コーネリアス・ヴァンダービルト3世 コーネリアス・ヴァンダービルト3世の概要

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > コーネリアス・ヴァンダービルト3世の解説 > コーネリアス・ヴァンダービルト3世の概要 

コーネリアス・ヴァンダービルト3世

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/30 04:32 UTC 版)

コーネリアス・ヴァンダービルト3世

生涯

ニューヨーク・セントラル鉄道の社主コーネリアス・ヴァンダービルト2世と、その妻のアリス・クレイプール・グウィンの間の第3子、次男として生まれた。家庭教師に教育を受けた後、ニューハンプシャー州コンコードにある上流子弟向けの私立校セント・ポールズ・スクールを経て、1895年にイェール大学の人文学の学位を取得した。そのまま同大学に残り、1899年に哲学の学位を取得した。また父祖と同じく機械技術に深い関心を寄せ、機械工学の学位も取得している。

1892年に兄のウィリアム・ヘンリー・ヴァンダービルト2世が22歳で夭折したため、父の後継ぎと見なされるようになった。しかし大学在学中だった1896年8月に、父の反対を押し切って銀行家の娘グレース・グレアム・ウィルソンと結婚したため、両親や弟妹の多くと絶縁状態となり、事実上廃嫡された。1899年に父が死んだとき、その7000万ドルの遺産の大部分は、ネイリーのすぐ下の弟アルフレッド・グウィン・ヴァンダービルトに受け継がれ、ネイリーが受け取ったのはわずかに50万ドルと、100万ドル分の信託財産であった。アルフレッドは父の遺言の一部の執行を差し止め、廃嫡された兄に600万ドルの相続分を確保してやった。ネイリーは1926年になってようやく母アリスと和解した。

ニューヨーク州兵の軍服を着たコーネリアス・ヴァンダービルト3世、1910年代前半

ネイリーと妻グレースは生涯連れ添い、間に長男コーネリアス・ヴァンダービルト4世(1898年 - 1974年)、長女グレース・ヴァンダービルト(1899年 - 1964年)の1男1女の2人の子女をもうけた[1]。また1914年に男子のいない叔父ジョージ・ワシントン・ヴァンダービルト2世から、ニューヨーク5番街640番地にある邸宅を相続した。

ネイリーは技術者、発明家としても知られ、機関車、貨物運搬車の技術的改善に関する特許を生涯に30以上取得し、多額の特許権使用料を受け取っていた。発明の最も重要なものの中には、燃料効率を格段に高める機関車の波状形火室や、シリンダー型貨物運搬車、革新的な形状の機関車などがある。さらに、彼はロンドンパリを旅行中にニューヨークにも地下鉄網を築くことを思いつき、オーガスト・ベルモント・ジュニア(August Belmont, Jr.)と共同で、ニューヨーク最初の地下鉄運営会社となるインターボロー・ラピッド・トランジットInterborough Rapid Transit Company)を創業した。

1901年、ネイリーはニューヨーク州軍第20歩兵連隊所属の少尉に任官し、以後1934年まで軍隊に籍を置いた。1916年にはパンチョ・ビリャ討伐のためメキシコ国境で戦い、第1次世界大戦では第102工兵大隊の指揮官として海外に赴いた。最終的には准将にまで昇進し、第25歩兵旅団の旅団長を務めた。合衆国政府、ニューヨーク州政府、ベルギー政府から数々の勲章を授与されたほか、フランス政府からレジョンドヌール勲章の上級勲章を授けられた。

第1次大戦後、ネイリーは妻を伴ってヨーロッパに何度も旅行し、元ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世やその弟のプロイセン王子ハインリヒ、ベルギー王アルベール1世、ノルウェー王太子オーラヴ、ルーマニア王妃マリア、イラン皇帝レザー・シャー、イギリス王ジョージ5世らの主だったヨーロッパ王族たちと交友関係を深めたり、旧交をあたためた。

他のヴァンダービルト一族と同様、ネイリーもまたヨットを趣味とし、多くのヨット関係の組織に理事として名を連ねた。1903年、彼の所有するヨット「リライアンス号(Reliance)」はアメリカスカップで優勝した。また1910年にはネイリーのヨットがニューヨーク・ヨットクラブ(New York Yacht Club)主催のキングズカップで優勝した。

1942年、ネイリーは休暇で赴いたフロリダ州マイアミビーチでヨットに乗船中、脳内出血のため死去した。ネイリーはすでに1940年、ニューヨーク5番街640番地の邸宅をアスター家(Astor family)に売却していたが、彼の家族は1945年まで同邸宅の使用権を認められていた。遺骸は一族の墓所のあるスタテン島のモラヴィア共同墓地(Moravian Cemetery)に埋葬された[2]


  1. ^ Vanderbilt, Arthur T., II (1989). Fortune's Children: The Fall of the House of Vanderbilt. New York: Morrow. ISBN 0688072798. 
  2. ^ Vanderbilt, Cornelius, Jr.I (1956). Queen Of Golden Age: The Fabulous Story Of Grace Wilson Vanderbilt. New York: McGraw-Hill. ISBN 1258038242. 


「コーネリアス・ヴァンダービルト3世」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「コーネリアス・ヴァンダービルト3世」の関連用語

コーネリアス・ヴァンダービルト3世のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



コーネリアス・ヴァンダービルト3世のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのコーネリアス・ヴァンダービルト3世 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS