狩猟管理学の誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/03 21:09 UTC 版)
20世紀前半に野生動物の絶滅に代表される自然環境破壊が問題視されるようになると、野生動物を含めた資源を維持しようとする思想が生まれ始めた。アメリカ合衆国農務省林野局の初代長官ギフォード・ピンショーは適切な利用のための保護を意味する「保全(conservation)」という言葉を造り出し、当時の森林利用の在り方に一石を投じた。この考えはハンターでもあった第26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトの賢明な利用(英語版)という持続的な資源利用を進める政治的動きに内包され、森林だけでなく狩猟などの野生動物の利用にも影響を与えた。野生動物管理が科学としての基盤を形成したのは、このピンショーのもとで働いていたアルド・レオポルドが1933年に著した『Game Management』でのことである。彼は狩猟動物の安定的な利用のために猟期や猟区などの設定、禁猟や保護などの施策を体系化し、環境収容力といった生態学の概念も加えて新たな応用科学を創り上げた。レオポルドが提唱した「管理(management)」という概念は狩猟動物を対象としたものであったが、1937年にアメリカ野生動物学会により創刊された学術誌『Journal of Wildlife Management』では、野生動物管理は狩猟動物のみを対象としたものではないと明言された。しかし、この時点では狩猟動物管理の概念がさまざまな野生生物に広がっていくことはなかった。
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