蔵元との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 08:16 UTC 版)
伝統的には、杜氏は完全な請負業であった。杜氏は蔵元からその年の酒造りを全責任をまかされて請け負うのである。配下にどういう蔵人を従えるかに関して杜氏は全面的な権力と責任を持ち、蔵元は口をはさまない。よって、蔵元と杜氏のあいだ、杜氏と蔵人たちのあいだには、まったく別の労使契約が交わされていたわけである。 蔵元と杜氏集団との関係は、通常は何代にもわたって築かれてきたものである。ゆえに、たとえば一人の杜氏が引退しても、その蔵の味、蔵の個性を守るために、同じ流派、杜氏集団から次の杜氏を迎えることが、伝統的な酒蔵においては通例である。 しかし、江戸時代に存在した、たとえば灘と丹波杜氏に見られるような、蔵元集団と杜氏集団の集団単位での深いつながりは、全国的にみると今日ではめずらしいものになっており、同じ町にある複数の酒蔵のあいだでも、迎え入れている杜氏の流派はまちまちであることが多い。 また、新しい世代の蔵元は、杜氏の流派にもこだわらず、前の杜氏が勇退したり辞職したりすると、とりあえず求職メディアに応募を出して、雇用条件の折り合う応募者ならば誰でも採用する、という人も多くなってきている。
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