑事警察機構(インターポール)も正体がつかめていない。フランス語を流暢に喋り、狙撃の名手で、過去にはドミニカ共和国ラファエル・トルヒーヨ暗殺にも関与したとされる。しかし証拠を残さないため、経歴は噂として語られるものばかりである。洞察力が鋭く仕事の前にはあらかじめ本や新聞を読みあさってターゲットの情報を調べ上げ、暗殺に適した場所や逃走経路を入念に用意する。物故者の名前で取得した偽名パスポートや盗み出した旅行者のパスポート、偽造屋に作らせた傷痍軍人証明書などを用いて、イギリス人アレクサンダー・クエンティン・ダッガン、デンマーク人の牧師イェンセン、アメリカ人の大学生シュルバーグ、アルザス生まれの片足の退役軍人アンドレ・マルタンへと次々になりすまして暗殺計画を進める。自分の立場が危うくなると、中年女性やゲイの男性をも利用して身を隠す。感情を表に出さない冷酷な人物だが、決して裕福ではない環境に育った過去を持ち、イタリアのビーチでスポーツカーを乗り回しながら女性をナンパするという安楽な引退後生活を夢見ている。
クロード・ルベル
フランス司法警察刑事部次長。エリゼ宮高官たちから国内最高の探偵術に秀でた人物としてジャッカル追跡に引き抜かれる警部。服装は野暮ったく、いつもしわだらけのスーツにレインコートを羽織っている。風体も小太りに髭面と冴えないが、その温和な見た目からは想像がつかない狡猾な頭脳と、いかなる挑発や脅しにも屈しないしたたかさを秘めており、彼を脅迫した暗黒街のボスが甘く見すぎていたと牢屋で後悔するほど。ジャッカルの情報を漠然とした状態から探し出すために、過去の政府要人の暗殺事件からトルヒーヨ暗殺の情報をイギリス政府から聞きだし、次第にジャッカルにたどり着いていく。愛妻家だが妻に尻に敷かれており頭が上がらない。
ローラン
フランス秘密情報機関SDECEアクションサービス部長。フランスで頻発するOASによる銀行強盗事件から、よからぬ事が起きる気配を察し、OASの用心棒コワルスキーを罠にかけて拉致し、ジャッカルの名前を吐かせる。
マルク・ロダン
フランス過激派組織OAS作戦主任。アントワーヌ・アルグーの逮捕によってOASのトップとなる。ド・ゴール暗殺失敗やOAS内部の腐敗により組織が壊滅する状態へ追いやられ、外部から殺し屋を雇うことを提案する。
ルネ・モンクレア
OAS経理責任者。ロダンらとともにド・ゴール暗殺者の選定を行う。
アンドレ・カッソン
OAS地下運動の責任者。ロダンらとともにド・ゴール暗殺者の選定を行う。
ビクトル・コワルスキー
OAS副官でロダン直属のボディガード。ポーランド出身の外人部隊上がり。一夜の過ちから愛娘がおり、親戚に預けて面倒を見てもらっていた。アクションサービスにその情報を利用され、娘が重い病気にかかったという嘘でおびき出されて捕まり拷問を受け、ジャッカルの名を漏らして死亡する。
ラウール・サンクレア・ド・ビローバン
大統領府武官。自らの保身と責任逃れからルベルにジャッカル追跡の全権限と責任を与え、その後も無理難題を押しつける。しかしOASの策略によって下記ジャクリーヌと親交を持ち、彼女がOASのスパイであることに気付かぬまま、毎晩ベッドで捜査の状況をすべて話してしまう。このことがルベルが仕掛けた盗聴で判明して会議から退出する。
リュシアン・カロン
殺人課の若手警部。ルベルに最も信頼されており、彼の右腕としてジャッカル追跡をサポートする。
ブービエ
刑事局長。警察内で最も探偵術に秀でているとしてルベルを推薦する。ジャッカルの追跡の為にルベルには「手段を選ばなくてよい」と全権限を与える。
ポール・グーサンス
裏社会で名が知られているベルギー人のガンスミス。元は銃器メーカーのFN社の有能な社員だったが、横領が発覚して実刑判決を受け、裏稼業へ転じた。表向きは金属細工の工房を営んでいる。紹介を受けて訪ねて来たジャッカルのスケッチにもとづき、金属製の松葉杖に偽装できる狙撃銃と、弾頭内に水銀を詰めた改造弾薬を製作する。ジャッカルはその腕前と技術には敬意を表し、グーサンスもまたジャッカルをプロの殺し屋と恐れ、互いに一目置いた関係となる。
ジャクリーヌ・デュマ
OASのシンパである、高級美容院の美容師。アルジェリアでの戦いで実の兄と婚約者を相次いで亡くした過去から、アルジェリア独立を進めたド・ゴールに強い恨みを持つ。目的のためなら肉体関係もいとわない性格を買われ、OASからサンクレアに接近して捜査情報を随時報告する任務を与えられる。
偽造屋
表向きは写真屋を営むベルギー人の偽造屋で、ジャッカルの必要とする傷痍軍人証明書などの偽造を行う。腕は良いが思慮が浅く、ジャッカルを密輸業者のような小悪党だと誤解して金品をゆすり取ろうとしたため、口封じのためにジャッカルに殺される。
コレット・ド・ラ・シャロンニエール
フランスのシャロンニエール男爵夫人。家族がいる身でありながら、ジャッカルに関心を持ち肉体関係を結ぶ。身を隠しに来たジャッカルの電話をたまたま盗み聞きしたために殺される。
ジュール・ベルナール
パリ在住のゲイの男性。接近してきたジャッカルを自宅に招くが、テレビ放送で流されたジャッカルの顔写真入り公開手配を目にしたため殺害される。
ジャン・デュクレ
大統領護衛隊指揮官。
ウージェヌ・ギボー
フランス秘密情報機関SDECE長官。
ロジャ・フレイ
内務大臣。
マダム・ベルト
1940年6月18日広場に面したアパートの管理人。
チャールズ・ハロルド・カルスロップ
海外出張が多いイギリス人。ジャッカルが関与したとされるトルヒーヨ暗殺の時期にドミニカに滞在していたこと、名前の綴り"Charles Calthrop"を縮めた"cha-cal"がフランス語でジャッカルという意味になること、旅行に出かけていて連絡がつかないことなどから、ジャッカルの正体ではないかとイギリスの警察に注目される。
ジャン・バスティアン=ティリー英語版
元OAS指導者。ド・ゴールを襲撃するが失敗に終わり、逮捕されて死刑が言い渡される。「兵士たちが自分に銃を向けるはずはない」と豪語していたが銃殺される。
シャルル・ド・ゴール
フランス大統領。アルジェルアを独立させたことでOASから反感を買い、何度も暗殺されそうになるが、当人は身を隠すことを嫌い、堂々と公の場に姿を出そうとする。

  1. ^ フレデリック・フォーサイス『アウトサイダー 陰謀の中の人生』角川書店 2016年 P.267-269
  2. ^ 早川書房編集部(編) 編『冒険・スパイ小説ハンドブック』早川書房ハヤカワ文庫〉、1992年10月31日。ISBN 4-15-040674-X 
  3. ^ Steve Rose (2010年10月23日). “Carlos director Olivier Assayas on the terrorist who became a pop culture icon”. The Guardian (London). http://www.guardian.co.uk/film/2010/oct/23/olivier-assayas-carlos-jackal 2011年5月12日閲覧。 


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