有坂銃とは? わかりやすく解説

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有坂銃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/29 06:48 UTC 版)

有坂銃(ありさかじゅう)とは、日本のボルトアクション方式の制式小銃の系列であり、それまでの村田銃系列の小銃を更新する為に1897年より製造が始まり、第二次世界大戦が終結する1945年まで製造された一連の小銃をさす。欧米圏ではアリサカ・ライフル (Arisaka rifle) とも呼ぶ。最も一般的な有坂銃は6.5×50mmセミリムドの三十八年式実包を用いる三八式歩兵銃及び、現代の.308ウィンチェスター弾に匹敵する威力を持つ7.7×58mmリムレスの九九式実包を用いる九九式短小銃である。九九式及び他の多くの有坂銃の亜種は、ほとんどは連合国軍最高司令官総司令部の命令により廃棄処分されたが、何千挺かはアメリカ軍ソ連軍の兵士の手により戦地にて鹵獲され、戦利品として第二次大戦後にアメリカ合衆国ロシアへともたらされた。


注釈

  1. ^ 戦時型と一重に言っても、戦時中の省力化・未熟な作業者による製造や、形状の簡略化、材質寸法精度の低下など、あらゆる増産・生産性向上の改造が施されたことで、同じ部品であってもその形状は多岐にわたっていた。
  2. ^ 豊和工業が代表格であるが、同社が製造を手掛けたボルトアクションライフルは、サコ・L61R"フィンベア"を直接の下敷とした豊和ゴールデンベアと、ウェザビー・マークⅤを参考とした現行の豊和M1500のみである。
  3. ^ 豊和以外では今日唯一残る民間銃器メーカーのミロクも、ボルトアクションはブローニング・アームズ系列のブローニング・A-ボルト及び、その散弾銃版のミロク・MSS-20を製造するのみに留まっている。
  4. ^ 今日の自動式散弾銃やレピーター式散弾銃のように機関部下部の装填口から弾を前方へ押し込む方式ではなく、有坂銃同様に排莢口から弾を挿入した後、更に前方へ弾を押し込む工程が付加される為、8発のフルロードには慣れと時間を要した。また、8発もの弾が装填された状態では銃口側がかなり重くなり、弾が減る毎に銃口側が軽くなっていく為、ライフル射撃で重要視される銃口の安定性の面でも難があった。
  5. ^ 同時期の小銃では直動式ボルトアクションを採用したカナダロス小銃が、構造上の問題から部品の組み間違いや異常高圧により撃針や撃茎が射手の顔面を直撃し、死傷者を多発させた事例で知られている。
  6. ^ 同様の理由で、十四年式拳銃も用心金(トリガーガード)の形状が変更されている。
  7. ^ ただし、他物にノブが押されて勝手に安全解除される事例もあったようで、銅金義一と共に九九式小銃の設計に携わった伊藤眞吉は、この戦訓を踏まえて64式小銃ではあえて摘んで引っ張らなければ回せない、より安全確実な安全装置の採用に及んだとしている。
  8. ^ 伊藤は三八式も厚さは九九式とさほど変わらなかったとしている。
  9. ^ 三八式歩兵銃に三十年式銃剣を取り付けた長さが基準となっている。
  10. ^ なお、Gew98と同様に有坂銃にもアフターマーケットパーツとして引鉄の重さ(トリガープル)を調整する為のトリガーセットが販売されており、その中には逆鈎又は引鉄を固定する2ポジション式安全器が併設されているものもある為、こうした部品を撃茎駐胛と併用して使い分ける事で薬室解放時の安全性もある程度は担保される。
  11. ^ 空撃ちケースを用いない空撃ちは多くの場合撃針の摩耗を促進させるので忌避される。
  12. ^ M12レピーター、M23水平二連、M101上下二連及び、これらのライセンス生産を受託していたオリン晃電社の日本国内向けブランド、ニッコーの元折散弾銃など。
  13. ^ リアラグとして機能する最低限の大きさのみ確保して、槓桿が通過するガイドとしての部分は省略されている。

出典

  1. ^ Hatcher p. 231
  2. ^ Hatcher p. 206
  3. ^ THE FINNISH ARISAKAS - Rifle Database
  4. ^ a b Japanese Weapons - Rifle Database
  5. ^ a b c d 「鉄砲の安全(その2)」264頁
  6. ^ Siamese Mauser Followup - the Type 66 Rifle - Forgotten Weapons
  7. ^ 第一軍の「兵器引継書」に見る終戦時の状況 - 日華事変と山西省
  8. ^ “旧日本軍の三八式小銃、ミャンマーで今も現役”. 読売新聞. (2013年3月19日). http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130319-OYT1T00044.htm 2013年3月19日閲覧。 
  9. ^ 「エリートフォーセス 陸上自衛隊編[Part1]」p72
  10. ^ a b 津野瀬光男 2006, pp. 132–136.
  11. ^ a b 『月刊Gun』1992年5月号p53
  12. ^ a b 津野瀬光男 2006, pp. 135, 136.
  13. ^ a b 99式小銃 - 福住製作所
  14. ^ 津野瀬光男 2006, p. 137.
  15. ^ 津野瀬光男 2006, p. 138.
  16. ^ Mauser-98 Assembly Drawing and Parts List
  17. ^ Arisaka Type 38 Rifle Assembly Drawing and Parts List
  18. ^ 「鉄砲の安全(その2)」266頁
  19. ^ アリサカ小銃 コックオン・クロージング - 25番
  20. ^ 「鉄砲の安全(その4)」117頁
  21. ^ アリサカのハンドル固定機能 - 25番
  22. ^ ボルトアクションのセフティ2 - 25番
  23. ^ a b アリサカ小銃の安全装置 - 25番
  24. ^ 伊藤「鉄砲の安全(その2)」258頁
  25. ^ 伊藤「鉄砲の安全(その2)」260-263頁
  26. ^ 硬質クロームメッキに付いて - ファーイーストガンセールス
  27. ^ 銅金義一 - サクラタロウDB
  28. ^ 「一〇〇式短機関銃と九六式軽機関銃」の実射 - 日本の武器兵器.net
  29. ^ THE TYPE 35 BAYONET
  30. ^ 四十四年式騎兵銃剣 Type 44 Cavalry bayonet - 旧日本帝国陸海軍 軍刀
  31. ^ Japanese Rifles 1870 - 1945
  32. ^ 試製七.七粍騎銃 - 藤田兵器研究所
  33. ^ Experimental 99 Paratrooper Rifle - Military Surplus.com
  34. ^ 『The American Rifleman』59頁、1959年5月号
  35. ^ 「鉄砲の安全(その3)」117頁
  36. ^ Wayne Zwoll『Bolt Action Rifles』Krause Publications、78-79頁、2003年
  37. ^ P.O. Ackley - Long Gun Legends
  38. ^ フレッド・D・ゼグリン『P.O. Ackley: America's Gunsmith』ガン・ダイジェスト英語版、2017年、p.124。
  39. ^ フレッド・D・ゼグリン『P.O. Ackley: America's Gunsmith』ガン・ダイジェスト英語版、2017年、p.62-63。





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