石油輸送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/11 09:12 UTC 版)
石油の鉄道輸送は明治時代から行われていたが、石油の精製・販売を行う会社が個別に石油タンクを整備して、専用線の荷役で行っていた。このため1箇所あたりの輸送量が少なく、燃料輸送のタンク車は集結輸送方式で時間をかけて運行されていた。石油の消費量が急増すると共に、より効率的な輸送が求められるようになった。 既に1964年(昭和39年)10月には、本輪西 - 東札幌間で石油専用列車の運行が開始され、1967年(昭和42年)10月から「オイル号」の愛称が付けられるようになった。また沼垂 - 塩尻間でも1966年(昭和41年)10月から「ペトロ号」の運行が始められている。 こうして状況の中で、国鉄と石油元売各社が共同出資して、1966年(昭和41年)10月に日本オイルターミナルが設立された。日本オイルターミナルは内陸に石油の中継基地を建設し、この中継基地へ向けて臨海工業地帯や港湾から石油用のタンク車を連ねた専用列車を国鉄が運転するようになった。中継基地からは各社のタンクローリーでガソリンスタンドなどへ配送する仕組みとなっている。中継基地は、1997年(平成9年)時点で札幌貨物ターミナル・盛岡貨物ターミナル・郡山貨物ターミナル・宇都宮貨物ターミナル・倉賀野・八王子・西上田・南松本の8箇所にある。発送拠点は本輪西と仙台北港の他は、京浜・京葉・中京の各地である。 石油輸送を行っているのは、タキ43000形やタキ1000形などの専用のタンク貨車である。 海に近い地方では、タンカーによる大量輸送の方が鉄道輸送より安いため、鉄道による石油輸送はあまり見られない。これに対して、栃木県・群馬県・長野県・山梨県といった内陸部(いわゆる海無し県)では、石油消費量のうち鉄道輸送による割合が70%を占めている。精油所の再編やタンクローリー輸送への転移などの影響で輸送量は減少しつつあるが、2003年(平成15年)度で年間936万トンの石油が鉄道で運ばれている。
※この「石油輸送」の解説は、「物資別適合輸送」の解説の一部です。
「石油輸送」を含む「物資別適合輸送」の記事については、「物資別適合輸送」の概要を参照ください。
- 石油輸送のページへのリンク