クレメンティ:パルナッソス山への階程(グラドゥス・アド・パルナッスム)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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クレメンティ:パルナッソス山への階程(グラドゥス・アド・パルナッスム) | Gradus ad Parnassum, or the Art of Playing on the Piano Forte, Exemplified in a Series of [100] Exercises Op.44 | 出版年: 1817/19/26年 |
作品解説
全3巻100曲に及ぶ『グラドゥス・アド・パルナッスム』は、クレメンティの全生涯でのいわば「要石」である。約55年間に及ぶ作曲・改定・編曲の賜物であり、それゆえその内容は極めて多様なものになった。ピアノ特有の「練習曲」に加え、ソナタ楽章やスケルツォ、クレメンティが生涯魅了されていたバッハ風のプレリュードとフーガ、ロマン派を先取りしたかのような題名のついた性格的小品など、彼自身の鍵盤音楽技法の集大成である。また、伴奏に目を向けると、音階やアルペッジョ、ターンやトリル、反復音型、連続3・6度・オクターヴ、和声進行の中からメロディーが浮き出てくる手法などなど、方法の限界まで使い尽くしたかのようである。
1865年頃には、いわゆる「カール・タウジヒ版」が出版された。確かに『グラドゥス・アド・パルナッスム』の大部分は、まさに「練習曲」と呼ぶに相応しいものであるが、この中からタウジヒは最も機械的な指の運動と捉えられるような曲ばかりを29曲選び出し、再構成したのである。残念ながら今日でも、曲集の持つ本来の意味を正確に汲み取っていないこの版が広く普及している。この『グラドゥス・アド・パルナッスム』にクレメンティが託したものは、単に鍵盤音楽に特有な指の動きの訓練ばかりでなく、表現豊かな演奏や対位法的様式の演奏に熟達するための、総合的な音楽性の向上であり、まさに音楽的目的と教育的目的が見事に融合されているのである。
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