高次元ルベーグ測度の構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/04/29 07:07 UTC 版)
「集合半環」の記事における「高次元ルベーグ測度の構成」の解説
Rn のルベーグ測度を構成する方法の一つに、端点が ai と bi であるような(閉、開あるいは半開)区間の直積として得られる超矩形 P の体積を、単に超矩形の辺の長さの積 として定義して、それをルベーグ可測集合族にまで延長する方法がある。 この構成は、陰にせよ陽にせよ、上で述べた集合半環上の測度の集合環への延長に関する命題を、有界区間の有限合併全体が成す集合環へ適用するものになっている。上で述べたのと同様、ここでも集合半環を考える意味は、延長の次の段階であるカラテオドリの拡張定理によって補完され、最終的に得られる測度の σ-加法性は、超矩形の場合に制限して σ-加法性を確かめるだけで言うことができる。 以下のドロップボックス内にこの確認(これは自明なことではない)について述べる。半環の使い方もわかるはずである。 有界区間の直積の成す集合半環上で体積が σ-加法的であること 有界区間の直積全体の成す集合半環を とし、この半環上の測度 μ を一つ定める。 初めに示すべきは、μ が次に述べる意味で加法的であることである。P が に属する超矩形で、P が に属する元 Pi のなす有限列 (Pi) の非交和に等しいならば、超矩形 P の体積は各元 Pi の体積の和に等しい。 従って μ が測度であること、つまり σ-加法性を示すには、 に属する超矩形 P が の可算個の小超矩形の非交和 が成り立つことを示さねばならない。 一方の不等号を示すには特に技巧を要しない。自然数 r を固定して、差集合 P ∖ (P1 ∪ … ∪ Pr) は の生成する集合環に属するから、 の有限個の互いに素な元 F1, …, Fs の有限合併に表せる。従って、i を 1 から r まで動かすときの Pi をすべて含む超矩形 P に対し、μ の正値性と加法性から を得る。 逆の不等号は、正数 ε > 0 を取り、各 Pi を含むように開区間の直積となる超矩形 Qi でその体積が μ(Pi) + ε⁄2n 以下となるようなものを考える。同様に P を含むように閉区間の直積となる超矩形 Q をその体積が μ(P) − ε 以上になるようにとる。超矩形 Q は Rn の有界閉集合ゆえコンパクトで、Qi たちはその開被覆を与えるから、添字集合 I0 が有限であるような部分族 (Qi)i∈I0 でやはり P を被覆するようなものが存在する。集合半環 上での μ の有限加法性と正値性により、(Q がこの集合半環の有限個の合併に書けない場合や、合併が非交和でなくとも)集合の包含関係 が得られるから、あとは ε を 0 にする極限をとって結論を得る。
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