金瓶梅における潘金蓮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 15:33 UTC 版)
『金瓶梅』では、『水滸伝』での潘金蓮の毒婦としてのキャラクターをよりふくらませ、さらに活躍させている。基本的な設定はほとんど変わらず、王婆の手引きで西門慶と深い仲となり、武大の殺害に至るまでの流れは同じだが、その後武松の追及を逃れ、西門慶の第五夫人として嫁ぐ。正夫人の呉月娘に取り入る一方、第四夫人の孫雪娥とは犬猿の仲であり、ことあるごとにいがみ合った。やがて武松が帰ってくるが、『水滸伝』とは異なり金蓮と西門慶は殺されず、西門慶と同席していた役人の李外傅を殺した罪により、武松はおたずね者となってしまう。 金蓮とその侍女・龐春梅(『金瓶梅』の梅。彼女も金蓮の手引きにより西門慶のお手つきとなる)は、勝ち気な性格から邸内でのトラブルメーカーとなり、はじめ第四夫人の孫雪娥、ついで第二夫人の李嬌児を標的とし、排斥する。やがて金蓮と同様、花子虚の妻であった李瓶児(『金瓶梅』の瓶)が西門慶と不倫関係に陥り、やはり同様に夫を没落させ死に至らしめる。金蓮は西門慶を問い詰め、李瓶児の件を知ると、むしろ彼女と擬似的協力関係となり、紆余曲折を経て李瓶児は第六夫人として西門家へ入る。 やがて西門慶が使用人来旺の妻の宋恵蓮に手を出すと、金蓮は彼女と対立。来旺から罵倒された腹いせに、来旺を無実の罪に陥れて流刑になるように工作、悲観した宋恵蓮を縊死させた。また李瓶児が西門慶の子(官哥)を生むと、嫉妬に駆られた金蓮は性技で西門慶に猛攻をかける一方、瓶児・官哥母子をいびり倒し、嫌がらせを繰り返してついに官哥を死に至らしめる。ショックを受けた瓶児もやがて衰弱死する。さらに金蓮は、西門慶に媚薬(強精剤)を過剰摂取させ、結局彼をも死に至らせたのである。 西門慶の死後、春梅を巻き込み、以前から不倫関係にあった西門慶の娘婿の陳経済と乱行にふけるが、もう一人の侍女の秋菊が正夫人の呉月娘に密告したため、激怒した呉月娘から追放され、王婆を介して売りに出されてしまう。この期に及んでも金蓮は王婆の息子の王潮と深い仲になるなど痴態は続くが、やがて買い手として武松が現れる。「やはり武松と結ばれる運命にあった」と喜んで嫁ごうとする金蓮であったが、もちろん武松からすれば復讐のための接近であり、婚礼の日に王婆とともに殺害された。
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