特殊要素モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/05 21:07 UTC 版)
特殊要素モデル(とくしゅようそもでる、英:The specific-factors model)は、リカード・モデルに複数の生産要素を導入して拡張した貿易モデル。産業間で移動可能な労働の他に、産業特殊的な(産業間を移動できない)生産要素を導入したモデルである[1]。デヴィッド・リカードとジェイコブ・ヴァイナーに因んでリカード=ヴァイナー・モデル(英:The Ricardo–Viner model)とも呼ばれる[2]。
注釈
- ^ このような産業間を移動できない生産要素が入ったモデルをパティ=クレイ・モデル(The Putty-Clay model)と呼ぶ[6]。Puttyはパテ、Clayは煉瓦の意味であり、固まって動かないという意味である[6]。
- ^ 名目賃金については明瞭な結果が得られる。しかし、財の価格も変化するため、それを考慮した実質賃金を計算するには、消費者がそれぞれの財をどれくらい消費するかを知る必要がある。
- ^ 製造業セクターと農業セクターの2産業のヘクシャー=オリーン・モデルを考える。そこでは、資本と労働という2つの生産要素があり、ともに産業間を移動できる。短期分析をする際は、製造業に留まって動かない資本を製造業資本と呼び変え、農業セクターに留まって動かない資本を土地と呼び変える。これは特殊要素モデルとして解釈できる。
出典
- ^ Leamer, Edward; Levinsohn, James (November 1994) (英語). International Trade Theory: The Evidence. Cambridge, MA. doi:10.3386/w4940 .
- ^ a b Viner, Jacob (1932) "Cost Curves and Supply Curves" Zeitschrift für Nationalökonomie, 23-46.
- ^ Jones, Ronald W. (1971). "A Three Factor Model in Theory, Trade and History." In: Trade , Balance of Payments and Growth, edited by J. Bhagwati et al., Amsterd.
- ^ Samuelson, Paul A. (1971) "Ohlin Was Right" The Swedish Journal of Economics, 73(4): 365-384.
- ^ a b c Ishikawa, Jota (2000) "The Ricardo-Viner trade model with an intermediate good" Hitotsubashi Journal of Economics, 41(1): 65-75.
- ^ a b 木村福成(2000)『国際経済学入門』日本評論社、87ページ。
- ^ Krugman, Paul R.; Obstfeld, Maurice; Melitz, Marc J. (2015) International Economics Theory and Policy. Pearson Education Limited. pp.83-97. ISBN 1292019557
- ^ Krugman, Paul R.; Obstfeld, Maurice (1997). International Economics: Theory and Policy (4th ed.). Reading, Mass.: Addison-Wesley. pp. 40–60. ISBN 978-0673524973. OCLC 34886635
- ^ Neary, J. Peter (1978). “Short-Run Capital Specificity and the Pure Theory of International Trade”. The Economic Journal 88 (351): 488–510. doi:10.2307/2232049. ISSN 0013-0133. JSTOR 2232049.
- 1 特殊要素モデルとは
- 2 特殊要素モデルの概要
- 3 歴史
- 4 脚注
特殊要素モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 15:41 UTC 版)
このモデルでは短期間に産業間で資本が移転しない限り産業間で労働力が流動するという仮説を立てている。特殊要素という名称は、物的資本のような特殊生産要素は短期間で容易に産業間を移転できないという意味で与えられたものである。この理論が示唆するのは、商品価格の上昇がこの商品の特殊生産要素を所有するものにリアルタームで利益をもたらすということである。さらに、労働者や資本家など特殊生産要素を所有しないものは、労働者の産業間移動を統制しようとするロビー活動に意義を唱えるだろう。目を転じて資本家と労働者の双方は資本賦存の増大によるリアルタームで利益を手にする。このモデルは個々の産業分野(または企業)には適用しやすい。所得分配の理解には好適だが、貿易パターンの議論には向かない。
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