ますむらひろし 作風

ますむらひろし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 08:25 UTC 版)

作風

デビュー当初から作風や表現方法は変化し続けているが、どの時代も一貫して言えるのは童話的、あるいは教訓的な作風である。ますむらの代表作「アタゴオルシリーズ」では一貫して猫と人間が共存する世界を描いており、現実の猫とは異なり人間のように直立し、近代的な文明と独自の文化を持つ存在として描かれている。

プロデビューのきっかけとなった作品「霧にむせぶ夜」に代表されるように、最初期には猫は破壊者・殺戮者である人間の殲滅を企む復讐者として、あるいは人類が滅んだ世界で、その愚かさを嘲う批判者として描かれていた。これについてますむらは、デビュー前にテレビの報道番組で水俣病の研究のために水銀入りの魚を与えられて発病し、激痛に苦しむ猫の映像を見て、その姿が悲鳴を上げる自然そのものに感じられ限りない怒りを覚えたため、と語っている[5]。しかし次第に作風は広がりを見せるようになり、「アタゴオルシリーズ」や「コスモス楽園記」にみられるように、現代文明に対する風刺や批判を取り入れつつも、物語の主軸は個性的でファンタジックな世界観と、そこで展開される物語へ変わっていった。

美術全般に関してはアントニ・ガウディの影響が強く、異国情緒的な風景描写を好んで描くことから、スペイン文化の影響が強い。そのほか、作品のサブタイトルにビートルズの楽曲名のパロディがみられ、また作品内でも登場キャラクターが歌詞を口ずさんでいたり(歌詞はひらがなで表現され、日本人が曲を聞き取ってそのまま発声した体になっている)、時にはオチに使われたりと、ビートルズの影響が随所に表れている。サン・コミックス版の作者紹介等にあるとおり、ますむらは熱心なビートルズファンでコピーバンドにも参加していた。


  1. ^ a b c d e まんがseek・日外アソシエーツ共著『漫画家人名事典』日外アソシエーツ、2003年2月25日初版発行、ISBN 4-8169-1760-8、343頁
  2. ^ 筒井康隆編『'73日本SFベスト集成』の解説より。
  3. ^ 『しんぶん赤旗』日曜版2019年12月29日・2020年1月6日合併号より
  4. ^ ますむらひろし - 公式Twitter” (2018年10月11日). 2018年10月12日閲覧。
  5. ^ a b c d 『イーハトーブ乱入記』筑摩書房(ちくま新書)、1998年。






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