がんを誘発するか、またはその発生率を増加させる化学物質、あるいは化学物質の混合物のことを意味します。動物実験で良性および悪性腫瘍を誘発した物質もまた、腫瘍形成のメカニズムが人には関係しないとする強い証拠がない限りは、人に対する発がん性物質として推定されるかまたはその疑いがあると考えられます。
最初に化学物質の発がん性を示した研究として、日本人による1915年にウサギを使った実験でコールタールを刺激物として実験的にがんを発生させることに成功したという事例がよく知られています(市川、山極らによる)。現在、国際がん研究機関(IARC)では物質や生活環境などについて評価した発がん性リスクの一覧を公表しています。発がん性物質を多く含んでいるものとしてよく知られているのはたばこの煙です。たばこの煙に含まれる発がん性物質やその他の有害物質は、分かっているだけでも200種類以上になるとされています。また、主流煙よりも副流煙の方がより多くの発がん性物質を含んでいることが明らかになっています。
はつがんせい‐ぶっしつ【発×癌性物質】
読み方:はつがんせいぶっしつ
⇒発癌物質
発がん性物質
発癌性
(発がん性物質 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/24 21:33 UTC 版)
発癌性(はつがんせい、発がん性)は、正常な細胞を癌(悪性腫瘍)に変化させる性質。発癌性物質(はつがんせいぶっしつ、発がん性物質)とは、発癌性を示す化学物質のことである。いずれについても本稿で扱う。
注釈
- ^ 研究のタイムラインは1775年にイギリスのパーシヴァル・ポットがロンドンの煙突掃除人に陰嚢がんの多いことを報告し、すすがその原因であると推論した。1888年にジョナサン・ハッチンソンが砒素含有軟膏の使用と皮膚ガンの発生の間に関係のあることを報告し、1915年に山極勝三郎と市川厚一が、ウサギを用いた実験において、コールタールを刺激物として実験的に癌を発生させることに成功し、筒井秀二郎がマウスでの人工発癌を成功させた。コールタールは混合物質であり、発ガン物質の特定は1929年にアーネスト・ケナウェイが、1:2:5:6-ジベンツアントラセンの発癌性を証明した。
出典
- ^ “含鉄タンパク質が肺内でラジウムを濃縮:局所的な強力α線被ばくが発がんメカニズム?” (PDF). 岡山大学 (2009年7月27日). 2022年5月31日閲覧。
- ^ Nature, 431, 461-466, 2004 および PNAS, 103 (27), 10397-10402, 2006
「発がん性物質」の例文・使い方・用例・文例
- ニトロサミンは発がん性物質だ。
発がん性物質と同じ種類の言葉
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