L-種数とヒルツェブルフの符号定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/29 03:31 UTC 版)
「乗法列の種数」の記事における「L-種数とヒルツェブルフの符号定理」の解説
L-種数(L genus)は形式的べき級数 z tanh ( z ) = ∑ k ≥ 0 2 2 k B 2 k z k ( 2 k ) ! = 1 + z 3 − z 2 45 + ⋯ {\displaystyle {{\sqrt {z}} \over \tanh({\sqrt {z}})}=\sum _{k\geq 0}{2^{2k}B_{2k}z^{k} \over (2k)!}=1+{z \over 3}-{z^{2} \over 45}+\cdots } の種数であり、ここに B 2 k {\displaystyle B_{2k}} はベルヌーイ数である。 いくつかの最初の項を挙げると、 L 0 = 1 {\displaystyle L_{0}=1} L 1 = p 1 / 3 {\displaystyle L_{1}=p_{1}/3} L 2 = ( 7 p 2 − p 1 2 ) / 45. {\displaystyle L_{2}=(7p_{2}-p_{1}^{2})/45.} ここで、M をポントリャーギン類 p i = p i ( M ) {\displaystyle p_{i}=p_{i}(M)} を持つ閉じた向き助可能で滑らかな次元 4n の多様体とする。フリードリッヒ・ヒルツェブルフは、M の基本類 [ M ] {\displaystyle [M]} を評価した次元 4n の多様体のL-種数は、 σ ( M ) {\displaystyle \sigma (M)} に等しく、M の符号(英語版)(つまり、M の 2n 番目のコホモロジー群の上の交叉形式の符号) σ ( M ) = ⟨ L n ( p 1 ( M ) , … , p n ( M ) ) , [ M ] ⟩ {\displaystyle \sigma (M)=\langle L_{n}(p_{1}(M),\dots ,p_{n}(M)),[M]\rangle } である。この定理が、ヒルツェブルフの符号定理(Hirzebruch signature theorem)(もしくは、ヒルツェブルフの指数定理(Hirzebruch index theorem))として知られている。ルネ・トム(René Thom)は、これに先立ち、符号がポントリャーギン類の線型結合で与えられることを証明し、ヒルツェブルフは上記の線型結合で正確な公式が得られることを発見した。 L_2 が滑らかな多様体に対して常に整数であるという事実は、ジョン・ミルナー(John Milnor)の微分可能構造(英語版)を持たない 8 次元のPL多様体(英語版)の例を与えることを使って示すことができる。ポントリャーギン数が、PL多様体に対しても定義することができる。ミルナーは、このPL多様体は p2 の値が非整数の値を持つことを示し、従って、滑らかな多様体ではありえないことを示した。
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