馬場の種類に関する適性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 13:59 UTC 版)
日本では芝とダート、2種類のコースによってレースが行われる。芝コースを得意とする競走馬を芝馬、ダートコースを得意とする競走馬をダート馬という。どちらのコースも得意である場合は芝ダート兼用、あるいは万能などと表現される。近年の日本では競走馬を芝あるいはダートの一方に絞って出走させる傾向が強く、芝・ダート両方でグレードワン競走を勝利するような万能馬は稀である。万能馬の例としてはアグネスデジタル(芝で天皇賞(秋)等、ダートでフェブラリーステークス等を勝利)などが挙げられる。また、芝コースでの成績が伸び悩んでいた馬が、ダート転向した結果適性が見出されて大成するという例も少なくなく、中にはホクトベガ、アドマイヤドン、カネヒキリのように、ダートのトップホースにまで上り詰める事例もある。 ダートに関しては競馬場によって砂質や砂の深さに違いがあり、ダート馬であるからといってあらゆる競馬場のダートコースに対応できるとは限らない。砂質は具体的には海砂と川砂に大別され、砂の採取地によっても走行時の感触などが異なってくる。またアメリカのダートコースは押し固めた土で構成されているため日本のダートとは要求される能力が異なり、むしろ日本の芝コースのようなスピードが要求される。逆にアメリカのダートで活躍した馬の仔は日本の芝で活躍しやすい傾向にあり、日本で活躍する外国産馬の多くがアメリカ産である。 芝に関しても競馬場によって使用している芝の種類や産地が異なっており、また、季節によっても異なっている。本州、九州にある競馬場では野芝と呼ばれる日本を原産地とする芝を使っている。これに対して北海道にある札幌競馬場と函館競馬場は緯度が高く、平均気温が本州、九州にある競馬場よりも低いため、洋芝と呼ばれる海外原産の芝を使用しており、ケンタッキーブルーグラスなどの寒冷地に合うものを使用している。また野芝を使っている競馬場でも冬期は芝が休眠状態に入り冬枯れを起こすため、イタリアンライグラスなどの洋芝をオーバーシードすることで1年中緑色の馬場を保つことができるようになった。このように同じ芝でも競馬場によって違いがある。北海道開催では洋芝巧者と呼ばれる馬が活躍する例があり、函館記念を3連覇したエリモハリアーなど北海道で一変する活躍を見せる馬も存在する。また、欧州遠征の試金石として北海道でのレースで適性を判断するという例もある。
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