科学目標と観測手法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 11:46 UTC 版)
「ユークリッド (宇宙望遠鏡)」の記事における「科学目標と観測手法」の解説
ユークリッドは、赤方偏移が2までの多数の銀河を観測することにより、宇宙の膨張と宇宙構造の形成の歴史を精査する。これは、過去100億年の歴史を振り返ることに相当する。銀河の形状とその銀河の赤方偏移の間の関係は、ダークエネルギーが宇宙の加速の増加にどのように寄与するかを知るのに役立つ。実際の観測は、分光法によって銀河までの距離を測定すること、重力レンズ効果による銀河形状のゆがみからダークマターの分布を知ること、バリオン音響振動の測定によって宇宙膨張の詳細なスケールを明らかにすることからなる。 重力レンズは、一般相対性理論によって導かれる現象で、物質が存在することによって時空が局所的にゆがむことで、その物質の近くを通過する光の進路が曲げられる。銀河から放出される光(観測された画像)は、銀河から観測者に至る視線に沿って分布する物質の近くを通過することでゆがめられることになる。光をゆがめる物質の一部は別の銀河や銀河間物質などのバリオンであるが、大部分はダークマターである。分光観測で測定した銀河の赤方偏移と、撮影された銀河の形状のゆがみを統計処理することで、視線上に存在するダークマターの分布を推測することができる。こうすることで、ダークマターと銀河の分布に関する統計的特性を同時に測定し、宇宙の進化によってこれらの特性がどのように変化してきたかを測定することができる。
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