シコクナベワリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/07 01:32 UTC 版)
近縁種など
ナベワリ属には世界に7種あり、そのうちで5種が日本産である[6]。このうちで本種ともっともよく似ているのが本州の関東以西、四国、九州に広く分布するナベワリ C. heterosepaka で、植物体の様子はよく似ている[7]が、本種では花被片四枚がほぼ同型同大であるのに対してこの種では外花被片の1枚だけが特に大きくなっている。このほかにKadota(2012)はこの種との違いとして本種では花糸が細長くて僅かに湾曲すること、葉の縁に不規則な細かい鋸歯が出ることなどをあげている。ナベワリの場合、葉の縁は細かく波打つが鋸歯はなく、花糸は真っ直ぐで黒紫色をしている。
それ以外のヒメナベワリ C. japonica 、コバナナベワリ C. aitoana 、ヒュウガナベワリ C. hygaensis の3種はいずれも花被片が反り返る特徴があり、また概して本種より花が小さい。
発見の経緯
2010年、徳島県鳴門市のMr. Satoru Kinoshita が本種を記載したYuichi Kisidaにこの植物の標本と写真を送り、その分類上の位置について質問したのが本種発見の始まりであった[8]。ちなみにこの年は宮崎県で本属の新種が2種(上記のコバナナベワリとヒュウガナベワリ)発表された年でもあり、それまでは本属の日本産の種はナベワリとヒメナベワリの2種のみと考えられてきた[9]。送られてきた植物は明らかにナベワリに似ているが別種と判断されるものであり、Kadotaは高知県立植物園の Dr. Nobuyuki Tanaka に高知県の標本についてこの植物の調査を依頼し、確かにこれが四国に分布するものであることを確かめた。Dr. Tanaka は2011年5月にこの植物について野外調査を行い、標本等をKadota に送り、Kadota はこれらの資料と自ら採集したものを総合し、それらが同一のものであるとの判断から2012年に新種として発表したものである。
- ^ 以下、主としてKadota(2012),p.82
- ^ 大橋他編(2015),p.153
- ^ 大橋他編(2015),p.153
- ^ 大橋他編(2015),p.153
- ^ Kadota(2012)
- ^ 以下、主として大橋他編(2015),p.153
- ^ 大橋他編(2015),p.153
- ^ 以下、Kadota(2012),p.79
- ^ Kadota(2012)にこの直前の新種発見のことが記されているのは、それが本種発見のきっかけとなった、との思いが含まれているのであろう。
- ^ 日本のレッドデータ検索システム[1]2019/06/11閲覧
- ^ 徳島県版レッドデータブック(8.維管束植物<改訂:平成26年>)[2] (PDF) ,p.20.2019/06/11閲覧
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