The Shot
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 05:35 UTC 版)
「1988-1989シーズンのNBA」の記事における「The Shot」の解説
前季得点王、スティール王、最優秀守備選手賞、そしてMVPの四冠を達成したシカゴ・ブルズ所属のマイケル・ジョーダンは、このシーズンも3年連続の得点王に輝くなど絶好調のシーズンを送っていた。また「マジックやバードのような周囲を活かせるタイプの選手ではない」という批判を受けてプレイスタイルに変化が見られ始めたのもこのシーズンで、シュート回数を減らすかわりにパスを捌くようになり、シーズン終盤には7試合連続を含む10回のトリプル・ダブルを達成。チーム内ではスコッティ・ピッペンやホーレス・グラントが存在感を示しつつあったものの「ジョーダンとその他4人」という状況に大きな変わりはなかったが、ジョーダン個人の地位は揺ぎ無いものとなっていた。そしてこのシーズンのプレーオフでは、ジョーダンのキャリアでも特に有名なプレイが生まれた。 舞台はプレーオフ1回戦。対戦相手はクリーブランド・キャバリアーズ。レギュラーシーズンの対戦では6戦全敗と相性が良くなく、また勝率でもキャバリアーズが大きく上回っていたが、ブルズはジョーダンの活躍で先に王手を掛け、シリーズの行方は最終第5戦に委ねられた。接戦となった第5戦は試合残り時間17秒で98-97とキャバリアーズがリードしていたが、残り6秒でジョーダンのジャンプショットが決まり、99-98とブルズが逆転。しかし前季の雪辱に燃えるキャバリアーズはタイムアウト明け後、クレイグ・イーローがジョーダンのブロックをかわして見事なダブルクラッチを決め、100-99とキャバリアーズが再び逆転。キャバリアーズのホームでの試合のため、場内は勝利を確信したファンの歓声で埋め尽くされた。 残り時間3秒。舞台は整った。ラリー・ナンスとイーローのマークを振り切ったジョーダンはミッドラインからのインバウンドパスを受け取ると、フリースローレーンに走りこみ跳躍。イーローがすぐさまブロックに跳んだが、ジョーダンは横に体を流しながら空中でイーローのブロックをやり過ごし、着地寸前に手からボールを離した。ジョーダンの手から放たれたボールは綺麗にゴールに吸い込まれ、同時に試合終了のブザーが鳴り響いた。驚きと落胆に包まれる場内。ジョーダンに駆け寄るブルズのメンバー。我を忘れ、両腕を天に突き上げてコートを走り回るダグ・コリンズHC。 シュートを決めたジョーダンが全身で喜びを表現し、その後ろでイーローが愕然と膝を落とす光景は、NBAの膨大な映像データの中でも特に有名なシーンである。またこの劇的なブザービーターはジョーダンの数ある名シュートの中でも特別なものとされ、"The Shot"と呼ばれている。
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