社会保障目的税
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:36 UTC 版)
高橋洋一は「消費税を上げるロジックとして、社会保障にくっつける発想には無理があり、社会保障を人質にして消費税を増税するための屁理屈にすぎない。本来の消費税は一般財源が普通で、社会保障などの特定財源にしている国はほとんどない」「消費税を社会保障目的税にするのは、先進国ではまず例を見ない奇妙なものだ。消費税を社会保障目的税化して国のサービスに固定すると地方分権ができにくくなる」と指摘している。 森永卓郎は「社会保障財源を保険料から、税金に(完全に)切り替えたら会社の負担が無くなる」「庶民は収入の80%を消費に回しているのに対して、金持ちは20%しか消費していない。社会保険料は収入にかかるのに対して、消費税は消費にかかる。消費税が10%になった場合、庶民の支払う消費税は、80%×10%で収入の8%となるが、金持ちが支払う消費税は、20%×10%で収入の2%でよい、つまり、社会保障財源を消費税に移すだけで、金持ちの負担は4分の1になる。(社会保障財源を保険料から、税金に完全に切り替え)企業負担が無くなれば、8分の1となる」と指摘している。 片岡剛士は「消費税増税は低所得者に対して厳しく、弱者を救う目的の一つである社会保障制度の財源にはそぐわない」と指摘している。また片岡は「消費税は社会保障制度を維持するための安定財源ではない。2013年度の社会保障給付費は総額で110兆円であるが、毎年増加を続けており、消費税率を5%から10%に引き上げても、毎年社会保障給付費は3-4兆円増えるため、数年後には再び赤字額が拡大する。研究者の試算によると、将来の社会保障制度維持するために必要な消費税率は30-40%程度と言われている。社会保障制度を維持するために消費税を利用するのであれば、毎年消費税率を引き上げる必要があり現実的ではない」と指摘している。 飯田泰之は「そもそも社会保障費の方が消費税収よりも多いため、目的税にはしようがない」と指摘している。 原田泰は「税と社会保障の一体改革の議論は、増税すればこれまでの福祉を続けられるという筋道になっているが、超高齢社会ではそうはならないことを認識しなければならない。増税されれば、その増税分は現在の高齢者に分配され、将来の高齢者には分配されない。それならば何もしない方がマシである。現実的な消費税増税幅と社会保障支出のカット率を考えなくてはならない」と指摘した。
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