準結晶の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/09 15:50 UTC 版)
シェヒトマンにより発見された準結晶の電子線回折図形は、結晶の回折図形のようにデルタ関数的な回折スポットの集合であるにも関わらず、2回、3回回転対称性に加え、結晶には存在しない5回回転対称性を示し、正20面体(icosahedron)の対称性を有していた。このような対称性をもつ準結晶はIcosahedral相(I相)と呼ばれている。I相準結晶の構造は3次元ペンローズパターンに原子を修飾したものとして理解されている。また、I相の準結晶の構造中には系の対象性を反映した正20面体状の原子クラスターが存在する。このような局所原子クラスターは準結晶内における原子の種類や構成原子同士の結合の仕方により決定されている。現在までに、3種類の特徴的な局所原子クラスターを有するI相が発見されている。それぞれ、Mackay型、Bergmann型、Tsai型I相と呼ばれている。 Al-Ni-Coなど、正10角柱と同じ対称性をもつDecagonal相(D相)と呼ばれる準結晶相も存在する。D相の準格子は2次元ペンローズパターンであり、この面が積層した構造をもつ。すなわち平面方向には準周期構造、これと垂直な軸方向には周期構造を有している。 このほか、8角形相、12角形相の準結晶が見つかっている。
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